スポーツは人を救う!
by :かぐや姫
今から10年前、私が何気なく通い始めた地元のスポーツクラブ。その出会いが後々自分の人生に、これほど大きな影響を与えることになるとは、その時想像もしていませんでした。
最初は運動不足解消に足を運んだプール。子どもの時は水泳の授業が大嫌いで、プールに入る前は決まって具合が悪くなってしまったほどの私。クロールの息継ぎもろくにできなくて、最初は一人で淡々と泳ぐ日々でした。そんな私の泳ぎを見ていたたまれなくなったのか、自然と周りの会員さんたちが声を掛けてくれるようになりました。皆さん熱心に指導してくださって、次第に「もっと上手くなりたい」という思いが自分の中で芽生えました。スポーツクラブのプログラムにあるレッスンを受け始め、少しずつ上達を感じながら、水泳に惹かれていきました。
やがて私は水泳を続けながら、スポーツクラブで受付のアルバイトを始めました。そこでは会員として通っているだけだったら経験できなかった、人とのふれあいが待っていました。毎週手作りのお弁当を差し入れしてくれるご夫婦もいれば、水泳教室や体操教室に通う子どもたちとの交流…、殺伐とした世の中で気持ちが暖かくなるひと時でした。まだよちよち歩きの赤ちゃんから、高齢者の方まで、本当に幅広い年齢層の人たちに力を与える場所なのだと、改めて思いました。
スポーツが与えてくれる力とは何でしょうか。どんなに前向きな気持ちでいても、落ち込んでしまう時は必ずあるもの。そんな時、私はいつもプールへ向かいます。「水に流す」の言葉通り、悲しい涙も悔しい思いも、忘れたいことは全部プールの水が受け止めてくれました。そして帰りは不思議と元気になっているんです。
先日、ロッカーで雑談を交わした一人の会員さんの話です。彼女は二人の娘さんのお母さんで、親子そろってスポーツクラブに熱心に通っています。いつも会社帰りにトレーニングに来る様子なので質問してみたら、「毎朝4時半に起きて、娘のお弁当を作ってから会社に行くのです」との返事が。そんなハードスケジュールの中、スポーツに励む姿勢に脱帽しましたが、「私、ここが無かったらうつになっていたかも(笑)。風邪もひきにくくなったし健康になりました」と微笑んでいました。スポーツは人を救う、と実感しました。
学生の頃は部活動に打ち込んだり、その中で友情を育むこともできましたが、大人になると自由な時間が限られ難しい。そんな時、身近でスポーツができる環境に目を向けてはいかがでしょうか。スポーツクラブに入るもよし、区のスポーツセンターをのぞいて見るもよし、ひとつのきっかけを作れば、間違いなく何かが変わると思います。そこにはお金で買うことができない、掛け替えのないものがあるのです。