ハマスポ

 
横浜市風景シルエット
 
       
 

ハマスポロゴハマスポ

横浜市風景シルエット
 
注目ワード
 
元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

vol.139「競技会運営」

2023年度の陸上競技トラックシーズンが開幕しました。
私たちのシーズンインは毎年、東京六大学対校陸上競技大会から始まります。例年慶応義塾大学日吉キャンパスのグラウンドで開催していましたが、今年は横浜を離れ、国立競技場で開催しました。

今年も慶応義塾大学で開催予定でしたが、学生の「東京オリンピックを開催した国立競技場で走りたい」という強い希望と、「大会開催を実現する」という強い意思があり、国立での開催を決めました。

開催を決めたのは今年の2月だったのですが、実はこの時点で我々の資金は10万円にも届いていませんでした。普通に考えて4月の開催は不可能です。

皆さん、国立競技場で陸上競技大会を開催するにはいったいいくらかかると思いますか? 表に出るようなものではないのでご存じないですよね。

国立競技場の1日の使用料は、主催者がどこであるか、そしてイベントの規模や内容、観客席の貸出エリアによっても異なるのですが、通常の陸上競技大会の開催で300万から400万円です。

しかもこれは使用料のみなので、このほかに大型映像装置の利用料・音響設備・照明などの附帯設備利用料、そして審判・補助員への謝礼金やお弁当、プログラムやADカード作成料など、さらに数百万のお金がかかってきます。

資金がほとんどないところからスタートして、2か月という短い準備期間で国立競技場での開催を実現できたのは、学生が主となってスポンサー獲得に奔走し、大会開催の計画・運営をしたことによるもので、開催を実現できたことは奇跡的でした。
学生の力はすごいですね。

国立競技場は、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)が管理しています。スポーツイベントだけでなく、ライブなどにも貸し出しをしています。個人での貸し出しは基本していないようで、主に団体のイベント貸し出しをしています。自治体主催のイベントは多少安く借りることができるようです。

国立競技場には、テラス席やボックス席、VIPルームやラウンジなどもあり、特別な雰囲気で観戦することができます。なかなか入ることができないとは思いますが、機会があったら皆さんにも体験してほしいですね。
 

日産スタジアムの使用料はいくらなのかと気になったので調べてみました。
日産スタジアムのHPにはプロスポーツの使用で144万円、アマチュアだとその5分の1と記載がありました。そして国立競技場と同じように照明や音響設備などの附帯設備使用料がかかります。

今までなにげなく大会に出場したり、参加したりしていましたが、今回、大会運営に多少関わることで、主催の方々のご苦労をあらためて実感しました。

一般の道路を使用するロードレースはどうなのかというと、まず、管轄の警察署長の許可が必要です。交通課が取り仕切っていることが多いようです。

道路使用料は、競技での使用はなんと2,000円(神奈川県の場合・申請手数料)です。
使用するためには、もちろん道路使用許可が必要で、申請してから審査を受けることになります。

その他に、道路を使用するので警備や安全対策に多額の費用がかかり、会場設営や審判にも費用が掛かってきます。

4月3日から横浜マラソン2023の受付が開始されました。開催日は2023年10月29日(日)です。
フルマラソンは6時間で完走できる方とされていますが、いろいろなカテゴリーがありますのでエントリーページをご覧いただければと思います。エントリーは5月2日までです。
エントリー | 横浜マラソン2023

横浜マラソンは高速道路がコースに含まれている珍しいマラソンです。高速を含んでも2,000円で借りられるのなら、かなりリーズナブルですね。それとも高速は別料金なのでしょうか。いずれにしても、主催者様のご苦労、神奈川県警察のご理解があってのことと思います。

2015年に始まった横浜マラソン、2017年は台風の影響で、2020年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響でそれぞれ中止となり今回で7回目、イベントも増えて東京マラソンにも負けない良い大会となってきた印象です。
ハマ風とともに運営側のご尽力を感じながら走ってみるのはいかがでしょう。

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

ブログ

http://skarube.blog46.fc2.com/

※タイトル・本文に記載の人名・団体名は、掲載当時のものであり、閲覧時と異なる場合があります。