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    イベントレポート

笑顔の三ツ沢球技場にて

by :横浜FCサポーターグループ BLUTIGRE YOKOHAMA 代表 山岸真智

「あの日の空も青かった・・・」

僕はふと8年前の元旦を思い出した。そう、横浜フリューゲルスとして臨んだ最後の試合。「相手に決めさせろ!!まだ終わらせるんじゃねえよ!!」周囲のそんな怒号を耳にしながらも、僕は試合終了の笛の響く最後の瞬間に空を見上げていた。

「終わったんだな」

そう思った瞬間、涙が頬を伝っていくのを感じた。サングラス越しに見える目の前の光景がどんどん曇って行き、何も見えなくなって行く。サングラスを取り、涙を拭えば目の前はハッキリと見えるだろう。しかし、その目の前の現象を直視出来るほどの勇気を、その時僕は持ち得なかった。勝利という意味。その言葉の持つ意味は、決して試合に勝つことを意味するものではないのだと、夕暮れ時の強烈な日差しと共に胸に突き刺さる。国立競技場に集まった5万人の喧騒の中、雲ひとつ無い青空が、ただただ空しかった。

あれから8年・・・。

僕はまた空を見上げていた。
試合終了の笛が響き渡り、無数の紙テープが飛び交う。歓喜の渦とはこの事を指すのだろう。そんな事を思いながら、この8年間のことを思い、感傷に浸ろうと思った。
が、出来なかった。
飛び交う何千本もの紙テープ。そのうちの何本かが相次いで背中や後頭部に直撃する。「誰か絶対狙ってんだろう」そう思い、スタンドに振り向く。大体目星はついている。そんな事をするのはアイツとアイツくらいしかいない。彼らのいつもの居場所に目線を投げる。いた。そして目が合う。バツが悪そうに、彼らは紙テープを投げるのを咄嗟に止める。やっぱり。「テメェ」そう呟きながら彼らを指差す。「俺じゃねぇよ」彼らはそんな意味合いを込めて手を振る。そう言いながらも、彼らは笑っていた。そして、自分も笑っていた。とりまく周囲もまたみんな笑顔だった。この日、三ツ沢球技場を取り巻く全てが朝から晩まで1日中笑顔だった。(1部アウェーチームを除いて。いや、もしかすると彼らすらも笑顔だったのかもしれない)そんな素晴らしい笑顔の中に一人感傷に浸り、むせび泣くなんて事が出来ようか?もうこのチームに涙は必要ない。流れ落ちる涙は8年前に枯れ果てていた。

7年前、理想を胸に立ち上がったこのチームは、この道中において、理想郷は所詮理想でしかなかったと、現実に打ちひしがれ、全てのアイデンティティを失った事もあった。しかし何よりも大事な、2度と失ってはいけないものがあるという事にもまた、身をもって知っていた。そうした紆余曲折を経る事が出来た上での、皆のこの笑顔だった。

突き抜けるような青空に、夕暮れの日差し。この日に受けた思いは、8年前のそれとは全く別物であった。この日差しはまた明日も希望の道へと導いてくれる。そしてこの青空は、また明日も明るく温かく僕らを見守っていてくれる。そう思うとまた、自然と笑顔が込み上げてきた・・・。

 
 
                           
 
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