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元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

vol.39「ランニングの障害」

梅雨に入り、気温も徐々に上がってきました。ランニングを楽しまれている皆さん。熱中症にはくれぐれも注意して下さい。さて、今回はランニングによる障害についてお話します。
ジョギングなどのランニングによる障害には、短距離走にみられる筋や腱の断裂やコンタクトスポーツにみられる打ち身や打撲、外傷性骨折などはあまり多くありません。ランニング障害の多くは、慢性的な障害、オーバーユースによるものです。突発的なものとしては捻挫くらいでしょうか。肉離れもみられますね。
ランニング障害の発生部位は膝が約半数を占めます(図1)。続いて足部、ふくらはぎ(スネを含む)、腰部となります。


障害の内容は、筋や腱の炎症、疲労骨折など様々ですが、障害の原因としては以下の3つが挙げられます。
1 身体的要因(筋力、アライメント、年齢、骨密度など)2 環境要因(路面、シューズ、気温、湿度など)3 トレーニング(フォーム、強度、頻度、量、休養、ウォーミングアップ不足など)
このように様々な要因が障害に関わっていますが、走るフォームを正しくすることで障害を少なくすることが可能です。図2はランニング時の接地時における下肢の「ねじれ」を表したものです。

図2 ランニング時の下肢の動き(臨床スポーツ医学、横江清司、1984)
図2からわかるように、着地した瞬間、足首は回外し、膝は内反します。接地中期は、足首が回内し、膝が外反します。そして離地に向かって足首は再び回外、膝は内反します。簡単に言うと、着地の時に足首、膝はねじられているということです。この「ねじれ」は、脚のつき方が悪いと余計に大きくなり、脚への負担を大きくしてしまいます。ましてやこの動きを走ることにより体重の数倍の負荷で何千、何万回も繰り返すのです。しかも多くの場合、アスファルトの堅い路面を走るのです。脚への負担は相当に大きなものとなります。

写真1は着地を後ろから撮影したものです。

写真1
着地してから足首が内側に大きくひねられているのがわかります。実はこの写真は私なのですが、私は現役時代からアキレス腱炎を患っていました。この「ねじれ」が原因だったのかもしれません。足を進行方向へ向け、注意をしていてもこの「ねじれ」は生じてしまいます。しかし、つま先が外を向いていたり、真っ直ぐ前に足を運べていなかったりするとこの「ねじれ」はさらに大きくなってしまいます。この「ねじれ」のことをプロネーションと言います。プロネーションにはいくつか種類があります。

写真1のようなプロネーションはオーバープロネイションといって、足首が内傾しているものをいいます。逆に外側に傾くのをアンダープロネーション(サビネーション)と言います。アンダープロネーションはシューズが柔らか過ぎてしまうと大きくなってしまいますので注意が必要です(写真2)。

写真2
これらを自分で判断して修正するのはなかなか難しいものです。しかし、シューズの足底の減り方で予測することができます(図3)

図3 ランナーのシューズの裏底の減り方(ランニング辞典:大修館書店より)
左は正常な減り方です。真中が過回内(オーバープロネーション)、右が過回外(アンダープロネーション)です。黒い方がより減りが大きいという意味です。過剰なプロネーションはランニング障害を引き起こしてしまいます。正しいフォームを身につけること(ハマスポVol.11)、脚にあったシューズ(ハマスポVol.4)を使用することはランニング障害の予防には必須です。
障害の要因であげた点も頭に入れながら、ランニングを楽しんでください。健康のために始めたランニングによって故障してしまうことのないようにしてくださいね。

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会男子短距離部長。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

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