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元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

vol.73「足底痛」

 

 

 

2016年3月13日(日)横浜マラソンが無事に終了しました。男子はコトヒラ工業の小山祐太選手が2時間25分15秒で2年連続の優勝、女子はアメリカのLeah Daugherty選手が2時間51分04秒で優勝しました。

 

男子ではなんと8位に法政大学の平出修也が2時間35分12秒で、そして10位に法政大学出身の横部貴之が2時間37分07秒で入り、ベスト10位に2人もの本学関係者が入りました。驚きました。しかも、横部は15キロ地点でトイレに行ったとか。しかも大。

 

13日は2万5千人近いランナーが横浜を走りました。完走率は94.4%だったそうです。走られたみなさん、いかがでしたか。

 

マラソンもそうですが、ランニングでは道路など硬い路面を走ることが多いと思います。こうした硬い路面をたくさん走ることで脚に負担が掛かり、さまざまな怪我をすることがあります。そこで今回は足部の怪我について考えてみます。捻挫などの突発的な怪我を除くと、足部の怪我は疲労骨折や足底筋膜炎などオーバーユースによる慢性の故障が多くみられます。

 

足部は図のように衝撃をうまく受け止める構造になっています。土踏まずとも言いますが、足底はアーチ状になっています。これはアーチ型の橋と似た構造で、上からの力を左右に分散し衝撃を和らげてくれます。

 

 

アーチの図

 

 

 

このアーチが下がってしまうと衝撃をうまく逃がすことが出来ず、足に大きな負担を掛けてしまいます。ただし、アーチが高すぎる場合もハイアーチであって、脚に大きな負担を掛けてしまいます。

 

足底はこの縦のアーチが1本あるだけでなく、3本のアーチがあります。それらは内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチです。このアーチによって身体を支えています。3点支持は大変安定する形です。三角錐が安定しているのと同じです。

 

 

三本のアーチ

 

 

 

さて、このアーチが崩れると、さまざまな故障を引き起こしてしまいます。よくある故障は足底筋膜炎、中足骨の疲労骨折が挙げられます。アーチが崩れなくてもオーバーユースや筋力不足、柔軟性の不足などでもこれらの故障は起こってしまうことがあります。

 

 

足底筋膜

 

 

 

中足骨

 

 

 

 

硬い路面で走ることでその危険性は高まります。フォームも気をつけなければなりません。適切なシューズを選択することも大事です。

 

ただ単に何も考えずフォームもバラバラで走ることは、ケガのリスクが高くなります。健康のために走って故障してしまっては元も子もありません。

 

 

では、こうした足底の故障にならないためにいくつか注意点をあげてみます。
・正しいフォームで走る
・ふくらはぎのストレッチを入念に
・適切なシューズの選択
・硬い路面ばかり走るのは避ける(たまには芝や土の上を走る)

 

次に足底の故障をしないための予防をあげます。
・竹ふみやゴルフボール足裏転がし
・足でじゃんけんのパー
・タオルギャザー(タオルを床に敷いて足をタオルの上に置き、足の指だけで引き寄せる)
・シューズの中敷きに足底板を入れる

 

 

足底板は私も現役時代に入れていましたが、かなり有効であると思います。良いシューズであっても、足に直接触れるシューズの中敷きが平たいままであると、その機能も十分にいかされないでしょう。また足底板によってマメも出来にくくなります。新しいシューズに履きかえても、中敷きの足底板だけかえることが出来るので長く使用できます。どんなシューズにも対応できる足底板が販売されていますので、お勧めです。

 

 

故障なく、健康に格好良く走りたいものですね。来年の横浜マラソンは2017年10月29日(日)が予定されています。かなり先になりますね。私もいつも走りたいと思っているのですが、多分新横浜での大会が重なってます…。泣

 

 

 

 

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

ブログ

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