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あんどうたかおのバスケにどっぷり

Vol.3 ツインバスケット


ツインバスケット


上のリングにシュートするのはヘッドバンドをつけていない人

「ツインバスケット」と言ったら、何を想像しますか?
全日本メンバーの竹内 公輔、譲次の双子のことですか?

バスケットをやっている人でも、ツインを知っている人はホンの一握りでしょう。
バスケットがツインになっていると言うことなのです。
ますますわからなくなってしまいましたか(笑)

実はリングが二対あるんです。
一対は皆さんが知っている通常の3m5cmの高さにあるものですね。
もう一つはフリースローサークル(現在は半円だけですが)の中心に120cmの高さのものです。

何の為でしょうか?
3m5cmの高さのリングに、ボールを投げられない人向けのリングなのです。

頚椎(けいつい)ってわかりますか?
背骨から続いている首のところの骨です。
この中には、身体を動かす中枢神経が入っている大事な箇所です。
そこの骨を、自動車や自転車による事故、階段から落ちたりして傷つけたり、ズレることを頚椎損傷(頚損)と言います。
損傷した箇所によって障害を起こす内容が変わってきますが、一般的には首から下をコントロールできなかったり、しびれたりするそうです。ですから腹筋、背筋に力が入らなくなり、支えがないと座ることすら出来ない状態で、握力も弱く、体温調整も出来ないと言われます。自動車事故でなった人が多いようです。

頚椎損傷についてはここをお読み下さい。http://muneyoshi-h.com/sekizuisonsyounituite.htm

バスケットで一般的にシュートと言うと、右利きの人なら右手を返してその上にボールを置き、左手は横に添えると言うのが一般的ですが、腕を満足に上げることすら出来ず、ましてボールを離すときにスナップを利かせると言うバスケットでは常識となっていることが出来ないのです。
そのような障害のある人でも出来るようにと開発されたのが「ツインバスケット」です。
凄いことにMade in Japanです。

はじめは同情もあってこの競技に係ったのですが、同情なんてものはチッポケで薄っぺらい物だと思いしらされました。

競技中に車椅子が横転した時は助けが必要ですが、それ以外ではほとんどボランティアの助けを必要としないほど自分でやろうとします。これ自体がリハビリの一環であり、自立のためであるからです。

さて、実際に競技としては通常のバスケットとどう違うのか?
大きな違いは、リングが2個あること、そしてプレーする人達が「ケイソン」と呼ばれる身体障害者であるということです。
ルールは通常の日本バスケット協会とほとんど同じです。
違うのはボールを上手く扱えないため、時間のバイオレーションがやや長いということです。
3秒ルール→8秒、8秒→15秒、24秒→30秒というように。

しかし一番の違いは障害によってハンディがあることです。
障害の度合いによって点数が付けられてますが、障害が軽い(点数の大きい)人は上のリングへ、重い(点数の少ない)人は下のリングへシュートする。重い人の中でもフリースローサークルの中に入ってシュート出来る人と、サークルの外からじゃないとシュートできない人に分かれます。
ややこしく感じられますが、実際はヘッドバンドの有無と色とで区分けしてるのでわかりやすいです。

選手権大会やルール等を含めツインに関しては公式サイトをご覧下さい。http://twinbasket-alljapan.com/

ツインのことはなんとなく理解できたけど、それと横浜市とどんな関係があるのか、と疑問が湧きますよね。
ツインは箱根の国立療養病院で北村昭子さんが考え出したと言われてます。
神奈川ですが横浜じゃありません(笑)

実は日本一を決める選手権大会があり、2年連続で横浜市のチームが優勝したからです。
昨年は「横浜レッドブリックス」そして今年は「神奈川ジャンクス」が優勝しました。ジャンクスの練習場の一つが旭スポーツセンターとなっています。
またツインの関東リーグ戦は毎年、新横浜の横浜ラポールを会場としている点も密接な結びつきと言えます。

もう一点、この横浜ラポールで昨年ツインを横浜の高校生に知ってもらおうという企画が行われました。
これは私が以前から考えていたものですが、ツインの選手もボランティアの人も、ほとんどがバスケットをやってなかった人なのです。
これでは、ボランティアと言っても単なるお手伝いは出来てもバスケット的には行き届かないし、プレーも上達しないのでは、という気持ちが一つありました。
また片方では、バスケットの名門校の子供達にツインを知ってもらい、ボランティア活動にも興味を示して欲しいという気持ちがありました。
自分の身体が自由に動かせることの喜びを知って欲しかったし、不満だらけかも知れないけど、当たり前に生活出来るということが如何に恵まれていることなのか、ということも感じて欲しかったからです。

これには横浜商科大高校と霧が丘高校の男子バスケット部が参加してくれました。
横浜商科大高校はインターハイ出場を何度も果たしている神奈川の名門チームです。霧が丘高も公立ながら常に上位に位置する強豪校で、その2校が参加してくれたことは嬉しかったですね。両校の先生に感謝です。

当初はボランティア中心で、と言うことだったのですが、車椅子のことを知らないとかえって難しいということで、生徒も車椅子に乗って競技だけすることになりました。
生徒達は結構車椅子には苦戦してたみたいです(笑)
しかしバスケットと言うことに関しては、ツインの人達も関心してましたが上手いです。ツインの人達にも何かプレーのヒントになったようです。
大成功と感じましたが、今年に繋げなかったのは失敗です。

ツインに関して、箸も満足に持てない身体障害者がよくやっているなー、と感心して同情心が湧いてきますが、安っぽい同情はいりません。競技として見れます。十分面白いんです。

何故?

ゴールが2箇所にあるからです。

下のリングを攻める振りをして下に警戒を集めておき、急に方向転換して上のリングに向かって行きます。ディフェンスは焦ります。当然その逆もありますね。
こんな面白さは通常のバスケットにはありません!!!

通常のバスケットと似て非なる点は、各チームにスーパースターが必要なことです。
障害の軽い人で、ボール運びからパス回し、そしてシュートと何でもやれる選手です。
この人が居ないとプレーが組み立てられません。

驚いてはいけません、オールコートプレスもあります。
ボール運びが上手くないチーム相手では上から当たってきます。これはビックリです。
車椅子同士のぶつかり合いも迫力ありますよ。
スクリーンプレーの時はガシャンガシャンと凄い音をたててぶつかります。本当に面白いんです。是非一度見て欲しいのです。

さて手先どころか手首、肘のコントロールが難しい彼等はどんなシュートを打つと思いますか?
肘を脇で締めて両掌でボールを下から支え、すくうようにして120cmの高さのリングへ投げ込むのです。リングに背を向け、身体を反らす反動を使ったバックダンクと言う大技もあります。

さてそれでは問題です。
使用球はミニバス用のゴム製5号球です。
何故でしょうか?

答えは次回のこのコラムで書きます。


下のリングはヘッドバンドの人、赤はサークルの中シュートできる人、白はサークルの外から打つ人

あんどうたかお プロフィール

1946年生まれ。

月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。

現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。

NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。

過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。

横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。

現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。

また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。

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