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あんどうたかおのバスケにどっぷり

Vol.18 アメリカの大学

日本でこの時期と言うとスポーツでは高校生の大会が多いですね。特に野球の選抜大会は日本中で話題になります。
アメリカでもこの時期盛り上がる大会があります。この時期は通称「マーチマドネス(お祭り騒ぎの3月)」とも呼ばれ、全米が大学バスケットで盛り上がっちゃうんです。

アメリカの大学スポーツはカンフェレンス(以下Conf.)が中心となっています。
Conf.とは日本で言えば「リーグ」です。日本の大学野球を思い浮かべるとピッタリです。大学の規模が似ていたり、地域が近い学校同士でConf.を作って、その中でリーグ戦を行います。

ただ日本と違うのはホーム&アウェー方式なのです。
アメリカの大学は規模が大きいですから、キャンパス内に大きな体育館を持ってます。小さくても5千人以上で、大きなものになるとUNC(ノース・カロライナ大、マイケル・ジョーダンの母校)のように2万人以上も入る体育館があります。
体育館と言うより「アリーナ」と言った方が合うでしょう。
多くの大学の体育会の運営費は、バスケット部とフットボール部両部の入場料や放映料でまかなわれているほど大きなアリーナで、多くの入場者がいます。

リーグ戦以外にも多くのゲームを行いますが、シーズン開幕前には、プロリーグのように、全部スケジュールが決まってます。これもホーム&アウェー方式です。ちなみに大体週に2ゲーム、土曜日と水曜日に行われることが多いですね。

シーズンは11月中旬に始まり2月下旬から3月初旬でリーグ戦が終了しますが、その後カレッジ・ゲームが面白くなるんです。
リーグ戦の成績を基にポストシーズン・トーナメントが行われます。この方式はアメリカの多くのメジャースポーツが取り上げてますね。いわゆるプレーオフです。そこで勝ったチームがConf.チャンピオンと言われます。

そしてチャンピオンが全米学生選手権大会のNCAA(National Collegiate Athletic Association)トーナメントに招待され(注 強豪Conf.からは数チーム選ばれることがあります。)、いよいよアメリカNo.1を決めるのです。

出場チームは64チームが全米を4地区に分かれてトーナメントを行い、勝ち上がってきた4チームが「ファイナル4」と呼ばれる準決勝、決勝に進めるわけです。ファイナル4に進める、ということはとても大変なことです。
アメリカの大学バスケットはNCAAを始め多くの連盟があります。一番の大手NCAAはD-1(ディビジョン-1)からD-3まで3部で構成されてます。別に強さのランクではなく、学校としての規模でのランク分けです。D-1だけでも600校ほど有ると言われ、そこから4チームに残るわけですから、大変であり名誉なことなのです。

ちなみに、このファイナル4と言う言葉はどういう訳だかカレッジ・バスケットを指す言葉なのです。最近は他の競技でも使われ始めてますけど。

以前は決勝戦が3月末だったことから、3月は目いっぱいカレッジボールで盛り上がり「マーチ・マドネス」と呼ばれるようになったわけです。余談ですが、マーチマドネスという言葉はアメリカでは商標登録されてます〔笑〕

この盛り上がりは夏の甲子園に良く似てます。
各県の予選から全国的に報道され、本大会は母校ばかりか、故郷の代表高の自慢や応援で盛り上がりますね。それと同じように各Conf.のトーナメントは逐一全国ネットで経過や結果が報道され、優勝して代表に選ばれたら大いに盛り上がります。

学生の大会の特徴は番狂わせが多いことです。優勝候補が途中で負けることは結構ありますね。
昨年もUNCが全体で#1のシードに選ばれたものの、ファイナル4緒戦でカンサス大に84-66で敗れる波乱が起きました。
他にも中西部地区#2シード(全体では8強に当たる)のジョージタウンが地区#10シードのデビッドソン大に破れたり、あの名門デューク大が#2シードながら二回戦で早々と姿を消した例もあります。

Conf.は全米中にありますが、伝統的にバスケットが強いConf.があります。
60年代、70年代は西海岸を中心としたパック-10(当時は8だった)のUCLAは7回連続を含む10回の優勝経験があります。
その後はUNCとデューク大を抱えるACCやケンタッキー大のSEC、ミシガン大、ミシガン州大、インディアナ大のビッグテンやカンサス大、カンサス州大、オクラホマ大のビッグ12が強豪と言われてきました。

中でも今年高いレベルにあるのがACCです。
アメリカは何でもランキングを付けるのが好きな国民らしく、カレッジ・バスケットだけでも多くのランキングがありますが、現在殆どがコネチカット大を首位に挙げています。それにUNC、ピッツバーグ大、オクラホマ大と続きますが、7位にデューク大、10位にウェークフォレスト大、24位にフロリダ州大とACC4校もランクインされてます。それもトップ10に3校も入ってますからね。

今年ACCと張り合ってるのが1位コネチカット大、3位ピッツバーグ大、6位ルイビル大を擁するビッグイーストです。
こうしてみると強い大学は中部から東部にかけて多いことに気が付きます。
中でも五大湖の南のインディアナから南東に下がった辺りが、アメリカでもバスケット人気が高い地域と言われています。

04年優勝したときのコネチカット大

そこから少し外れたところが、大学バスケット界では一番熱いノースカロライナ州です。その真ん中辺りにダーラムとチャペルヒルという小さな町があり、この町こそデューク大(ダーラム)とUNC(チャペルヒル)があるところです。車でせいぜい20分ほどの隣町です。
こんなご近所同士で全国制覇を7回も成し遂げているんです。ちなみに30分ほどのところにあるノースカロライナ州大を含めると9回となります〔笑〕

23,000人入るUNCのアリーナ、スミス・センターでもこのカードのチケットは取れません。学生の間では1ヶ月前から席取りで並んでいるということです。

スクール・カラーは両校共ブルー系ですが、UNCは明るい水色、デュークは濃いロイヤル・ブルーと対照的です。

UNCとデューク大は単に州内のライバルと言うだけじゃなく、アメリカ国内でのライバルとしても良く知られています。日本で言えば早慶戦みたいなものです。

ファイナル4の常連で、何度も優勝している両校ですが、不思議なことに決勝で戦ったことが無いのです。今年こそは伝統の2校で決勝を争って欲しいものです。

UNCの応援団のバンドです。スクール・カラーの水色のウェアが団結心を高めます。

あんどうたかお プロフィール

1946年生まれ。

月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。

現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。

NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。

過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。

横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。

現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。

また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。

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