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元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

vol.101「2018高校総体」

 8月2日(木)から6日(日)まで、三重県の三重交通Gスポーツの杜 伊勢・陸上競技場で、『平成30年度全国高等学校総合体育大会 秩父宮賜杯第71回全国高等学校陸上競技対校選手権大会』が開催されました。
 通称インターハイ、高校生の最高峰の大会です。

 三重交通Gスポーツの杜 伊勢

 横浜市内の高校では、残念ながら男子の入賞はありませんでしたが、女子は1,500mで白鵬女子高等学校3年の吉永玲美さんが6位入賞、3,000mで同じく吉永さんが7位に入賞しました。入賞2つですから少し寂しい結果でしたね。
 しかし、神奈川県でみると県の累計得点は女子が優勝、男子が8位で県としては活躍しました。

 インターハイはいつも暑い中で競技が行われるのですが、今年は特に暑かった気がします。今年はニュースでも、いつにもまして猛暑のニュースが報道されています。気象庁は一つの災害と認識していると発表していましたよね。

 私はインターハイをスタンドで観ることが多かったのですが、競技場のスクリーンでは36度を超える情報が表示され、熱中症への注意喚起のアナウンスが何度も放送されていました。救急車で病院に搬送される選手も何回か見かけました。

グラウンドコンディションの表示

 救急車の出動はありましたが、今回のインターハイは熱中症に対して事前に想定し、その対応をしていたように思います。今までの経験から徐々に対策されてきたのだと思います。
 選手やスタッフがいつでも水分を摂れるのはいつものことですが、競技場横には消防車と救急車が常時待機して、瞬時に対応できるようにしていましたし、競技場周りには、いたるところにミストスポットがありました。
 さらに、競技場わきの体育館には冷房が効いていて、一般の方も涼むことができるようになっていました。

 一番助かったのが、競技場が太陽の位置を計算していたかのようにメインスタンドが1日中ほとんどの席が日陰になることです。今までインターハイのスタンドは日差しを浴びて観戦していた想い出しかありませんが、今回はとても観戦しやすかったです。日差しを計算して競技場を建設したのでしょうか。逆のスタンドは一日中日が当たっていましたが…。
 注意喚起のアナウンスも何度も流れていましたし、プログラムにも熱中症に関することが詳細に記載されていました。

 気づかなかっただけで、他にも様々な対策が講じられていたのかもしれません。これをモデルケースにして、来年以降も継続していただきたいものですね。

 

 環境庁は、暑さ指数(WBGT)31℃を超えると原則運動は禁止すべきとしています。
 暑さ指数(WBGT)は℃で示していますが、単なる気温を示しているのではありません。暑さ指数(WBGT)は、Wet-Bulb Globe Temperature(湿球黒球温度)の略で、黒球温度、湿球温度と乾球温度の3種類の測定器から算出されます。

 算出式は、屋外で
WBGT(℃) =0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度 となります。
 屋内では
WBGT(℃) =0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度 です。
 今は、簡易的にWBGTを計測できる機器が販売されています。乾球温度が、いわゆる私たちが普通に計測している温度です。

 暑さ指数(WBGT)は湿度を重要視しています。湿度が高いと発汗による身体の熱放出能力が低下してしまうので、熱中症になりやすくなるからです。

 簡易的な暑さ指数(WBGT)計測器は販売していますが、それほど普及しているわけではありません。通常計測している気温でいうと、暑さ指数(WBGT)31℃はだいたい35℃といわれていますので、35℃を超えるような暑さの中で運動するのは危険を伴う可能性が高いです。

 

 まだまだ暑い日が続きます。
熱中症にならないように、こまめな休息、給水、そして、過剰にならない範囲でのナトリウムの摂取を心がけたいですね。

 

 

 少し前になりますが、7月22日(日)日吉にある慶應義塾大学で、関東学生陸上競技連盟の主催するトワイライトゲームスが開催されました。

 この大会は夕方から始まり、観客は冷たいビールや飲料を飲みながら大会を観戦できます。このような大会は日本では珍しいですが、ヨーロッパなどでは多く見られます。選手が走っている真横で、テーブルを囲んでワイワイやっています。競技場が居酒屋状態です。でもちゃんと競技も楽しんで、選手を応援してくれます。
 このような大会が、もっと日本で普及すると良いですね。

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

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