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元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

Vol.155「駅伝シーズン」

本格的な駅伝シーズンに入り、10月13日(月)、島根県出雲市で開催された出雲駅伝を視察しました。出雲駅伝の正式名称は「出雲全日本大学選抜駅伝競走」で、今年で37回目を迎えた大会です。19大学と、選抜2チームの計21チームで争われ、関東の代表枠は10枠あります。

関東の10大学は、正月2日、3日に開催される箱根駅伝の上位10校が選ばれます。2025年度の出雲駅伝の出場権は、2024年度の箱根駅伝の結果に基づいています。上位10校というのは、箱根駅伝のシード校の数と同じであり、シード権獲得イコール、出雲駅伝出場権獲得となります。

出雲駅伝は、出雲大社の正面鳥居前からスタートします。スタート後、第1走者が鳥居からまっすぐな長い下りの参道を相当なスピードで走り抜けていく姿は圧巻です。出雲駅伝は、この後に行われる全日本大学駅伝、そして箱根駅伝と並んで、学生三大駅伝と言われています。

そして、三大駅伝の中で最もスピードが求められる「スピード駅伝」大会です。区間は6区間で、総距離は45.1キロと比較的平坦なコースです。最短区間は2区の5.8キロです。箱根駅伝は10区間で1人20キロを超える区間を2日かけて走破し、箱根の山という険しいコースですから、だいぶ趣が異なります。

2025年の出雲駅伝は、國學院大學が見事に2連覇を達成し、3度目の優勝を果たしました。4区でトップに立ち、そのまま逃げ切るという、前評判通りの他を寄せ付けないレース展開をみせてくれました。

10月18日(土)には、立川市の昭和記念公園で箱根駅伝の予選会が開催されました。今年は暑熱対策が主な理由で、スタート時刻が8時30分と、例年より1時間繰り上げられました。箱根駅伝予選会はハーフマラソンの距離で実施されます。各大学12人が出走し、上位10人の合計記録に基づき、上位10大学が本戦(箱根駅伝)への出場権を獲得できます。

私が総監督を務める法政大学は、予選会からの出場となりました。結果は総合11位で、残念ながら本戦出場枠の10チームに届きませんでした。10位の立教大学とはわずか17秒差でしたが、この17秒は非常に大きく、予選会における戦い方の難しさを痛感させられました。来年の予選会では、必ず本戦出場権を奪取します。

11月2日(日)は、全日本大学駅伝が開催されました。全日本大学駅伝は、愛知県の熱田神宮をスタートし、ゴールは伊勢神宮までの8区間、106.8キロで実施されます。この大会も比較的平坦なコースですが、最短区間は1区の9.5キロ、最長区間は8区の19.7キロと、出雲駅伝よりは長い距離を走破し、スピードとスタミナの両方が必要な駅伝大会です。

「秩父宮賜杯」をいただく第57回全日本大学駅伝は、駒澤大学が5時間06分53秒で2年ぶり17回目の優勝を果たしました。駒澤大学も出雲駅伝を制した國學院大學と同じく優勝候補の一角であり、予想通りの活躍でした。ちなみに、出雲駅伝は内閣総理大臣杯と文部科学大臣賞をいただいています。

次なる箱根駅伝は、出雲駅伝を制した國學院大學、全日本大学駅伝を制した駒澤大学、前回覇者の青山学院大学、近年力をつけてきた中央大学に加え、早稲田大学と創価大学も優勝争いに絡んでくる、非常に面白いレース展開になると思います。

箱根駅伝は、他の二つの駅伝よりも距離が長く、激しいアップダウンもあるため、展開はさらに難しくなります。2026年1月2日、3日は、これらの強豪校がどのような戦略で臨むのか、目が離せないレースが展開されることでしょう。

男子の学生三大駅伝は、出雲駅伝、全日本大学駅伝、そして箱根駅伝です。箱根駅伝は、記念大会以外は関東の大学しか出場できないため、「日本三大駅伝」と呼んで良いのか疑問視されることもあります。しかし、箱根駅伝は2026年の大会で102回を数える、大学駅伝の中で最も古い歴史を持つ大会です。その長い歴史と注目の高さから、最も権威のある駅伝大会ともいえるでしょう。

その箱根駅伝に出場する大学の中で、神奈川大学は横浜市を所在地とする唯一の大学です。地域に根ざした大学として、地元からの期待も大きいですね。

女子の駅伝についても触れておきましょう。10月26日、宮城県仙台市で「全日本大学女子駅伝対校選手権大会」(杜の都駅伝)が開催されました。第43回を数えるこの大会は、今年は視察できませんでしたが、城西大学が25年ぶり3回目の優勝に輝きました。女子は関東以外の大学が強い傾向にあるため、関東の大学としては23年ぶりの優勝という快挙でした。

12月21日には、京都府で全国高校駅伝が開催されます。神奈川県代表として、男子は東海大相模高校、女子は白鵬女子高校が出場します。また、女子の部の関東地区代表として川崎市立橘高校も出場します。白鵬女子高校は5年連続の出場で、昨年は12位という成績でした。今年はさらに上位で走る姿を観たいですね。

年が明けると、2月8日には「かながわ駅伝」(市町村対抗駅伝競走大会)が山北町の丹沢湖周回で開催されます。このコラムでも何回か紹介していますが、横浜市は直近の大会で連続優勝しており、今年も注目されます。

市民レベルのランナーにとって、駅伝はロードレースよりも出場機会が少ないかもしれませんが、実は横浜市内でもいくつか大会があります。12月21日には、緑・青葉区民駅伝大会が開催されます。この大会は、緑区の駅伝大会と青葉区の駅伝大会が合同で開催しているものです。

残念ながら申込期間はすでに終了していますが、緑区・青葉区および近隣区に在住、在勤、在学の方が対象で、小学生から壮年の部まである4区間の駅伝大会です。わずか10キロ足らずの駅伝大会ですが、緑区としては38回、青葉区として29回の開催実績があります。

2026年1月18日もエントリーは終わってしまっていますが、第41回港北駅伝大会が開催されます。港北駅伝大会は、中学生の部から一般の部まであり、200チームが出場できます。出場は抽選となりますが、優先順位があります。まず、区内(在住、在学、在勤)の者のみでのチーム構成が最優先され、続いて、区内(在住、在学、在勤)の者がチーム構成員に1人以上いるチーム、最後に区外者のみで構成しているチームとなります。

さらに2026年1月24日には、第54回旭区駅伝競走大会(旭ズーラシア駅伝2026)が開催されます。小学3年生の部から壮年の部まで開催されており、こちらも250チームが参加する大きな駅伝大会です。ズーラシア内を走ることができるため人気があります。申し込み多数の場合は、原則として旭区在住のチームを優先して抽選が行われます。この大会もすでに申込期間は過ぎています。

横浜市内でも、皆さんが楽しめる駅伝大会が開催されています。今年はエントリーに間に合わなかった方も、来年こそはぜひランニング仲間とチームを編成してみてはいかがでしょうか。

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

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