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元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

vol.77「アメリカ事前合宿」

 

 

 今、アメリカ・ニュージャージーで原稿を書いています。

 リオデジャネイロ・オリンピックの最終調整合宿をしています。前にも書きましたが、我々スタッフを含めオリンピック日本代表になるとツイッターやフェイスブックなどのSNSや、こうしたコラムなども制約がかかります。ですからオリンピックに関連したことをここに書くことはできません。ただし、全く止められているわけではなく、グレーなところもあります。今回はオリンピックにはあまり触れずにグレーなところで書いていこうと思います。

 

 

 合宿地はアメリカ・ニュージャージー州プリンストン市にあるプリンストン大学です。プリンストン大学は1746年に設置された超名門私立大学で、8私立大学から構成されるアイビー・リーグの一つであり、その中でもプリンストン大学は、ハーバード大学、イェール大学と並ぶ最難関大学です。

 

苅部1

 

 

 そこの施設をお借りしてトレーニングをしているのですが、驚かされるのはその施設の規模がすごいこと。数万人は収容できるであろうフットボールコートやバスケットボール場、陸上競技場も立派です。室内にトラックもあります。

 

苅部2

 

 

苅部3

 

 

 

 日本でこんな立派な施設を持っているところはありません。アメリカでは多くの大学がこのようなスタジアムを持っています。

 

 

 これは、アメリカのカレッジスポーツが巨大なビジネスとなり、莫大な収益があること、そして日本とは比べ物にならないくらいの寄付があることによるもので、アメリカの大学には大企業並みの豊富な資金力があります。

 

 

 日本でもこうしたアメリカ型の大学経営を参考に改革が推し進められてはいますが、いまだ遠く及びません。スポーツにおいても、2016年文部科学省がこちらもアメリカ型のスポーツビジネスを日本でもと、予算をつけました。日本にも高校野球や箱根駅伝など一般の方にも認知された人気の大会があります。こうした大会から日本の大学スポーツビジネスが確立してくるかもしれませんね。

 

 

 海外に行くたびに、日本ではどうしてこのような施設ができないのだろうと感じさせられます。私も大学にいる身なのですが、多くの大学が潤沢な資金を持っていないように感じます。でもいつか、日本の大学もアメリカのような経営に乗り出してくるように思います。これはスポーツから発信されるかもしれません。早くそういう時代になることを期待したいです。

 

苅部4

 

 

 

 さて、私たちはこの充実したプリンストン大学の施設で約1週間調整合宿を行います。そして、ここからリオデジャネイロに向かいます。リオデジャネイロとここプリンストンとの時差は1時間です。時差の調整はできています。あとは大会に向けた身体と精神に仕上げていきます。

 

 

 リオデジャネイロからはいろいろな情報があり少し不安ですが、競技に集中して選手が力を十分に発揮できるよう、スタッフとして尽力していきたいと思います。メダル欲しいなぁ。

 

 

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

ブログ

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