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あんどうたかおのバスケにどっぷり

vol.92「ビーコルの反省とNBAプレーオフ」

「悔しい!」

今シーズンの横浜ビー・コルセアーズを表す言葉として最も相応しい言葉ですね。

 

何が悔しいって、あと1勝していたらプレーオフへ出られた可能性があったからです。

 

勝負事に「たられば」は禁物なのは十分承知していますが、もし4月11日(土)高崎市浜川体育館での群馬戦に勝っていたら、勝ち数で群馬を上回り福島と同数になりますが、福島には対戦カードでの勝ち数においてビーコルが3勝1敗で上回り上位となるため、8位になれたからです。あーーあっ!!
まあ群馬戦以外でも勿体ない敗戦が多かった今シーズンです。

 

2014年中は外国人選手の怪我が多く、負けてもしょうがないと思いますが、外人が4人となり「フル・ロースター」になった1月からの敗戦は納得できません。悪くても同カード(TKbjでは同じ相手と2連戦)は、1勝1敗でなくては、まして順位が下位チームに対しては2勝しなくてはいけません。

 

その意味では3月28日(土)、29日(日)vs福島戦、4月11日(土)、12日(日)vs群馬戦、同18日(土)、19日(日)vs埼玉戦は連勝してなくてはいけなかったし、さらにいえば2月21日(土)、22日(日)vs富山戦、3月7日(土)、8日(日)vs秋田戦、同21日(土)、22日(日)vs仙台戦の連敗はいただけなかったですね。

 

コラム1

 

コラム2

 

コラム3

写真:4月26日(日)最終戦 vs東京サンレーヴス トッケイセキュリティ平塚総合体育館

 

 

ビーコルは何故今シーズン勝てなかったのか。
検証してみましょう。

 

1) ディフェンスのプレッシャー(圧力)が弱かった。
何度か書いてきましたが、最初の2シーズンは「ディフェンスのビーコルか、ビーコルのディフェンスか」と言われたほどディフェンスが強く、それが勝利に結びついていました。

今シーズンも外国人選手が少ない時期のディフェンスは素晴らしいものがありましたが、フル・ロースターになってから、一人ひとりのプレッシャーが緩くなっていました。

 

2) 立ち上がりが悪かった。
敗戦の多くは第1Qにリードされています。上記の群馬戦は第1Q13-23、2月6日(金)vs埼玉戦は第1Q10-23、仙台戦15-21、13-30等々。これは1)で書いたディフェンスの弱さからくるもので、さらに言えば精神的問題として、ゲームに「フワ~ッと入ってしまった」ことでしょう。結局第1Qのビハインドを取り戻そうとしてその後ペースを上げて追い上げるのですが、そこでエナジーを使いきってしまい、逆転後にダメ押し点を取らなくてはいけないのに、簡単に攻めてミスをして逃げ切られるパターンが多く見受けられました。

リラックスは大事ですが、最初から集中しなくてはいけません。

 

3) ボールへの集中力が足らなかった。
ルーズ・ボール(誰もボールを持っていない状態)への反応や飛びつき方が、遅く甘いです。バスケット界では身長や個人能力が低いチームは、ボックスアウトやルーズ・ボールに飛びつく事が最終兵器になることが多く、能力の高いチームから見るとダサそうに思えますが、それは違います。強いチームほどルーズ・ボールを大事にします。

NBAではヘルド・ボール(相手同士で同時にボールを持つこと)に対して、レフリーは「早く笛を吹く」傾向にあります。ボールを自チームのモノにしようと飛び込んで来る(体当たりする)選手が多いからで、怪我予防のため「早く笛を吹く」と言われています。強くても弱くても必死です。

 

4) インサイド・オフェンスのパターンが少なかった
ビーコルは211cmの#50ウェイン・マーシャルは当然として、#33ジャーフロー・ラーカイ(203cm)と#22カール・ホール(201cm)は、センター及びパワーフォワードとしては低身長ながら、インサイド(以下I/S)の攻防に強い選手で、3人も抱えているチームはほとんどありません。そのため他チームからも「I/Sに強いビーコル」と言われるようになりました。

実はそれが裏目に出ています。個人個人が強いため、I/Sにボールをパスした後はその選手に任せっぱなしが多くなります。もっと悪いことは、パスした後は見ているだけで脚が止まるケースがほとんどです。

 

その何が悪いのか。

 

敵の立場になると、I/S対策を練ってきます。現代は映像化が一般化していて、ゲームの内容はリアルタイムで判るうえ、スカウティング術も発達していて、ゲーム翌日にはプレー内容は丸裸にされてしまいます。

そうなると、ビーコルはインサイドにボールを入れるのは上手いけれど、入れた後は何もせず、ボールを持った選手1人がプレー(シュート)している事が判るんですね。となればボールを持ったI/Sの選手を1人で守るのでは無く数人で囲んだり、小さく守ってパスさせ辛くするわけです。

Wチームどころか3人に囲まれボールを奪いにこられたりゴールを守られては、簡単にシュートは出来ないし、出来ても入りません。これで何度やられたことか(涙)

 

その対策としてはI/S同士のパス(ハイ・ローとも言う)や、ディフェンスを引きつけておいてアウトサイド(以下O/S)へパスして撃たせる、「インサイド・アウト」と言う作戦もあります。これについてはVol.89に書いております。

ましてO/Sには#3蒲谷正之(3P成功率38.3%)や#15ウォーレン・ナイルズ(3P成功率34.1%)という3Pシューターが控えていて、他にも#37河野誠司(3P成功率34.0%)、#13山田謙治(3P成功率32.5%)もいるわけですから。

ゴール方面から来たパスのシュートは入る確率が高い(数値は出ていませんが、バスケット界の神話です)ので、インサイド・アウトは大事です。またインサイド・アウトをされると、ディフェンスはどっちに付いたら良いのか迷います。中途半端になればI/Sが攻められるし、小さく守ればO/Sからスリー(3Pシュート)を決められてしまいます。

そうなればI/Sの強さが活かされる、ということです。

 

5) 速攻が少なかった
不思議ですねー、最初のシーズンから速攻は少なかったですね。ビーコルの得点が低いのは、速攻が少ないことにも起因していると思います。

速攻にはスティール(ディフェンスで相手ボールを奪うこと)から単独で走るものと、リバウンドからのシステムで出すものと2種あると思いますが、ビーコルのスティールはイースタン・カンファレンス平均よりかなり低いため、スティールからの速攻が少ないのはしょうがないとしても、リバウンドは強いのでそこからの速攻がもっと多くても良いと思いました。フル・ロースターになり、特に#22ホールが来てからはリバウンドの数が増えていて、相手より3~4個ほど多くなっています。

これを活かして欲しかったなー、というのが正直なところです。

 

 

ここまで書いてくるとビーコルは悪いところだらけの様に思えてしまいますが、そうじゃないことはブースターさんなら判っていると思います。

 

外国人選手が少ない時に、自分より20cm以上も長身の外人に身体を張ってマッチアップした#73久山智志や#7堀川竜一の必死さは、見ている人に感動を与えてくれました。

 

数字上では#22ホールを筆頭に#15ナイルズ、#50マーシャル、#33ラーカイの外国人勢がゴール下で暴れてくれたお陰で、フリースロー(FT)の試投数が仙台、岩手に次いで3位、アシストも#13山田、#3蒲谷のお陰で秋田、新潟、信州に次いで4位です。アシストは得点しないと記録されないので、前半戦の外国人選手不在で得点力が下がった時期が長かったビーコルには不利でしたが、チーム・プレーが出来ている証拠でしょう。

 

これらの反省を活かして、来シーズンこそプレーオフ出場、そして優勝して欲しいものです。

集合写真

 

 

◆NBAの話題
本場アメリカのNBA(National Basketball Association)はTKbjより早くプレーオフに突入してます。

NBAは30チームで構成されていますが、それを2カンファレンス、さらにその中を3ディビジョン、つまり全体を6個のブロックに分けて、レギュラーシーズン(リーグ戦)82ゲームを行ないます。

82ゲームの成績を基に、各カンファレンス上位8チーム(順位決めは複雑なので省きます)でトーナメント(7回戦制、4勝で勝ち抜け)を行ない、その優勝チーム同士でNBAチャンピオンを争います。

 

今シーズン注目の的は、レブロン・ジェームスが戻ってきたクリーブランド・キャバリアーズ(以下、キャブズ)でした。元々キャブズには、カイリー・アービングというスーパーガードがいて、レブロン加入に応えケビン・ラブというI/Sも3Pも得意とするフォワードも獲得し、前シーズン33勝49敗イースタン10位のチームが一躍優勝候補に挙げられました。ところが立ち上がりが悪く、中盤からやっと本来の力を発揮できるようになりました。

 

キャブズに取って代わって脚光をあび優勝候補に挙げられたのが、ウエスタン・カンファレンスのゴールデンステート・ウォリアーズです。

昨シーズンはキワモノの3Pシューターと見られていたステフォン・カリーが本物として認められ、さらに相棒のクレイ・トンプソンの3Pも確実で「スプラッシュ・ブラザース」と名付けられたばかりではなく、チームとしてディフェンス力が高いため、最有力視されている。

ちなみにキャブズのディフェンス力はリーグ20位(笑)。

 

そのウエスタンでの強敵は、ヒューストン・ロケッツ(56勝26敗 )とLAクリッパーズ(56勝26敗 )とサンアントニオ・スパーズ(55勝27敗)。

 

ロケッツはゴール下で圧倒的支配力を持つドワイト・ハワードと、I/SもO/Sも攻撃の上手いジェームス・ハーデンがいます。

クリッパーズには#1ポイントガードといわれるクリス・ポールと、ダンクだけじゃなくスキルも上達してきたブレーク・グリフィンが中心の見ていて面白く強いチーム。

そしてディフェンディング・チャンピオン(前回王者)のスパーズには、地味ながら#1センターといわれるテクニシャンのティム・ダンカンと、フランス人の名PGトニー・パーカー、超地味なフォワード、クワイ・レナード、その他も地味ながらスキルを持ち、バスケットIQが高い世界中から集まった選手の集まりです。一番素晴らしいバスケットをすると評判です。

 

ところが注目のクリッパーズとスパーズが第1ラウンドで対戦となってしまい、大接戦の末、最終戦までもつれ込み最後は111-109でスパーズを下したクリッパーズが4勝3敗として勝ち抜けました。

 

現在は、各カンファレンス準決勝を行っています。組み合わせ等はこちらでご覧下さい。

こちらをクリック

 

日本だけではなく、アメリカのバスケットもいかがですか?

 

 

【追記】
ポスター

 

*第73回早慶バスケットボール定期戦*
日 時:2015年6月6日(土)
会 場:国立代々木第二体育館
入場料:前売り 中学生以上 1,000円(当日 1,200円/小学生以下無料)
*プログラム付き

詳しくは下記サイトまで

第73回慶早バスケットボール定期戦 前売り券申し込みについて

 

 

 

あんどうたかお プロフィール

1946年生まれ。

月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。

現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。

NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。

過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。

横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。

現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。

また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。

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