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あんどうたかおのバスケにどっぷり

vol.52「金総と星澤引退」

 新年明けましておめでとうございます。今年もご愛読のほどよろしくお願いします。

 新年早々おめでたいニュースがあります。
 1月5日15時、東京の代々木第1体育館で県立金沢総合高(金総)女子バスケット部はWJBLのデンソー・アイリスと対戦しました。高校生と大人との対戦とは第78回皇后杯全日本総合バスケットボール選手権大会でのことで、準々決勝で対戦しました。
 デンソーは女子日本リーグのWJBL前期3位のチーム。そこには日本代表で得点力の有る183cmの#5高田 真希、同じく日本代表ガード#14大庭 久美子(169cm)、金総OGで名ポイントガードの#35小畑 亜章子(165cm)が揃った強豪チームで、今回は決勝へ進出しています。

金総vsデンソー・アイリスのTipoff
金総vsデンソー・アイリス

 対する金総はセンター#7宮澤 夕貴(180cm)を中心とするディフェンスが良くて走るチーム。
 とはいえ全ポジションでミスマッチ(身長差)が起きるほどデンソーのメンバーは背が高いんです。
 ちなみにスタメンで比べると、デンソーは175cm、183cm、181cm、175cm、165cmとなり、金総は#4稲井桃子164cm、#5酒井愛162cm、#6岡村郁美168cm、#7宮澤夕貴180cm、#8河瀬ひとみ173cm。平均で6cm以上も高いことになり、身長が大事な要素となるバスケットではかなりのハンデとなります。
 辛うじて対抗できるのが宮澤vs高田と稲井vs小畑の2箇所。
 その宮澤vs高田のマッチアップ(対戦)は興味が湧くところ、かたや日本代表のポイントゲッター高田、方やU-17世界2位の得点力を誇る宮澤。身長では3cm差なのだが体重では15kgも差があります。
 ゴール下でどっしり構えられると対応ができませんが、宮澤はテクニックとスピードで上回ることができるため、フェイントやドリブルで勝負しました。
 点数だけを見ると86-62と圧倒されているものの、ゲームを見ているとそんなことは微塵も感じさせないほど内容があるゲームでした。

金総vsデンソー
金総はWJBLのデンソー・アイリス相手に大健闘!

 #6岡村はいつものように3Pシュートやゴール付近とシュートレンジは広い。#4桃井と#5酒井も良いところでシュートを決める。ベンチから替わって出てきた#11小原ひかりも思い切りよく外からシュートする。疲れが出てくる最終ピリオドでゴール下を3本決めた#8河瀬。勿論エース#7宮澤は足首捻挫にも関わらずチーム最高の22得点。
 しかし良いことは得点できたことではなく、シュートへ持って行くまでの過程が良かったことです。

 実はこのゲーム、コーチ(監督)で教諭である星澤 純一にとって高校最後のゲームでした。このため歴代のOGや関係者は応援に来ていたばかりではなく、選手達へ日ごろからプレッシャーを掛けていたと言います。
 この十年近くだろうか、大会後のインタビューでは選手のことを「宇宙人、新人類」と評したり「闘争心がない」と精神的にピリっとしない選手に歯がゆさを感じていた星澤でした。今年もラストイヤーなのに精神的に弱さを見せる選手達。その選手達へ、星澤からではなくOG達が歯がゆさを感じて叱ったようです。
 さすがの宇宙人選手達も「何か」を感じてきたのでしょう。

 ゲームは終始10点ほどリードされていたものの、第3ピリオド半ばにイージーシュートも外し、パスミスも多くなり61-41と20点差をつけられて集中力が切れた、と感じさせる場面があり「金総もココまでか?!」と思いました。
 しかし金総はココからカムバックします。本来のディフェンスを頑張り、スティール(相手ボールを取る)からの速攻も決まり、最終ピリオドではインサイドの宮澤にボールを集める一方、早いパスワークや上手いパスからの得点が増えました。速攻で稲井から宮澤へ鮮やかなパスが通り、ゴール下でノーマークになる川瀬へ続けざまにパスが渡りゴールを決めましたし、リバウンドに喰らい付いて行きました。

 神奈川県の高校を見始めてから10年ほどになりますが、強い金総は何度も見たことがあるものの、今まで見たことがないほど上手いプレーが連続して飛び出し、精神的に強いプレーを始めて見ることができきました。

 86-62という結果でしたが、終わった後は関係者だけではなく場内からも金総の戦いぶりをたたえる大きな拍手が沸きあがってきました。

 ゲーム終了のブザーが鳴り、両チーム挨拶を終えると相手方デンソーから星澤へ花束が贈られました。
 泣くまいと思っていた星澤の目に涙が湧いてきた。
 そしてミックスゾーンでの記者会見。
 初めの言葉が出てこない、まだウルウルしている。
 しばらくしてやっと声が出ました。
 「あのー、、、 泣かないって思っていたんだけど(笑)」
 「あの子達も精一杯やったと思います。今までやってきたオフェンスも全てできたし。ディフェンス的には各ピリオドをディフェンスで20点、オフェンスで12点取ればお前らの勝ちだ、と言ってきて、前半はその通りにいったのですが、第3ピリオドでやられました、かなり脚にきていました。」
 目には涙を溜めながら話す星澤、それを見ながらこちらも流れてくる涙を拭うこともせず聞いていました。

 「インターハイ優勝後、少し精神的に緩んでいたのですが、この大会が私にとっても選手にとっても最後だということで頑張ろうと。本当にこの3試合は気持ちの入ったバスケットをやってくれた。ウィンターカップで中途半端な成績となり、35年間やってきたことが最後出せずに終わるのかなと思ったが、ここでやってくれたので、こんな幸せなコーチがいて良いのかな? って心境ですね(笑)」

星澤と小畑
星澤(左)と小畑選手(右)

 「最近メディアの人達から『残り少なくなり、どういう心境ですか?』と聞かれるんで『サバサバしてます』と言っていたんですが、さすがにこの大会に入ってからはもう少しやっていたいな、って気持ちになりました。でも35年間良い思いをさせていただきました。」

インタビュー後 教え子の一人デンソーの小畑からプレゼントを貰い一緒に写真に納まる星澤。
気のせいか、今までにはない笑顔だったような。



  
◆さておめでたい話がもう一つあります。
 昨年の最後のシリーズを連敗で終えた横浜ビー・コルセアーズ
 年が明けた6、7日の埼玉ブロンコス戦で待望の同一カード連勝を果たしました。
 実は年末の連敗は精神的な要素が大きかったようですが、お正月は2日から練習を初め、強いビーコルとなって横浜文化体育館へ帰ってきました。
 これまでのビーコルのパターンは立ち上がり大きなリードを奪いながらも徐々に追いつかれ、前半終盤か後半初めで逆転され、そのままズルズルと負けるケースがほとんどでした。
 それが埼玉第1戦では第1Q(クォーター)で28-14とリードしながら、最終Q開始早々に逆転され残り3分に77-82と5点差を付けられたものの、そこからディフェンスを頑張り、28秒を残し同点の場面で相手のピック・アンド・ロールのパスを読みきった#10マーカス・シモンズが綺麗なパスカットをして、最後は#1チェイス・マクファーランドがフリースローを2本とも決め87-85で逆転勝ちしました。
 次のゲームでは出足こそ埼玉にリードを許したものの、ベンチスタートのキャプテン#3蒲谷正之と#6ファイ・パプ・ムールの得点で逆転に成功、その後は得意のディフェンスも効いてリードを続け80-68と圧勝できました。

 この好調を維持したいところですが、次の15日はbjオールスターゲームがあり、2週間間が空くのがちょっと残念です。
 ただこのオールスターゲームにはビーコルから#24ジャスティン・バーレルが参加するので声援をお願いします。
 そうそうスラムダンクコンテストにも出場しますよ。

JBダンク
#24ジャスティン・バーレル選手

次のホームゲームは28日(土)29日(日)の秋田戦@横浜国際プールです。
28日はBSフジでテレビ中継されます。

 

 

あんどうたかお プロフィール

1946年生まれ。

月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。

現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。

NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。

過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。

横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。

現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。

また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。

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