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元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

vol.120「2020沖縄合宿」

 東京オリンピックのマラソン日本代表選手の残り男女1枠の追加選手が内定しました。

 男子は、3月1日(日)に開催された東京マラソン2020で、五輪参加の設定記録である2時間05分49秒を突破し、2時間05分29秒の日本新記録で日本人トップの4位に入った大迫傑選手(ナイキ)がこの枠を獲得しました。
 女子は、3月8日(日)の名古屋ウィメンズマラソン2020で、2時間20分29秒で優勝した一山麻緒選手(ワコール)が内定しました。一山選手は、ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、昨年の東京マラソンでは日本人トップの7位に、そしてMGCでも6位に入った実力者です。この2時間20分29秒は、日本歴代4位の記録で、女子のみで走ったマラソン大会での日本記録となります。

 これで、男子の代表は中村匠吾選手(富士通)、服部勇馬選手(トヨタ自動車)、大迫選手、女子が前田穂南選手(天満屋)、鈴木亜由子(日本郵政グループ)、一山選手が内定しました。実力者ぞろいの楽しみな布陣で、メダルが期待されます。

 
 さて、東京マラソンでは、一般の参加は制限され、沿道での応援も自粛するように通達がなされました。びわ湖毎日マラソン大会や名古屋ウィメンズマラソンでも、沿道での応援は控え、テレビで観戦するように促されていました。

 これらは、今世間を騒がせている新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に対する措置です。毎日のように感染者の情報が入り、スポーツ界でも即座にその対策や行動制限が講じられています。
 多くのスポーツ大会やイベントが中止や延期を余儀なくされています。現在開催されている大相撲やプロ野球オープン戦は無観客試合で開催されています。

 陸上競技界でも大きな影響が出ています。
 2月中旬までは大会の中止や縮小にとどまっていたのですが、2月後半になると中学校や高校、大学で練習や合宿への制限がかかりました。3月に入ると屋内でのスポーツ活動ができなくなりました。すでに多くの中学や高校では部活動ができない状況です。「練習もできない大会もない」では気持ちや目標を維持するのが難しくなってしまいます。教育機関では特に慎重な対応がとられていると感じます。

 長距離・ロードでは、3月1日(日)に開催される予定であった立川シティハーフマラソンが中止になったことは、箱根駅伝出場を目指す大学にとって、大きなダメージとなりました。
 箱根駅伝の予選会は、10月17日(土)に立川(昭和記念公園)での開催されるハーフマラソンで実施されます。コースは今回のハーフマラソンとは多少異なるのですが、ここを走っておくことは予選会のリハーサルとなるのです。

 ほかの大学にも影響は大きいのですが、特に本学にとっては、大きな痛手となりました。
 本学は3年連続で箱根駅伝のシード権を獲得していたので、予選会を経験している現役学生が1人もいないのです。つまり予選会を知らない世代で予選会を戦わなければなりません。コースを知らないのは大きなハンデとなります。ですから今回の立川シティハーフマラソンを走っておきたかったのです。

 
 また、オリンピックに出場するにはポイントが必要という話は前回のコラム(vol.119)でしましたが、こちらも大きな影響を受けることになりました。
 例えば、日本の代表を目指す選手たちが3月にオーストラリアでクラスの高い大会があり、多くの選手がポイントを稼ぎのために出場を予定していました。しかし、オーストラリア陸連から出場制限が出されてしまいました。その出場するための条件は、大会の14日前までにオーストラリアに入国していることや、試合前14日の間COVID-19の症状が出ていないなどで、その条件が与えられたのが大会の15日前ということもあり、出場できる選手は限られてしまいました。

 そのほか世界大会でも、3月の2020アジア陸上競技選手権・20km競歩(石川県)が中止、第24回世界ハーフマラソン選手権大会(ポーランド)が延期、5月にタイで開催される予定であった第19回アジアジュニア陸上競技選手権大会が中止となりました。これからの大会も延期、中止もしくは条件付き開催となってしまうことが予想され、ポイントを取らねばならない選手には大変なハンデを抱えることとなってしまいました。
 正確な情報をいち早く入手し、多くのシミュレーションをしつつ、入念に計画を立てていかねばなりません。

 
 

本学(法政大学)の練習風景
沖縄での合宿は中止になりましたが暖冬で良い練習が消化できています

 大会に出場できなくてもトレーニングは継続しています。高校や大学では、練習や合宿に制限があり、場所を工夫してトレーニングをしているようです。
 実業団に所属する選手などは十分な対策をしていれば合宿等の活動に際して、あまり制限は設けられていません。現在、沖縄で多くの選手が合宿をしています。しかし、多くの選手が不安を抱えています。このような状況下でもモチベーションをキープし、トレーニングせねばなりません。
 東京オリンピックを目前にして厳しい課題を背負わされてしまいました。


沖縄市市営陸上競技場

 
 
 横浜市でも多くの施設、スポーツイベントが閉館、中止、条件付き開催となっています。横浜市のホームページに便利なページがありますのでこちらをご覧ください。各区のスポーツセンターにはここからリンクできます。「スポーツ」をクリック。

 今後、ある程度の感染の進行が制限され、安定してくることが予想されます。薬も開発さてくるでしょう。
 ウイルスに対抗するには、栄養、睡眠、適度な運動が良いとされています。このような状況ですが、正確な情報を常に入手し、身体に抵抗力をつけ、対策を万全に、ウイルスに打ち勝ちましょう。

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

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