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元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

vol.133「第3期スポーツ基本計画」

 

 

4月9日(土)日吉の慶應義塾大学陸上競技場で、東京六大学対抗陸上競技選手権大会が開催されました。陸上競技のトラックシーズンも、いよいよ開催の時期を迎えました。

 


慶応義塾大学日吉キャンパス陸上競技場

 

 

今年のシーズンは、世界選手権(アメリカ・オレゴン)、アジア大会(中国・杭州)、ワールドユニバーシティゲームス(中国・成都)と大きな大会が開催される予定です。選手にとっては非常にタイトなスケジュールで大変なのですが、注目する大会が多く、活気あるシーズンとなりそうです。

 

さて、3月25日(金)、文部科学省、スポーツ庁は、第3期スポーツ基本計画を発表しました。4月から、この基本計画に則って日本のスポーツ施策が進められます。この第3期は、2026年度までの運用です。

 

スポーツ基本計画には、教育、部活動、トップアスリート事業、スポーツ産業、スポーツ施設や国民の健康などスポーツに関わる様々な施策が策定されており、今回の第3期も魅力的で、楽しみな内容となっています。自治体のスポーツ施策も、この基本計画に沿って策定されていくことになります。

 

詳しくはこちら
第3期スポーツ基本計画:スポーツ庁

 

では、この第3期スポーツ基本計画の内容で、身近なところを紹介します。まず、「広く国民に向けたスポーツを実施する機会」に関して、成人の週1回以上のスポーツ実施率を現状の56.4%(令和3年)から70%へ、そして1年に一度以上スポーツを実施する成人を100%に近づけること、そして、1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2回以上継続して実施する運動習慣者の割合を、できるだけ上げることが目標として挙げられています。

 

ちなみに横浜市の令和3年度の成人の週1回以上のスポーツ実施率は64.5%で、全国平均(56.4%)を大きく回っています。横浜市はスポーツ施設も充実していますし、いくつもプロスポーツがあります。スポーツの盛んな市といえそうです。横浜市でも第3期スポーツ基本計画と同じく、実施率70%を目標として掲げています。

 

横浜市のスポーツ推進計画はこちら
第3期横浜市スポーツ推進計画:横浜市

 

「子どもの体力」に関しては、新体力テストのC評価以上の児童(小学生)を68%から80%に、生徒(中学生)を75%から85%へ引き上げることが目標として挙げられています。

 

新体力テストは、握力、上体起こし、長座体前屈、反復横跳び、持久走(中学のみ、男子1500m、女子1000m)、20mシャトルラン、50m走、立ち幅跳び、ボール投げが実施されています。

 

横浜市の新体力テスト評価では、全国の体力合計得点の平均と比較して、男女児童(小学生)、男女生徒(中学生)ともに劣ってしまっています。

 

横浜市の小中学生が種目別で全国平均を上回ったのは男子小学生の握力、長座体前屈、女子小学生の長座体前屈の3種目のみで、中学生はすべての項目で全国平均を下回ってしまいました。

 

男子小学生の握力も上回っているといっても全国平均値とほぼ同じ数値で、長座体前屈は体力なのかとも思いますので、横浜市の小中学生の体力は、残念ながら全国的にみて低いといえます。

 

 

 


出典:横浜市市民局

 

 

横浜市民は、体力は平均的に低いのだけれども、スポーツが好き、スポーツを楽しむという市民が多いという傾向なのでしょうか。

 

文部科学省の発表した全国の体力テストの年次推移をみると、特に握力とソフトボール投げは1980年代以降低下しています。身長の平均は年々向上しているのに体力は下がっているとよくいわれますが、回復してきている種目もあります。50m走は男女ともに少しですが記録が向上してきています。

 

 

 


出典:文部科学省

 

 

これらの結果は、どのように読み解いたら良いのでしょう。もちろん子どもの体力向上を目指すことが重要であることはいえるのでしょうが、一方で、生活様式の変容や体力の二極化の問題も含んでいます。また、技術や体力を向上することだけが取り出されすぎるのではなく、スポーツを楽しむ、参加するということが重要視されるのが現代のスポーツ観でもあります。

 

しかし、心身の健康、健康寿命の延長ということを考えると体を動かすこと、体力を向上させることは重要なことです。暖かくなってきて、スポーツを楽しむには良い季節になってきました。ケガに気を付けて、健康的に運動を楽しみたいですね。

 

 

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

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