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    イベントレポート

BORDERLESS CUP 2009[写真ハイライト]

by :スポーツ情報センター:sekki

 横浜文化体育館に足を踏み入れると、ここで数え切れないほど多くの者が、己の意地やと生命(いのち)を懸けて戦ってきた場所である、その証の如き魂の叫びがこだましているような、独特の緊張感にまず縛られる。古くは東京オリンピックのバレーボール会場、そして横浜アリーナができるまでは成人式の会場として、その他にも様々な行事で記憶に残っている人もいるだろう。一方で格闘技ファンの中には、後楽園ホールなどと並びここを“格闘技の聖地”と呼ぶ人もいる。それだけ横浜文化体育館の果たした役割と積み重ねた歴史が、格闘技の世界において賞賛と憧れを抱かせている。そして、ここでまた新たに刻まれる戦いの記憶がいつまでも続くように……。

 ブラジリアン柔術のオープントーナメント、「BORDERLESS CUP 2009」が1月24日(土)に行われた。ブラジリアン柔術の普及発展、及び底辺拡大に向けた大会として、大会の名前のとおり“BORDERLESS”、連盟や国籍の枠を超えてブラジリアン柔術そのものを楽しもうと、こどもも大人も、合わせておよそ300名が参加した。

(いわゆる「派遣切り」に遭って職を失い、会場までの交通費やエントリー費を工面できず、泣く泣く参加をあきらめた選手も多いという。世界的な経済不況の煽りが、この大会にも表れていた。)

 開会式で主催者ボーダレス・プロジェクトの阿部修代表から「野球でいう草大会のようにしたい」という挨拶があったことからも、この大会がいかにブラジリアン柔術を楽しもうとしているかが伝わってきた。

 1908年に日本人のブラジル移住が始まり、昨年(2008年)交流100周年を迎えた。リオのカーニバル、コルコバードの丘に立つキリスト像、サッカーの強豪国など、日本にとって数ある友好国の中でもとりわけ縁の深い国として、ブラジルのことを身近に感じることも多いだろう。そのブラジルから逆輸入された競技が、ブラジリアン柔術である。

 いわゆる“草野球”のような大会にしたいという思いは、会場の雰囲気を感じ取れば明らかだった。プロとして活躍を求める者もあれば、自分の心と身体を強くするため、特に女性は護身術としてブラジリアン柔術を始めたという人も多い。階級は分かれているものの、性別も年齢も国籍も実に幅広く、戦う者それぞれがブラジリアン柔術を心から楽しんでいた。

 真剣勝負の試合ゆえ、熱い気持ちがあらぬ方向に向かいがちになるのはどのスポーツでも時折見かける光景だが、ことこの大会について言えば、アンフェアなファイトはほぼ皆無であったし、戦った者同士が握手で称えあう光景は清々しい。それはただ単にブラジリアン柔術というひとつの格闘技がそうさせているのではなく、大会の趣旨、そして何よりこの大会に関わるすべての人がブラジリアン柔術を心から愛し楽しんでいるからこそ、醸し出せた雰囲気なのかもしれない。

 観る者を魅了し、戦う者の心と身体を強くするブラジリアン柔術。ぜひ体験してみてはいかがだろうか。

 ボーダレス・プロジェクト 阿部 修 代表

 この大会を振り返って

 今回のボーダレス・プロジェクトのコンセプトは、日本におけるブラジリアン柔術の底辺拡大と普及ということ、また横浜を中心に活動していくということで、多くの方の協力を得られ、少しは日本の柔術界に、しかも横浜という特別な場所で貢献できたかなと思います。

 今後の展開は?

 そうですね。まずは自己満足で終わらないように冷静に試合・運営についてみんなの反応をうかがいます。関係者の方からもこの時点で「ぜひまた開催してほしい」というお話もいただいたので、後日また改めて何か発表できればと思います。

 これから柔術に取り組もうとする方々へ

 ブラジリアン柔術は敷居が低いスポーツです。護身術としても競技としても、人によっては柔術に対して哲学を感じる人もいます。人それぞれのいろんな感性に応えられる格闘技だと僕は信じています。ぜひチャンスがあれば柔術をはじめてみてはいかがでしょう。


   

   

   

   

   

BORDERLESS CUP 2009の詳細や大会結果は、
ボーダレス・プロジェクトHP(http://www.j-borderless.com/)でご確認いただけます

ブラジリアン柔術について詳しく知りたい方は、
日本ブラジリアン柔術連盟公式サイト(http://www.bjjfj.com/)をご参照ください