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元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

vol.35「2月10日」

 2月10日(日)第74回市町村対抗『かながわ駅伝』競走大会が開催され、横浜市は見事4連覇、38回目の優勝を達成しました。


横浜チーム

 昨年のコラムでも紹介しましたが、この駅伝は、秦野市中央運動公園 〜 県立相模湖公園間51.5Kmを30チーム7区間で競います。横浜市の最終ランナーは法政大学の松田憲彦でした。10Kmを29分38秒で走り区間2位、1位をキープしてトップでゴールしました。彼は箱根駅伝で9区を走った選手です。さらに3区齊藤雄太郎(CREST)も法政大学出身です。齊藤は区間4位でした。2人とも役割は果たせたのではないでしょうか。2人がお世話になりありがとうございました。


松田選手がゴール!

 写真は松田から拝借しました。

 うち(法政大学)からは、他に総合3位の茅ケ崎市に高梨寛隆、総合6位川崎市に須崎裕也、総合14位逗子市に大久保圭と中西正明が走らせていただきました。地元の代表選手として走らせていただけることは名誉でもあり、大変ありがたいことです。少しでも貢献できたなら幸いです。

 さて、私にはもうひとつ紹介したいニュースがあります。かながわ駅伝と同じ10日にスロバギア・ポプラドで開かれたアイスホッケー女子のソチ・冬季オリンピック最終予選で日本女子代表がソチ・冬季オリンピック出場権を獲得したのです。テレビなどご覧になり、御存じの方も多いと思います。

 今回の最終予選は、日本、スロバキア、ノルウェー、デンマークの4チームによるリーグ戦で1位となると出場権が与えられます。10日の最終戦、勝ち点4の日本は、勝ち点5のデンマークと対戦しました。勝てば1位となり、ソチ・冬季オリンピック出場権獲得となります。結果は5対0で勝利、日本は勝ち点7で1位となり、長野オリンピック(1998年)以来、4大会ぶりのオリンピック出場を決めました。

 このアイスホッケーの結果をなぜ紹介したかと言いますと、女子アイスホッケー日本代表のディフェンスの要、鈴木世奈さんは法政大学の在学生なのです。私の授業も昨年受けていました。大活躍で頼もしい限りです。また、名前は伏せますが、この代表選手の中には来春の法政大学進学予定者もいます。こちらも活躍していました。2人のオリンピックでの活躍に期待しています。

 結果と写真が少しあります。

 ソチ・冬季オリンピックは、別のリーグ戦である最終予選で勝ち上がったドイツを加え8チームで戦います。残り6チームは世界ランキング上位のカナダ、米国、フィンランド、スイス、スウェーデン、ロシアです。ちなみに日本は世界ランキング11位です。最終予選では7位のスロバキアに敗れはしましたが、力は互角、いやそれ以上でした。

 女子アイスホッケーが正式種目となったのは1998年の長野大会からです。その時、女子日本チームは予選リーグの5試合すべてに敗れ、最下位に終わりました。ドイツはランキング8位ですので11位の日本は、実質最下位。日本はまず1勝。そして1つでも多く試合をしてほしいですね。

 第22回冬季オリンピックは2014年2月7日から23日にロシア・ソチで開催が予定されます。ソチのBig iceスタジアムでの熱戦、今から楽しみです。

 さて、12日には驚いたニュースがありました。それは、レスリングがオリンピックの主要競技(中核競技)から外れるかもしれないというニュースでした。

 レスリングは陸上競技や水泳とともに大変歴史のある競技です。第1回アテネ・オリンピックでも開催されています。

 第1回アテネ・オリンピックで開催された競技は以下の8競技です。
陸上競技
水泳
体操(ウエイトリフティングを含む)
レスリング
フェンシング
射撃
自転車
テニス

 今まで野球やソフトボールがオリンピックから除外されるかもという問題は耳にしていましたが、今回の国際オリンピック委員会(IOC)の「レスリングの主要競技(中核競技)から除外勧告」の発表は大変な驚きでした。私は第1回から開催されているような伝統ある競技は無くなるわけはないと確信していましたから、寝耳に水です。

 主要競技(中核競技)とは25競技で以下の競技となります。
陸上競技
ボート
バドミントン
バスケットボール
ボクシング
カヌー
自転車
馬術
フェンシング
サッカー
体操
重量挙げ
ハンドボール
ホッケー
柔道
水泳
近代五種
テコンドー
テニス
卓球
射撃
アーチェリー
トライアスロン
セーリング
バレーボール

 2016年リオデジャネイロ・オリンピックでは、この25競技にゴルフとラグビー7人制を加えた27競技の実施が確定しています。2020年のオリンピックは、28競技の実施が予定されています。つまり残り1競技ということになります。

 国際オリンピック委員会(IOC)は今後、野球およびソフトボール、空手、ローラースケート、スポーツクライミング、スカッシュ、ウェークボード(水上スキー)、太極拳にレスリングを加えた8競技の中から1競技を選出し、2020年大会の競技に26競技目として追加するのだそうです。国際オリンピック委員会(IOC)の発表によると、この8競技は、ロシアで2013年5月に開催される会合でオリンピック競技として採用してもらうためのプレゼンを行います。その結果を受け、国際オリンピック委員会(IOC)が1つの競技を推薦するそうです。そして2013年9月にアルゼンチンのブエノスアイレスで行われるIOC総会で投票によって正式に決定するようです。2020年のオリンピックは東京が立候補しているのですよね。野球、ソフトボールと争うのですか…。

 2020年に開かれる第32回夏季オリンピックの開催地についても、2013年9月7日にアルゼンチンのブエノスアイレスで行われるIOC総会で決定します。

 ここで両方が決まるわけですね。

 このニュース、本当なのでしょうか。未だに信じられません。

 個人的にレスリングは外さないでほしいです。レスリングで日本が活躍しているから、メダルが狙えるからという訳ではありません。もちろん吉田沙保里さんや伊調千春さんのメダル獲得には期待していますが、それよりもレスリングという競技自体の歴史や背景を大事にすべきと考えます。レスリングは第1回オリンピックからと書きましたが、実は古代オリンピックでもレスリング(pale)は行われているのです。紀元前708年の第18回大会からはペンタスロン(Pentathlon)といわれる短距離競走、幅跳び、円盤投げ、やり投げ、レスリングで競う五種競技が行われ、レスリング単独でも紀元前668年から実施されています。さらにそのはるか昔、古代エジプトでもレスリングは行われていました。「誰が一番強いのか」は「誰が一番足が速いのか」や「跳べるのか、投げられるのか」と同じく人間の本質的な欲求から生まれた競技なのです。


古代オリンピックでのレスリング (図説 世界体育史 新思潮社より)

 レスリングを除外する明確な理由も提示されていませんし、ロビー活動が、などという話も耳にします。もし、商業的な理由や政治的な理由であったなら大変残念なことです。オリンピックは1980年代から多くの競技が導入され、伝統ある競技と新しい競技とが混在した大会となりました。規模が大きくなり肥大化が問題視されることもありましたが、近年ではスリム化がなされています。私は、古臭い考えなのかもしれませんが、オリンピックはいったいどこへ向かおうとしているのでしょうか。

 2020年オリンピックにぜひレスリングを、野球もそしてソフトも。

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

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