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元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

Vol.152「神奈川県高校総体、日本インカレ」

 5月17日(土)三ツ沢公園陸上競技場で開催された高校総体神奈川県大会に行ってきました。この大会は、7月に広島県で開催される全国高校総体(インターハイ)の県予選会です。この県大会で6位までに入賞すると、6月13日(金)から栃木県で開催される高校総体南関東地区大会への出場権を得ることができます。

そして、南関東地区大会で6位に入賞すると全国高校総体出場権獲得ということになります。神奈川県大会の前は、神奈川県の支部大会(横浜市など)があるので、高校生は3つの大会を経て(2つのところもあります)、全国大会を目指すことになります。

 17日は、天候に恵まれず、雨と強風に見舞われましたが、熱い戦いが展開されていました。高校生の競技に打ち込む姿はとてもさわやかで純粋で、観ていて気持ちが良かったですね。かつてお世話になった懐かしい高校の先生方にもお会いできて、充実した1日でした。

 現在、各都府県大会がちょうど終わった時期で、これから地区大会が始まります。地区は、北海道、東北、北関東、南関東、北信越、東海、近畿、中国、四国、北九州、南九州の11地区あり、この地区大会で各種目6位までに入賞すると全国高校総体へ出場できます。

 支部大会、都道府県を突破し、さらに強豪が集う地区大会を勝ち抜いて、全国大会の切符をつかみ取ります。そして全国大会にはさらに強者が集います。全国大会への道のりはなかなか険しいものです。一人でも多くの横浜市関係者が広島全国高校総体に出場してほしいですね。栃木で開催される南関東地区大会も観に行こうと思っています。

 さて、6月5日(木)から8日(日)の4日間は、大学の全国大会が岡山で開催されました。日本学生陸上競技対校選手権大会、通称、日本インカレといいます。この大会に出場するには、一部地区大会も選考基準(優勝者のみ)となっていますが、基本は、標準記録を突破することで出場することができます。

 日本インカレは、雨がぱらつくこともありましたが、ほぼ晴天に恵まれ、学生記録が誕生するなどレベルの高い大会となりました。横浜市関係の優勝者をみますと、男子砲丸投げで優勝した山田暉斗選手(法政大学)が横浜市立十日市場中学校出身です。山田選手は、本学の学生で、今大会本学唯一の優勝でした。優勝候補を逆転しての初優勝でした。頑張ってくれました。

 砲丸投げという競技は、このコラムでも何回か触れましたが、鉄でできた7.26kgの球体を投てきし、距離を競います。7.26kgは、16ポンドで、ボーリングでいうと一番重い球にあたります。これを18m近く投げてしまいます。

 山田選手はこの9月に東京(国立競技場)で開催される東京2025世界陸上競技選手権大会の出場を目指しています。世界選手権の参加標準記録は21m50です。日本記録が19m09ですから、まったく問題外なのですが、実は、開催国枠というものが存在します。

 開催国枠として、各種目のうち、参加標準記録やターゲットナンバー枠(参加人数枠)で一人もエントリーできない種目は、1人エントリーすることができるのです。このエントリーは、誰でもよいというわけではなく、開催国枠エントリー設定記録というものが日本陸連より出されています。この記録を突破すると、開催国枠特権で世界選手権にエントリーすることができます。ただ、出場が確実なものではありません。

 日本代表選手の選考大会は、7月4日から6日に国立競技場で開催される日本陸上競技選手権大会となっています。世界選手権に出場するには図のような複雑な経路があります。

 一番簡単なのは、参加標準記録を突破して、日本選手権3位以内です。ただし、内定者が出ている種目(男子110mHなど)は、内定者以外の上位2名までとなります。すでに内定者が決まっているマラソンや一部の長距離種目はこの図が該当しないのと、この図には優先順位が書いてありません。詳しくは日本陸上競技連盟のHPでご確認ください。

 開催国枠で、砲丸投げの参加設定記録は、19m10です。せっかく日本で開催するのですからこの枠をぜひ使用して日本人プッター(砲丸投げ選手)も世界を経験してほしいです。砲丸投げの世界選手権やオリンピックの海外の代表選手は、2m近くの身長で体重100キロを優に超える巨体の大男が16ポンドの鉄球を軽々と投げていきます。小柄な日本人選手(といっても大きいですが)にとって、この開催国枠は出場のチャンスなのです。

 山田選手の自己ベスト記録は18m00で、まだ19m10には及びませんが、練習では、自己ベストを上回る記録をマークしています。伸び盛りの選手です。7月の日本選手権で大投てきをみせてほしいですね。

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

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