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元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

vol.105「疲労骨折」

11月24日(土)私の勤務する法政大学多摩キャンパスで「八王子ロングディスタンス」という大会が開催されました。
この大会は実業団選手が中心の大会で、男子10000m走の1種目のみ7組で実施します。2年前には村山紘太選手(旭化成)が27分29秒69の日本新記録を樹立するなどレベルの高い大会です。今年は、先の10月にシカゴマラソンで2時間05分50秒の日本新記録を出したばかりの大迫傑選手(ナイキ)が出場するとあって、大変な盛り上がりでした。

 

大会は、安川電機のトゥル・メルガ選手が、27分25秒86で総合優勝しました。この記録は今シーズン世界6位相当の好記録です。
日本人選手では、鎧坂哲哉選手(旭化成)が27分55秒85の今季日本最高をマークしたほか、8月のアジア大会で男子マラソンを制した井上大仁選手(MHPS)が27分56秒27、さらに阿部弘輝選手(明治大学)27分56秒45、藤川拓也選手(中国電力)27分58秒87と複数の27分台が記録されました。
外国人選手と合わせて27分台が18人と、国際的にもレベルの高い大会となりました。少し寒かったですが、条件も大変良かったです。大迫選手は28分33秒92で、試運転気味に走っていました。

 

 

この大会は写真のように選手との距離が近く、世界トップクラスの走りを間近で観戦することができます。最終7組は外国人勢が多数走ります。アフリカ選手権のようで圧巻の走りを観ることができます。
来年もおそらく本学で開催すると思います。遠いですが、よろしければぜひ足を運んでください。入場は無料です。

 

12月2日(日)には、福岡国際マラソンが開催されました。
トヨタ自動車の服部勇馬選手が2時間07分27秒で見事な優勝を遂げました。服部選手も2年前の八王子ロングディスタンスに出場しています。服部選手は、この優勝でMGCの出場権を獲得しました。男子マラソンでは大迫選手、井上選手ら良い選手が出てきましたね。これでMGCファイナリストは 21人です。楽しみですね。

MGCの詳しい内容はこちら
vol.97「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)シリーズ」

 

さて、東京マラソン代表候補に名乗りを上げた服部選手、実は昨年までケガで、ほとんど走れない状況で、苦しいシーズンを経験していました。
彼を悩ませたケガは、アキレス腱炎と疲労骨折です。

 

疲労骨折は長距離選手に多く見られます。長距離選手に多くみられる疲労骨折の発症部位は、大腿骨、腓骨、脛骨、中足骨です。
疲労骨折は事故や突発的なケガによる骨折とは違い、繰り返しの運動による負荷によって骨にダメージが蓄積して起こります。ランニングなどの比較的弱い負荷であっても繰り返し負荷をかけると発症し、慢性的な痛みを伴います。

 

 

疲労骨折は気づかないことも多く、痛いので整形外科にかかったら既に治りかけているということも良くあります。なかなか引かない痛みがあったら、その部位をそっとで良いので指で押してみて、強い痛みを感じることがあったら、もしかしたら疲労骨折かもしれません。
例えば足の甲に慢性的な痛みがあるとき、軽く足の甲を指で痛みの個所に合わせてピンポイントに押してみてください。強い鈍痛があれば疲労骨折の可能性があるかもれません。疲労骨折は腫れを伴わないことも多いので、このような症状が見られたら整形外科に診てもらうのが良いでしょう。

 

疲労骨折を防ぐには、やはりウォーミングアップ、ストレッチが大事です。
硬いアスファルトなどの路面も脚に大きな負荷をかけてしまいます。芝生や土など比較的やわらかい走路を走るか、シューズをうまく選ぶことも大切です。
また、正しいフォームで走ることも重要です。

 

もちろんケアも重要です。走った後のクーリングダウン、ストレッチ、アイシングも有効です。
また、栄養不足から疲労骨折を起こしやすくなるともいわれています。カルシウム、マグネシウム、リンなどのミネラルをしっかりとるようにしましょう。女性はホルモンバランスの乱れによって骨吸収が進み疲労骨折を生じしやすくなることがあります。

 

福岡国際マラソンで優勝した服部選手は、この疲労骨折から復帰しての好記録です。しっかりとケアをしていれば再び活躍できるのです。
私も高校性の時、多分ですが脛骨を疲労骨折していたと思います。シンスプリントと同じような症状でしたが、立つことすらできないことが何日も続きました。
当時はよくわからなかったので放置してしまいました。完治に半年くらいかかりましたが、その後はケアに努め走れるようになりました。
みなさんはもし慢性的な痛みが出たら我慢せず病院に行ってくださいね。

 

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

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