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元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

vol.82「2017年箱根」

 

 

 前回のコラムで膝のことを書いてしまったばかりに、いろいろな方からメールや連絡をいただいてしまいました。ご心配をおかけしました。実はもう大丈夫! ではないのですが、なんとか歩くことは問題なくなってきました。1か月でこの回復力とは情けない、、、、。

 

 さて、新年を迎え、私の初仕事は今年も箱根駅伝です。私の大学(法政大学)は、昨年20チーム中ブービーの19位でした。

 

 今年は予選会を4位で通過し、目標は10位以内。シード権獲得です。今年の箱根駅伝は例年よりも暖かく、穏やかな気候の中開催されました。

 

箱根駅伝1

 

 往路優勝は青山学院大学でした。3区でトップに立つとそのままトップを譲ることなくゴールしました。2位には33秒差で早稲田大学、2分24秒差で順天堂大学が入りました。

 

 うちは一度8位まで上がりましたが、6分28秒差の12位でゴール。復路の繰り上げは逃れました。10分以上差がつくと復路スタートは繰り上げスタートとなります。

 

 今回の大会から5区の区間距離が変更となりました。昨年までの23.2キロから20.8キロと短くなりました。それに伴って4区が18.5キロから20.9キロになりました。今までは距離が長い分5区の比重が高かったのですが、短くなったことでその比重が多少緩和されました。この区間距離変更は2006年に長くなったのが元に戻った感じです。

 

 往路12位だとシード権獲得圏外ですが、復路にも良い選手を残していたのでシードが狙える位置でのスタートです。

 

箱根駅伝2

 

 

 総合優勝は青山学院大学で、復路優勝も果たし完全優勝です。うちは8位でゴールしシード権を獲得しました。4年ぶりのシード権獲得です。6区の1年生の快走が功を奏した感じです。

 

 途中9区の選手が脚をけいれんしてしまい怪しかったのですが、なんとかシード権内を死守してくれました。来年の出場が決まったと思うとほっとします。

 

箱根駅伝3

 

 

 このシード権、優勝と同じように注目されていますが、あるとないとでは雲泥の差があります。シード権を獲得できないと10月の予選会を戦い、10位以内に入らなければなりません。

 

 予選会は駅伝ではなく一斉スタートですので戦い方が違います。そして何より、一度そこでピークを作らねばなりません。シード権を獲得できれば、予選会に関係なく1月の本戦に調子を合わせることができます。

 

 今年の10月もし烈な争いとなることでしょう。それを傍観できるわけです。なんという気楽さ。あ、ごめんなさい。

 

 箱根駅伝が始まる前に書けばよかったのですが、箱根駅伝はシード権獲得競争のように優勝の行方のみならずいろいろな見どころがあります。

 

 例えば、母校の襷がつながるかどうか。箱根駅伝ではトップが通過してから20分が経過すると繰り上げスタートとなってしまい、襷が途切れてしまいます。

 

 今回も7区で国士舘大学、そして10区では国士舘大学のほかに山梨学院大学、明治大学、日本大学、関東学連選抜の5チームが繰り上げスタートとなってしまいました。選手が中継所に歯を食いしばって走ってきても襷を渡す選手がいません。屈辱的で悔しい瞬間です。

 

 また、うちの9区の選手もそうでしたが、脚のけいれんや脱水などのアクシデントもあります。このアクシデントによって大きく減速してしまうことを我々はブレーキと呼びます。

 

 今回は止まってしまうなどという大きなブレーキはありませんでしたが、蛇行してしまう選手はいたようです。こういうものを見どころというのは不適切かもしれませんが、これもドラマの一つです。

 

 選手の後方を走っている車に乗っている各チームの監督が、特定の区間で許される選手へのアドバイスやゲキも見どころの一つでしょう。

 

 監督はその時のペースを選手に伝えたり、前や後ろの選手との距離やタイムを伝えたりするのですが、時には励ましの声をかけたり、最後まで死力を尽くして走り終えた選手へのねぎらいの言葉をかけたりしています。こうした監督の声によって選手は息を吹き返すことも多くあります。

 

 また、今年も沿道の応援はものすごかったのですが、沿道で応援している人を見るのも面白いです。意味の分からない(何かあるのでしょうが)ボードを持つ人、コスプレしている人などいろいろな人が沿道にいます。テレビの定点地点を狙って毎年いる人たちも多くいます。こうした人たちを探すのも面白いですよね。もしビデオ録画などあれば、チェックしてみるのも楽しいかもしれません。

 

 陸上競技をあまり知らない人に「お正月はいっつもなんか走っているねぇ」とよくいわれます。でもちゃんと見るとレースは本当に面白いですし、チーム、選手それぞれにドラマがあります。沿道を見る楽しみもあります。いままでちゃんと観ていなかった人がちゃんと観たら面白かったという話をよく耳にします。

 

 ちと早いですが、来年はまた違う観方で箱根駅伝を楽しまれてみてはいかがでしょうか。シード権を無事に獲得できて、書いていて余裕を感じてしまいました。すみません。でも良かったー。

 

 

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会男子短距離部長。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

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