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元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

vol.13「第44回東京六大学対校陸上競技大会」

 2011年4月2日(土)国立競技場で第44回東京六大学対校陸上競技大会が開催されました。いよいよ陸上競技トラックシーズンの開幕です。
 しかし、今年は紆余曲折を経ての開催でした。それは3月11日(金)に起きた東北地方太平洋沖地震による東日本大震災の影響でした。

 東京六大学対校陸上競技大会は東京六大学のうち1校が幹事校として大会を運営します。幹事校は持ち回りで今年は法政大学が幹事校でした。幹事校として、44回を数えるこの伝統ある大会をこの状況でどうすべきなのか、震災があってから日々苦悩していました。
 震災が起こってから4月にわたってのスポーツイベントは軒並み中止や自粛を決定していました。そんな中、大会を開催するべきなのか。
 六大学のスタッフと何度も協議を重ねました。もちろん中止すべきとの意見もありました。こんな大変な時にスポーツなんてやっていいのか、また学生の安全は確保できるのか。私たちはどうすべきなのか…。
 学生の中には家族や友人が被災された者もいました。自分はなんのために走っているのか。皆が目標を見失い、元気を失いかけていました。彼らの頑張っている競技まで失わせてしまうのは本当につらい。

 被災地の方々は本当に大変で私たちが想像できないほどの苦しみや悲しみの中におられるのだけれども、私たちが何をすべきかよりも、被災地の方々が何を望んでいるのかの方が大事で、被災地の方々は自粛を望んでいるのかということを考えました。決してそんなことはないと思います。

 そこで、チャリティー大会としての大会開催をすることを提案しました。私たちはもちろんOBや応援にいらしていただいた方々から募金を集め、義援金を被災地に送ることや大型スクリーンや会議室を使用しないなどの節約、節電に努めることでその分のお金を義援金に回すことなどを決めました。
 ただし、前日まで何かあったら即中止できる体勢、安全が確認できなければ開催しないことを前提に開催準備をしていきました。
 こうして4月2日、無事に開催を迎えました。大会は成功に終わり、義援金もかなりの額が集まりました。選手たちも頑張り、そこにいた全員が前に進んだ気がしました。

 東北や北関東の甚大な被害にあわれ、避難所などそこで生活されている方々のご苦労は想像を絶します。私たちの行動はもしかしたら間違っていたかもしれません。ただ、私たちは私たちのできることをやっていくのが大切なのだと思います。それが復興の道を進ませるのだとも思います。きれい事しか言えず悶悶とします。答えはあるのでしょうか。日本中が元気を取り戻し笑顔になることを心から願っています。

 最後になりましたが、被災された方々に謹んでお見舞い申し上げるとともに、一日でも早い復旧、復興を心よりお祈り申し上げます。

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

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