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あんどうたかおのバスケにどっぷり

vol.66「不調のビーコル」

 暖かくなり、ようやく春めいてきましたが。横浜ビー・コルセアーズは未だ厳冬のままです(涙)。

 この1か月間、信州に97-83、79-77と連勝したものの、イースタン・カンファレンスの強豪岩手には68-92,75-62で分け、ウエスタン・カンファレンス首位・沖縄には62-77,58-75と連敗し、ウエスタン9位大分に80-62,67-73とまさかの1勝1敗で、計4勝4敗で勝率50%と低迷してます。

 理由はいろいろとあります。初めに岩手、沖縄と言うリーグの強豪と対戦したことが挙げられますが、一番の敗因はガードの#2ドゥレイロン・バーンズの怪我による欠場です。2月23日(土)岩手のゲーム①でペネトレイトした際にディフェンスの膝が右太腿を打撲したためで、それ以来出場してません。


右太腿を打撲した#2ドゥレイロン・バーンズ

 #2バーンズと言えばAvg.(1ゲーム平均)20.6得点していて、ビーコルの得点の1/4を稼ぐポイントゲッターです。#2バーンズが居ないと言うことは、単純計算するとチーム得点はAvg.で65.3点に下がる、と言うことですが、現実には欠場してる5ゲームのAvg.は68.4点なので、辛うじてちょっと多くなってる程度です(笑)。

 簡単には#2バーンズの穴は埋められません。

 3P(3点シュート)が多いビーコルの中でも3PとFT(フリースロー)を一番多く撃ち、一番多く決めてます。3Pの確率は40.2%で#3蒲谷キャプテンに次ぎ#2に、リーグでも8位にランクされてます。3Pのような外からのシュートだけでは無く、ドリブルでリングへアタックするのも多くなっています。アウトサイドで離せば3Pを撃ち、近づいて守ろうとすればドリブルでスルリとかわされ、2人で守りに行けばパスをされる、相手にとって嫌な存在です。

 同じようなプレーをするのが#3蒲谷で、彼は鋭くドライブしてから、シュートだけでは無くアシスト・パスを供給することが多い選手です。そしてもう一人#1トーマス・ケネディーも外の3Pを中心とした攻撃を仕掛けます。

 このBig3が外から中からと攻撃するのがビーコルのパターンなので、得点源が3人もいるため相手チームは的を絞り辛くなるため、3人が出る第2Q(Avg.20.3点)と第4Q(22.0点)はビーコルの得点が多くなる一因となってますが、その内の一人が居なくなると相手ディフェンスはかなりやり易くなるため、#2バーンズがスタメンとならない第1QはAvg.17.2点と低くなってます。

 出来ればここで#13山田や#73久山がアグレッシヴに攻めて得点を増やしたいところなのですが。

 #2バーンズは得点ばかりでは無く、アシストはチーム#1で、出場時間とリバウンドもトップクラスで、リーグ・ランキングでは得点4位、アシスト5位、スティール1位、前述の3P成功率も含め4カテゴリーでトップ10に入っているリーグ唯一の選手で、ビーコルの攻守の要となっていて、WBCで言えば阿部捕手のような存在です。

 その#2バーンズの穴をオフェンスで埋めるのは至難の業ですが、#37河野誠司と#73久山智志が得点でちょこっと貢献してくれました。しかし一番大きかったのは長身#22ショーン・マロイ(208㎝)で、プレータイムはAvg.16.1分→30.2分に、得点が6.9点→12.0点に、リバウンドが5.5→8.8本と大幅に数字を伸ばしました。

 #2バーンズが居なくて困るのはオフェンスだけではありません。昨シーズン彼が中途入団した時のプロフィールに「ディフェンスも好きで得意」と書いてありました。ディフェンスと言えばビーコルの代名詞みたいなものですが、その中でもディフェンスが得意と言えば、昨シーズン在籍していた#10マーカス・シモンズが思い出されます。鋭いフットワークと粘り強いディフェンスで相手にボールを持たせない、シュートさせない「エースキラー」でした。そのシモンズがファール・トラブル(ファールが増えること)になった時、#2バーンズが替わりに相手エースを抑え込み、勝利したことが何度も有ります。

 ディフェンスと言うのは数字に出すのが難しいものですが、前述したようにスティール(ディフェンスで相手のドリブルをチェックしたり、パスをカットしたりして味方ボールにすること)がビーコル内のみならずリーグで#1になっており、彼が抜けて失点Avg.が上昇するのではないかと心配されました。

 オフェンス(シュート)とディフェンスの大きな違いは、オフェンスは天賦の才能が左右することが多いのですが、ディフェンスは能力よりは努力が良い結果をもたらします。

 ビーコルはディフェンスのパターンを数多く持っており、ディフェンスのフォーメイション(システム)を元に動いています。例えばA選手が抜かれたら、B選手がカバーに行く、そのB選手のカバーはC選手が自分のマークマンと同時に守る、と言うような取決めが有り、それに基づいてディフェンスしてます。

 それとは別に相手チームや選手によってディフェンスの決め事を作ります。例えばピック&ロールと言う2人のスクリーン・プレー(ツーメン・ゲームとも言う)に対し、シュートが上手いD選手にはオーヴァー気味に位置するが、ドリブルの多いE選手には下がって付け、とか変えてきます。これは次回対戦チームの動画を見てコーチ・ゲーリーが考え練習しますが、ゲーム当日の「ウォークスルー」と言う通し稽古みたいな練習では再度確認してゆっくりと動きながら練習をします。


ウォークスルー

 努力はコーチ・ゲーリーだけでは無く、選手も多くの努力と犠牲を払います。相手チームがやりそうなプレーをスタメン以外の選手が真似て、出場する選手達と対戦してシミレーションするわけで、ディフェンスに費やす時間はかなり多くなっています。このような努力をチーム全体で行うので、ディフェンスが良いと言われるのです。

 そのことを#2バーンズが居ない5ゲームの数字で実証しましょう。

 2月24日、得点Avg.83.8点の岩手を62点に抑え勝利。
 3月2,3日 得点Avg.82.4点の王者・沖縄を77点、75点と70点台に抑えた。
  9,10日 得点Avg.71.8点の大分を62点、75点に抑えた。

 このようにvs大分ゲーム②以外は全て相手得点Avg.より低く抑えています。
#2バーンズの怪我以前、得点Avg.82.9点、失点Avg.72.9点だったのが、大分戦後には80.6点と73.0点となりました。得点が減ったのはしょうが有りませんが、失点が殆ど変らなかったのが素晴らしく、そしてビーコルらしいですね。

 さあ来週は昨シーズンのイースタンの覇者・浜松フェニックスと国際プールで対戦します。現在24勝16敗でウエスタン5位とは言え、油断できません、不調の責任を取りコーチが交代して、元全日本代表チーム、アシスタント・コーチの東野智弥氏が就任しました。その後東京サンレーヴス、ウエスタン3位ライジング福岡、高松ファイブアローズ、イーストの強豪・富山グラウジーズ等との対戦があり、油断できない戦いは続きます。

 特に今度の国際プールは横浜地区での最終ホームゲームとなり、前売り券の売れ行きも好調のようです。ご家族やチームメイト、お友達をお誘いの上ビーコルの応援に来て下さい!!!!

◆3月19日(火)19時00分 vs浜松・東三河フェニックス @横浜国際プール
   20日(祝)13時30分 vs浜松・東三河フェニックス @横浜国際プール

あんどうたかお プロフィール

1946年生まれ。

月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。

現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。

NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。

過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。

横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。

現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。

また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。

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