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あんどうたかおのバスケにどっぷり

vol.64「ビーコル9連勝」

 遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。
 さてプロバスケットボールbjリーグの横浜ビー・コルセアーズ、新年最初のゲームは強豪新潟に75-74で勝ち9連勝し、単独首位(もっとも首位は1日だけでしたが(汗))となり、良いスタートを切れました。

 12月8日(土)vs秋田第1戦に87-64と快勝して以来、秋田に89-56、仙台82-75、79-68、千葉76-67、79-72、東京76-59、76-52と8連勝で年を越し、新年を迎えました。
 実は昨年もレギュラー・シーズンでは9連勝しています。そこで6位から一気に2位へと上昇したわけですが、プレーオフも含めると10連勝なんですね。
 昨シーズンは終盤での追い上げでしたが、今シーズンは違います。初めから快調に勝っていて、現在17勝7敗、勝率70.8%首位と0.5ゲーム差の3位となっています。
 思いだして下さい、昨年の今頃順位の話なんか出て来なかったでしょ、「12勝14敗」で負け越している上6位だったら、出る訳がない(笑)

 さあこの快進撃、原因は何でしょうか?
 第一はビーコルの看板である「ディフェンス」です。ゾーン、ゾーン・プレス、マンツーマン(以下M2M)、切り替えるチェンジングと多彩で尚且つ強いプレッシャーを与えます。
 それに加え、今年は外からの攻撃力の増加です。昨シーズンはJBことジャスティン・バーレルとチェイス・マクファーランドの長身選手のインサイドで得点が多かったのですが、二人が移籍して、#1トーマス・ケネディーと言うG/Fタイプの選手が加入したため、攻撃法がアウトサイド中心にガラリと変わりました。
 データを見れば一目瞭然です、昨シーズンの3Pに関して、多くシュートしていたのは#2バーンズ(平均4.9本、確率33.7%))と#3蒲谷(平均3.6本、確率36%)でチーム全体では、平均16本シュートして確率は30%弱でした。
 ところが今シーズンはチームの方針で、外から積極的に仕掛けるようになり、#3蒲谷は平均5.3本撃ち、確率が43.7%(リーグ4位)と大幅に上昇し、#2バーンズも平均6本シュートして42.1%(リーグ9位)と確率が8ポイント以上も高くなってます。
 それだけではありません、1on1の攻撃力を持つ新加入の#1ケネディーはシーズンが1か月過ぎたころからチームプレーに馴染め、3Pを積極的に撃つようになり、平均で4.8本、確率で33%となり、チーム全体も37.8%と高い確率となっています。
 何故3Pシュートの確率が良くなったのか?
 元々#2バーンズも#3蒲谷も3Pは得意だったのですが、チーム方針で抑えられてました。特に#2バーンズはPGとして、先ずインサイドのJBやチェイスにボールを入れることを要求されてました。しかしvol.53「ビーコル快進撃」で8本全部決めたと書いてあるように、彼は3Pシュートが得意なんです。
 そうなると相手チームは#2バーンズにディフェンスを集中しようとします。となると#3蒲谷へのディフェンスが甘くなるので、外からやペネトレイトがし易くなります。
 そこに#1ケネディーが絡んで来ると、相手にとって厄介なことになりますね、その上3人ともバックコートと言うセンターライン寄りに広く位置し、そこから下(ベースライン方面)へ移動するため、的を絞りきれなくなることです。

  
ビーコルの「Big3」#1ケネディー(左写真)、#2バーンズ(中央写真)、#3蒲谷(右写真)

 この3人を我々は「Big3」と呼んでいます。本家NBAではチーム内に3人のスーパースターがいると「Big3」と呼びます。2008年NBAチャンピオンとなったボストン・セルティックスにポール・ピアース、レイ・アレン、ケビン・ガーネットがビッグ・スリーと呼ばれ、現在はマイアミ・ヒートのレブロン・ジェームス、ドウェイン・ウェード、クリス・ボッシュの3人がBig3と呼ばれています。
 スケールは小さいのですが我々は#1ケネディー、#2バーンズ、#3蒲谷の3人をビーコルの「Big3」と呼んでます。背番号をもじり「ワン・ツー・スリー・トリオ」とも呼んでましたが。
 チーム得点平均81.8点の内#1ケネディー18.3点、#2バーンズ20.7点、#3蒲谷12.3点、計57.3点、チーム得点の6割以上となってます。 

 12月下旬、ビーコルに待望のビッグマンが入団しました。209㎝109㎏と言う体格が魅力で、ペイント内(フリースロー・レーン内)での動きが上手いので、リバウンドが課題のビーコルにとっては打って付けのビッグマンです。彼の加入により、相手ディフェンスはBig3の3Pシュートばかり気にすることが出来なくなりました。初出場の千葉戦では、ゴール下へ走り込んだマロイへ#2バーンズから良いパスが通り、簡単に2点を取った場面があり、その後千葉はインサイドへの守りを軽視出来なくなり、それで外のシューターへの警戒が薄くなり、外から楽にシュート出来るようになりました。


#10 ファイ・パプ・ムール

 ビッグマンと言えば忘れてはいけない選手がいますよね。#10パプです。たった200㎝しかないのに10㎝ほど大きいセンター相手にディフェンスしたりシュートしたりと大活躍です。とは言えリバウンドは思うように獲れず悩みの一つでした。そこで彼は相手長身選手にボックスアウト(相手リバウンダーの前に立ちはだかり身体を張って動きを止め、リバウンドへ参加させないようにすること)を徹底することにしました。これで彼もリバウンドへは参加できませんが、味方が獲り易くなり、これがチームのためになるのです。
 現在ビーコルのディフェンス・リバウンド数では#1ケネディー149本、#2バーンズ138本で119本の#10パプより多く獲ってますが、彼らは#10パプが守ってくれることによって獲れているわけです。
 ちなみに難しいと言われるオフェンス・リバウンドでは#10パプが61本で断トツです。

 身体を張る、と言えば#10パプにはもう一つ身体を張るプレーが有ります。それは相手センターへ対するディフェンスです。
 前述したように小柄の#10パプが普通に守っていたら、頭越しに簡単にシュートされてしまいます。
 シュートさせないためには、ボールを持たせないことです、書くのは簡単ですが大変な重労働です。


図パプのディフェンス

 通常センターは図のようにフリースロー・レーンぎりぎりのところで腰を落とし腕は張ってボールマン( ボールを持っている人)に正対します、これをポスト・アップと言います。この時ディフェンスが後ろに位置していたら、簡単にボールはセンターに入ってしまいます。
 そこでディフェンスは横に張り付いてパスを警戒します。
 となると相手は腕で抑えたり、身体の角度を変えたり動いたりします。それにつれディフェンスも移動したり押したりしなくてはなりません。
 相手はそれに対抗し、ボールを違う相手にパスして、センターとの角度を変えたりしてパスすることを考えます。
 それに対する最高のディフェンスの仕方は、完全に相手の前(ボール側)に位置することです、「前を取るとか、フルフロント」と言います。
 これは最高のディフェンスですが実行は難しいのです。と言うのは相手を常に背中に置くわけですから、見ることが出来ません。密着してお尻や腕で相手の動きを察知してその前を取る訳です。その間もボールは左右にパスされているわけですから動きは半端無く俊敏でなければなりません。逆に言うと、これは小柄で俊敏な#10パプしか出来ないディフェンスかもしれません。
 今度ビーコルのゲームへ行くときは、#10パプのディフェンスでの動きも見てやって下さい。数字には表れないナイス・プレーがあるんです。

 さて新年第1戦には勝ったものの、その後新潟第2戦と群馬第1戦に敗れ2連敗となったビーコル。コーチ・ゲーリーはお冠です、記者会見へ来たときに持っていたボックススコア(記録が書かれた紙)がクシャクシャになってました(笑)。昨シーズンの11年年末に富山に2連敗した時と同じような怒り方でしたね。
 キャプテン#3蒲谷も#2バーンズも「とんでもないことをやってしまった!」と言う感じでしょげ返ってました。
 実はもう一つ「5日間で4ゲームと言ふタフ・スケジュール」と言う試練が待ってます。それも後ろの2戦の相手は強豪・秋田です。今まで1回しか負けたことが無いとは言え、油断できない相手です。

 昨シーズンは「富山戦2連敗」したことでチームにスイッチが入り、その後は勝ち始めました。今回もそうあって欲しいものです。そのためには皆さんの応援が必要です、是非ともご来場下さい。
 15日(火)は平塚総合体育館、そして16日(水)は地元・横浜文化体育館での開催となります。

あんどうたかお プロフィール

1946年生まれ。

月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。

現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。

NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。

過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。

横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。

現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。

また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。

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