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えのきどいちろうの横浜スポーツウォッチング

vol.44「箱根駅伝と横浜」

 箱根駅伝は不思議なレースだ。もう日本人のお正月になくてはならないくらい定着しているが、よく考えてみると「関東学連のローカル大会」である。大学の全日本選手権といった性格ではない。例えば関西や九州にどんな強豪校があったとしても出場しない。それからこれはよく論じられるところだが、駅伝はオリンピックにつながらない。いくら山登りのスペシャリストを育てたところで、それがマラソンや長距離走のメダル獲得に結び付かない。

 

 つまり、独特なレースなのだ。わからないが僕が九州国際大出身で福岡県久留米市在住、「白くまアイス」の丸永製菓株式会社に勤務していたとしよう。そうすると箱根駅伝は「自分と関係ない大学が関係ない道路を正月から走ってる」レースだ。じゃ、興味がないかというと、(たぶんだが)やっぱりテレビの前で「エントリーの当日変更はドラマだなぁ」なんて言ってると思う。

 

 以前、日本テレビが箱根駅伝中継を立ち上げたとき、最前線のディレクターを務められた田中晃さん(現・WOWOW社長)にお話しをうかがったことがある。田中さんはOBや選手らに話を聞いてまわって、これは特別なレースだと直感されたそうだ。皆にドラマがある。強い思い入れがある。それから絵に「正月マインド」に適う点にも確信を持った。海があってその向こうに富士山がある。大学陸上部の若人らはお茶の間の日本人を代表して、山岳信仰の「代参」をしてくれる。

 

 さて、当コラムは横浜という街とスポーツの関係について、取材を重ね、考えてみているのだが、新年最初は第92回箱根駅伝を取り上げようと思う。ご存知の通り、青山学院大の2連覇&39年ぶりの完全優勝(往路の1区から一度もトップを譲らず優勝!)に沸いた大会だ。総合2位・東洋大との差が7分以上という大差。アディダス製のフレッシュグリーンのユニホームをずっと見ていた感覚だ(強運にもアディダスは青学一校のユニホーム提供だった)。

 

20160102箱根駅伝 (40)
完全優勝・青山学院大学(2区・一色恭志選手)

 

 

 有難いことに東京・大手町から箱根の芦ノ湖まで走る以上、横浜を通過しないわけにいかない。条件は福岡県久留米市在住、「白くまアイス」の丸永製菓勤務よりずっと恵まれている。何しろ土地勘のあるところを選手らが走ってくれるのだ。

 

 横浜市の受け持ちは往路なら「花の2区」、復路なら9区。鶴見中継所と戸塚中継所の間ということになるだろう。高低差で有名な「権太坂」がある区間だ。各校のエース級が揃う高速区間。といって「権太坂」等のおかげていわゆる平坦コースではない。スピードに加え、馬力も必要だ。また長い区間だからスタミナも問われる。

 

 今年の「花の2区」は東洋大と山梨学院大の2番手争いに見応えがあった。区間賞は東洋大の服部勇馬選手、その服部と最後まで競り合ったのが山梨学院大のケニア人留学生、ドミニク・ニャイロ選手。2人のマッチレースはまさに「花の2区」と呼ぶにふさわしいものだった。

 

20160102箱根駅伝 (85)
「花の2区」権太坂でのマッチレース
2年連続区間賞の東洋大・服部勇馬選手(右)と山梨学院大のドミニク・ニャイロ選手

 

 

 ところで出場校のなかに横浜の学校はあるだろうか。やっぱりね、駅伝の舞台だけじゃなく、実際に地元の学校が走ってるほうが楽しい。ちなみに筆者は中大出身だが、向ヶ丘遊園の実家近くに一時期、専修大の陸上部合宿所があり、いつも走ってるのを見るうち、母校とともについ専修大を応援するようになった。そういう「地元意識」ってあるでしょう。

 

 横浜市の出場校は日体大と神奈川大であった。もちろんあくまで今大会の話。過去には横浜国立大、横浜市立大、関東学院大が本大会に出場している由(余談だが、実は福岡大や立命館大といった関東以外の学校が参加したことも例外的にあるにはある)。

 

 復路の9区は神奈川大に過酷なドラマが待っていた。2区と9区は往路と復路、コースの向きが違うだけに見えて、ドラマ性がまったく異なる。「花の2区」はレース序盤の見せ場であり、これから巻き起こるドラマの予感パートだ。皆、はつらつとしている。多少の劣勢はこれから挽回していける。

 

 に対して9区最後の鶴見中継所は無情の「繰り上げ一斉スタート」の舞台になることが多い。交通事情を勘案してトップ通過から20分で足切りが行われるのだ。一本のタスキをつなぐのが駅伝の本質である以上、それを断絶する「繰り上げスタート」ほど悲しいものはない。

 

 第92回大会では神奈川大、中大、日大、城西大、東京国際大、拓大、上武大、法大の8校が「繰り上げスタート」の悲哀を味わった。とりわけ可哀想だったのはたった4秒間に合わず、目前で「繰り上げスタート」を見ることになった神奈川大・大野日暉選手だ。今大会は横浜の学校が地元横浜で涙をのむことになってしまった。

 

20160103箱根駅伝 (145)
9区序盤を走る神奈川大・大野日暉選手(左)

えのきどいちろう プロフィール

コラムニスト

1959年8月13日生まれ
中央大学在学中にコラムニストとしての活動を開始。以来、多くの著書を発表。ラジオ・テレビでも活躍。

Book
「サッカー茶柱観測所」「F党宣言!俺たちの北海道日本ハムファイターズ」ほか

Magazine/Newspaper
「がんばれファイターズ」(北海道新聞)/「新潟レッツゴー!」(新潟日報)ほか

Radio/TV
「くにまるジャパン」(文化放送)/「土曜ワイドラジオTOKYO」(TBSラジオ)ほか

Web
アルビレックス新潟オフィシャルホームページ
「アルビレックス散歩道」

Web
ベースボールチャンネル
「えのきどいちろうのファイターズチャンネル」

※タイトル・本文に記載の人名・団体名は、掲載当時のものであり、閲覧時と異なる場合があります。

 
 
                           
 
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