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あんどうたかおのバスケにどっぷり

vol.71「横浜の中学が強いわけ」

今年の夏は、例年以上に暑くなりそうですね。中学生の最後の大会といえば夏の中学総体といわれる神奈川県中学校総合体育大会です。この大会は各市を勝ち抜いたチームが戦う地区予選を経た、男女共に32チームによって行われます。 第47回神奈川県中学校総合体育大会、そして第58回目となる神奈川県中学校バスケットボール大会は7月28日(月)から31日(木)まで大井町総合体育館、小田原アリーナ、南足柄市体育センター、山北町立山北中学、相洋中学・高等学校体育館の5会場で行われました。
32チームを各8チームの4ブロックに分けトーナメントを行い、各ブロックの勝者4チームで決勝リーグが行われ、そして上位2チームだけが全国大会へ通じる関東大会へ出場できるのです。 女子では市立戸塚中がCブロックを勝ち抜き決勝リーグへ進出。一方男子はEブロックで第一シードの南菅中(川崎地区1位)を下して市立今宿中(横浜7位)が、Fブロックではシードの市立境木中(横浜2位)を破った市立豊田中(横浜9位)が、Gブロックでは横浜1位の市立南希望が丘中(以下南希中)の3チームが決勝リーグへ進出しました。つまり県内4強の内3チームが横浜市のチームなんです。

◆男子決勝リーグ初日今宿中vs豊田中戦、南希中vs柿生中(川崎2位)戦が行われました。豊田中は強いディフェンスと#14の3P等で得点するのに対し、今宿中は#10を中心に中外バランス良く得点しリードを奪います。終盤豊田中は#14の3Pで追い上げるものの54-53の1点差で今宿中が逃げ切りました。しかし敗れたとはいえ最後まで諦めず追い上げ、1点差にしたことが最後に響いてきます。今宿中は1勝0敗、豊田中は0勝1敗。 神奈川県といえば、3月のジュニア・オールスター(選抜チームでの県対抗大会。隠れたビッグマンや優秀な選手の発掘するために開催)で17年ぶり4度目の優勝を果たしたチームです。そのキャプテンが南希中のPG新田嵐、そして決勝戦でゲームハイ25得点を叩き込んだセンター植松義也が柿生中、この神奈川県のエース同士が分かれて戦うんです!!南希中は横浜予選を1位で通過し、新田を中心とするスピードのあるチーム。対する柿生中は植松の高さを活かしインサイドを中心に攻めます。柿生中は植松以外に外からのシュートも決まり55-64で南希中の勝利、南希中は0勝1敗。敗れた南希中のユニフォーム、どこかで見たような?!そう、南希中は横浜ビー・コルセアーズのPG山田謙治の母校なんです。そこでビーコルをリスペクトして同じようなユニフォームにしたということです。
◆男子決勝リーグ2日目 前日の勝者と敗者の対戦、そして前日の勝者同士、敗者同士の対戦。1日で2ゲーム。今宿中vs南希中戦 リードしている今宿中を強いプレス・ディフェンスで南希中が終盤追い上げ、#14の3Pでオーバータイム(延長戦)に持ち込んだ勢いのまま、新田の活躍で76-71で南希中が逆転勝ち。南希中1勝1敗、今宿中1勝1敗となり混戦模様。豊田中vs柿生中戦 ディフェンスが良く、前半をリードした豊田中でしたが、後半に入り柿生中はインサイドの植松にボールを集める作戦で得点され逆転を喫し57-59で敗れ、豊田中は0勝2敗となり、後のない苦しい展開になりました。とはいえ2ゲーム共に2点差以内の大接戦です。柿生中は2勝0敗となり出場へ大きく前進しましたが決定ではありません。
◆最終戦南希中vs豊田中、柿生中vs今宿中の組み合わせです。
今宿中と柿生中が2勝1敗で同率になり、更に南希中が豊田中に勝つと、柿生中・今宿中・南希中の3チームが2勝1敗で並び、そのうえ3チーム間での勝敗は3チームともに1勝1敗になるため、3チーム間のゴールアベレージ(3チーム間での総得点÷総失点)が高い2チームが出場となります。今回は判り易くするために得失点差(3チーム間での総得点-3チーム間での総失点)で試算します。この時点では柿生中は+9点、南希中は+3点(決定)、今宿中は-6点となり、柿生中が一番有利になりますが、今宿中も柿生中に8点以上の差をつければ1位となり、南希中が2位となります。
1)柿生中が3勝0敗で関東大会へ出場決定!!2)南希中vs豊田中戦で南希中が勝てば南希中が2勝1敗となり、柿生中、南希中の2チームが関東大会行きとなります。3)豊田中が勝つと、柿生中以外の3チームが1勝2敗で並び、更にこの3チーム間の勝率も1勝1敗で同率のため、この3チーム間でのゴールアベレージでの勝負となります。
ゲーム前の計算は、今宿中-5点(決定)、南希中+6点、豊田中-1点となり南希中が有利ですが、豊田中は直接対決となる南希中戦で4点以上の差をつけて勝てば2位となって関東大会出場となります。イヤイヤ複雑すぎる(汗)大会本部では先生方が一生懸命に計算していました。 この2ゲームは同時進行です。

柿生中vs今宿中戦は、柿生中がインサイドと外のシュートがバランスよく始めからリードを奪い、前半で37-13と大差を付けたため南希中vs豊田中戦の観戦に集中しました。


柿生中vs今宿中


南希中vs豊田中

豊田中は全員がスピードありうまい上にディフェンスが強く穴の少ないチームですが、長身者がいません。対する南希中もスピードスター新田がリードするスピードがありディフェンスの強いチームで、こちらも目立った長身者がいない。豊田中は新田に対して、抜かれてもゴール下を集中して守るチーム全員ディフェンスを敷くと、これまでのようには新田もペネトレイトできなくなってチームのリズムが壊れ得点できなくなりました。後半に入り南希中は得意の強い当たりのディフェンスで追い上げ10点差まで詰め寄ったものの、午前中に行った今宿中戦のオーバータイムの疲れが出てきたのか、シュートの確率が悪い。そこを豊田中は#14が3Pを決め突き放し66-56と10点差を付けて勝った!!この結果、上記3)により、今宿中-5点、南希中-4点、豊田中+9点となり、豊田中が2位へ躍り出て0勝2敗から関東大会行きを決めました!!
ということで5日(月)からひたちなか市で行われる関東大会には横浜市からは男子の豊田中が出場します!
ここで面白いことに気が付きました。県大会でファイナル4に残った横浜市のチームは横浜市大会での順位と大きく変わっていることです。男子は横浜市1位の南希中は県で3位と下がり、横浜市7位の今宿中は県で4位となり、県2位となった豊田中に至っては横浜市9位でしたからね!完全に下剋上の世界です!そういえば昨年も市1位の桐蔭中が決勝リーグ入り前で敗れる波乱があり、この傾向はこの数年続いているようです。
それは何故なのか。横浜市中体連強化部長の児玉芳樹先生に聞いてみました。「横浜市の場合、上位16チームの力の差はほとんどなく、その日のコンディションや相性によって順位が変わり、また指導者の考えで目標とする大会が横浜市大会であったり県大会であったりするので違ってくるのではないでしょうか? よく言われるのは、横浜市大会で勝つと県大会で勝てないとか(笑)。
また市大会で負けたチームが反省点を見出し修正することで強くなり、県大会で勝つ、ということもあると思います」と言っていました。横浜市の場合は県大会へ12チーム出場できるため、目標を県大会に合わせ、市大会はあくまで通過点と考えていることもあるかもしれません。中には豊田中の様に、元々市では第2シードだったのに、ベスト8決めの市立樽町中戦で準エースの#16が捻挫して不調だったために敗れた、というケースもあるようです。
それにしても男子は県大会ベスト8中、4チーム。決勝リーグに至っては4チーム中3チームが横浜市のチームです。女子も今年こそ4強に1チームしか入れませんでしたが、昨年は2チーム入っていました。

 

何故横浜市のチームは強いのでしょうか?
今回3位となった今宿中の校長で、かつては市立富岡東中や市立金沢中で関東大会や全国大会出場という輝かしい指導歴を持つ熊谷守浩先生に話を聞きました。「横浜市はミニバスケットが強い。そして常に大会があり、複数校の強いチームで切磋琢磨しています。勝ったからと油断していると足元をすくわれため、指導者は勉強せざるを得なくなっています。子供たちも当然切磋琢磨しています。選手の数が多いことも強い原因だと思います」

その横浜市のミニバスの特徴として「スピードとクイックネスがあり、ドリブル等のスキル(技術)を持っていて、バスケットを良く知っていることです。悪い表現を使うと「狡いプレー」ができますが、全体的に身長は低いことです。それが中学にも引き継がれているというわけです。そんな中から生まれたのが元NBA選手の田臥勇太(大道中、現リンク栃木ブレックス)であり、bjチャンピオン、ビーコルの山田謙治であり、JBL準優勝・東芝の篠山竜青(旭中出身)、古くは佐古賢一(汲沢中出身、元いすゞ自動車。日本有数の名PGといわれていました)というPG達なのです。
また前出の児玉先生も「学校数が160近くと多いのでそこで切磋琢磨しているのが大きな理由かと思います。ミニバスは旭区と戸塚区が特に盛んです。また熱心な指導者が多く、練習ゲーム等をしてコミュニケーションを取り、お互いのチームの向上に役立てています。他地区でもやっているとは思いますが、年に一度講師を招いての講習会を行い、そこでの話を先生同士で広めることもしています。市の強化部には20人ほどの先生がいて、将来的には横浜市のバスケットの進む方向を決めることにも取り組みたいと思っています。最近はミニバスの指導者との連携を深めようと、私のいる旭区では既に話が進んでいます。旭区はミニの方が育ててくれるので中学が強くなります」と語ってくれました。
その結果、旭区から南希中、本宿中、今宿中の3チームが今大会出場(他に万騎が原中、旭中も有名です)。戸塚区からも豊田中、境木中、女子では名瀬中、戸塚中が出場(他に平戸中、汲沢中が有名)していて、両区の強さを物語っています。ミニバスとも共に考えて行くことは非常に大事なことだと思います。
 

そうなれば指導のサイクルが3年では無く、5年にも6年にもなり、長いスパンで考えられるため、丁寧できめ細かい指導ができるので、非常に優利だと思います。
このような良いことは横浜市だけでは無く、全ての地区で行っていけたら、日本が強くなりますね。

あんどうたかお プロフィール

1946年生まれ。

月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。

現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。

NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。

過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。

横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。

現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。

また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。

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