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あんどうたかおのバスケにどっぷり

vol.57「ビーコル3位」

 横浜ビー・コルセアーズ初参戦で見事3位! パチパチパチ!!!
 これもひとえに応援していただいた皆様のお蔭です。

 まあ、正直言えば「出来過ぎです。」(笑)
 カンファレンス・ファイナル進出が決まった時は「このまま優勝だー!!」と言うムードになったことは確かですが、世の中それほど甘くないです(笑)
 それに初年度で優勝したら、翌年へのモチベーションが無くなる上に、みんな天狗になっちゃいます。それはよくありません、ほどほどの所が良いんです。

 開幕当初、何位になるかはまるで見当が付きませんでしたが「上位に入る」と言う確信はありました。日本人、アメリカ人共に優秀なメンバーが集まったと感じていたし、コーチが優秀だから。


bjリーグ聖地・有明コロシアム

 「有明」と呼ぶbjリーグの聖地・有明コロシアム、ここにはbj19チーム中たったの 4チームしか来れません、アメリカの大学風に言えば「ファイナル4」です。すごく大変で名誉なことです。そこへやって来たんです、それも初出航で。
 5月19日(土)イースタンカンファレンス・ファイナルは浜松・東三河フェニックスとの戦い。シーズンは 1勝 3敗で分が悪いのですが、一発勝負のトーナメントはリーグ戦とは違う緊張感があります。


ダンクを決める#1チェイス・マクファーランド

 立ち上がり、 #1チェイス・マクファーランドのダンクで先制し、それに #24ジャスティン・バーレル(JB)が続き、その後もキャプテン#3蒲谷正之のアシストで#6ファイ・パプ・ムールが連続でゴール下を決めるなど、集中力も高く気合が入ったスタートを切り、21-10と大きくリードして第 1Q(クォーター)を終了しました。
 実はこの展開はビーコルには良い展開ではありません。例えば12月28日の富山第1戦目、第 1Q28-17と大差を付けたのに、79-80で負けてます。4月7日の秋田第 1戦目も22-13と大差を付けていたのに80-78と辛勝です。そう、ビーコルは立ち上がりが良すぎると途中でガス欠になってしまう傾向があるんです。
 ゲーム後インタビューで「35分間は我々のペースで良いバスケットをしたが、、、」とコーチ・ゲーリーも言っているように残り数分まで好勝負を展開してました。
 しかし最終Q残り 4分47秒75-69とリードしていた時のオフィシャル・タイムアウト(OTO)からガラリと展開が変わりました、浜松が勝負に出ました。#24JBのパスミス、そして#13山田が大口にスティールされそのまま速攻を決められ75-73と 2点差に詰められビーコルCTO。そこからは勝負どころを知っている浜松はディフェンスを強くして、上手さが出た展開に。
 結局OTO以降は 3-18と大きく離され78-87で敗れてしまい、ファイナル進出は叶いませんでした。(ゲームレポートはこちらを)


リーグMVPの#24ジャスティン・バーレル

 ビーコルと言えばプレーでも精神的にも引っ張ってきたJBですが、得点面ではどうしても彼に依存してしまいます、まあリーグMVPなのですから当たり前と言えば当たり前です。そのことは他チームも十分と理解していて、JBへの守りがビーコルに対するディフェンスの大きな要素となっています。
 JBがボールを持てばJBとリングを結ぶ線上に数人のディフェンスが並ぶこともあります。そこまで行かなくてもドリブルが始まれば直ぐにディフェンスが進行方向を塞ぎます。何しろJBのドライブは早く強いため、相手は 1人じゃ守りきれずチームとして守りに来るため、 1人抜いても 2人目 3人目のディフェンスが行く手に立ち塞がります。
 それでも攻め込もうとするJB、ディフェンスを 2人抜いたと言うことは、味方が 2人ノーマークになっているはずなんです。ゲーリーが掲げる「PLAY SKART(賢いプレー)」的に言うと、その場面で味方にパスした方が良いのです。
 ドリブルを始めるとリングと目の前のディフェンスしか見えなく、周りは見えなくなっているようで、ここら辺りが彼の伸びしろを感じるところですね。
 ただこれはJBだけを責める訳には行きません。浜松戦では、動くべき周りの選手の脚が止まって、ただJBのプレーを見てるだけでした。これがチームプレーなのです。これは頭で判っていてもなかなか体が反応しません。これが出来るようになるには歴史が必要なのです。ほかのチームではこのプレーだけが上手いチームもありますが、残念ながらこれらのチームはプレーオフには出てこれません。
 確かに数年前のbjだったらそれで十分通用したでしょうが、この数年でbjは浜松の参入もあり、大きく変わりJBLとそん色ないプレーだけが通用するリーグになってきました。
 しっかりとプレー出来るチームだけが有明に来れるのです。


悔しい表情を見せるキャプテン#3蒲谷

 負けたあと、客席のビーコル・ブースターへ頭を下げるキャプテン#3蒲谷、今まで見たことのない「申し訳ない」と言う表情でした、悔しさもあったのでしょうがそれ以上にブースターの後押しを大きく感じていて、心の中で「ゴメンナサイ」と言っていたのでしょう。

 勝った浜松と負けたビーコルの違いは?
 「浜松の上手さ」にやられました。ご存知のように浜松はディフェンディング・チャンピオン(前年優勝)でJBL時代からの歴史ある完成された強豪チームで、メンバーもそれほど変わりありません。対するビーコルは昨年 9月中旬にやっと全員が揃ったと言う出来立てホヤホヤのチームであって、歴史が違いすぎます。
 そしてもう 1点、浜松には絶対に勝たなくてはいけない理由がありました。
 と言うのも前年優勝は、名将と言われた中村和雄コーチがいて、そのお蔭で勝てた、と多くの人は感じていたはずです。しかし選手もコーチもそう思われたくなかった訳です。だから是非とも連覇しなければならない、と言う執念がありました、特にコーチには。
 一方ビーコルは「勝ちたい」と言うモチベーションだけで、気持ちの強さでは敵わないうえ、したたかさや勝負強さの面で、浜松が一歩も二歩もリードしていたと思います。
 ここは素直に浜松の強さを認めましょう。

 ビーコルには関係ありませんが(笑)、bjファイナルは琉球ゴールデンキングスvs浜松・東三河フェニックスで争われ、キングスが89-73でリベンジを果たしました。キングスは09年のチャンピオンですが、この 2年いずれも浜松にリングを取られていて「今年こそは優勝を取り返す!」と、チームだけでは無く沖縄全体でかなり気合が入っていたようです。
 精神力だけでは勝負に勝てませんが、ディフェンスもオフェンスも集中力もかなり琉球が上回っていました。

 さて 3位決定戦です。
 浜松に負けたことを引きずってもしょうがありません。こうなったら頭を切り替えて、京都戦に集中するだけです。でもこの点は心配ありません。主力のJBは切替名人で、いつも前向きに明るくポジティブな性格なのです。キャプテン#3蒲谷も同じく切り替えが早い選手です。
 チーム・リーダーの二人がこれなら心配ありません。考えてみれば 5月11日、秋田第 2戦目を完敗したビーコルが20分後の第 3戦目で見事に切り替えて18-15で勝っているのです。心配はないでしょう。

 京都には失礼と思いますが、追い上げられたものの、危なげなく勝ちました。ゲーム・レポートはこちらをご覧下さい。 


3Pでピンチを救った#15堀田剛司

 怪我でシーズンのほとんどを欠場したホッティ—こと#15堀田剛司が危ない場面で得意の3Pを連続して決めピンチを救ってくれました。第 4Qは#2ドゥレイロン・バーンズが同じく連続3Pを決め逃げ切りました。


第 4Qで連続3Pを決めた#2ドゥレイロン・バーンズ

 自画自賛になりますが、初年度で 3位は凄いと思います。過去には浜松が 3位入賞してますが、元々JBLで活躍していたチームですから、参考にはなりません。また高松は 2位になったことがありますが、bj 2年目で当時は 8チームしかない状態で 1リーグ制で、まだいい加減なプレーが通用していた時代でした。

 そうなると来シーズンはますますハードルが高くなりますが、ハードルは高い方がやり甲斐があります。
とは言えビーコル号は初めての航海、特に最後は大嵐の中を航海したため船体がボロボロとなってしまいましたので、今はドックに入って修理中です。

 来シーズンはバージョンアップした船体で、有明に忘れてきた宝箱を取り戻しに行きます。そのために、今まで以上のブーストをお願いします。

P.S.
 JBは現在NBA入りを目指しアメリカのサマーキャンプで頑張っています。こちらも応援を宜しくお願いいたします。

あんどうたかお プロフィール

1946年生まれ。

月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。

現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。

NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。

過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。

横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。

現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。

また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。

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