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SPORTSよこはまVol.7:横浜熱闘倶楽部

横浜熱闘倶楽部

取材●文/中川修二(横浜市スポーツ情報センター) 協力●横浜ベイスターズ

仁志 敏久 選手

仁志 敏久

TOSHIHISA NISHI
内野手 1971年10月4日生
出身:茨城県
入団年:1995年
身長/体重 171cm/80㎏
経歴:常総学院高−早稲田大−
日本生命−読売(95年〜06年)−
横浜(07年〜)

「ベイスターズへの移籍がなければ、出そうと思わなかった」

 

キーボードを叩くのではなく、自らの筆で原稿用紙に書き記した言葉の数々…3月に初の自伝となる「プロフェッショナル」を出版された、仁志選手にお話を伺いました。

「プロフェッショナル」、拝読させて頂きました。以前ナンバーで連載されていた「プロフェッショナルの証明」が元となっているそうですが、代筆ではなく自ら筆を取られた経緯を教えて頂けますか?

「プロフェッショナル」は「プロフェッショナルの証明」をリメイクし、最初から書き直したものです。(自分で文章を)書いてみたいという希望は、プロに入って3年目あたりから持っていました。どういう形で書きたいのかは具体的になかったのですが、人の手が入ってしまうと美化されたり違った発想になってしまったりします。そうならない形で、自分の思いを直接伝えたいと思っていました。

作中、歌舞伎役者の言葉や僧侶の言葉等の引用が多く見られました。普段はどのような本を読まれているのですか?

普通の人ならばあまり読まないような、禅関係の本ですとか般若心経を解説した本を読んだりしています。その本自体が大昔に出版された本で、「う」を「ふ」と書いてあるような本でした。2003年頃に不調で気持ちが沈んでいたんですが、そういう時はやたら本が読みたくなって、仏教関係の本を読み漁った時期もありました。要は現実逃避だと思うのですけれど(笑)

読む分野が集中しているように思えますが何か影響が?

五木寛之さんが大好きで。五木さんご自身が仏教に心酔されていましたので自分も読み始めましたが、「宗教」としてではなく、物の考え方、捉え方に惹かれています。

人生に影響を与えた一冊は?

五木寛之さんの「大河の一滴」です。小説ではないのですが、人生観、自分の存在感、生きていく方向を落ち着いた気持ちで考えさせられました。

言葉の引用に加え、「例えれば〜」といった比喩もよく使われてらっしゃいますね?

僕ら(プロ)が当たり前に感じている事も、一般の方にとって理解し難いことがたくさんあります。それを自分達の(専門的な)言葉で書いてしまうと手前味噌な文章で終わってしまう。「伝えたい事」は絶対に伝えたい。簡単にさらっと言ってしまうのは非常に無責任ですので、難しいことでも可能な限り「難しい」まま理解して欲しい。その為には何かに比喩しないと説明のしようがないんです。これは読者に対してだけでなく若い選手にも言えるのですが、自分の考えを伝えるにはわかりやすい「例え」が大切ですので、常日頃から難しい局面を経験するたび、これを例えるなら何?と考えています。

そのようなわかりやすい「例え」を用いた子ども達へのコーチングもジャイアンツのOBの方々に評価されてらっしゃいます。

小学校の時に教わったことは、一生のものになってしまう場合もありますので、実は「指導者」としての責任は本当に重いんです。自分が全て(の規範)だとは思いませんが、プロとしての経験と知識を噛み砕いて伝えることができれば子ども達のレベルも上がると思いますし、技術だけでなく礼儀とか教育的な要素も、野球を通じてちゃんと指導したいですね。

仁志 敏久 選手子ども達と接する際に気をつけてらっしゃる点はありますか?

その子らの特徴をそれぞれ見てあげないと、結局決まった事の押し付けになってしまう。それは指導者としての怠慢です。学校の先生と同じで、生徒一人ひとりに対しての先生でないと。「この頃僕とは話してくれないな」と感じさせてはいけない。「最近の子どもときたら…」と悪く言われていますが、そうやって全員を見て特徴を捉えて接すると、意外と「悪い子」っていないんですよ。
大人が子どもを諦めずに、漠然とした「最近の子ども」という枠組みで見るのではなく、ちゃんと子ども達の中に入っていけば、それぞれが個性的な子なんだと理解できると思います。

「プロフェッショナル」として野球に限らず、一人の大人として様々な考えをお持ちですが、アスリートはどのように社会と接していくべきとお考えですか?

ジャイアンツ時代から思っているのですが、失敗した時や打てなかった時等、答え難い状況もあるでしょうが、それでも自分のメッセージは伝えるべきです。社会やメディアに対して口を閉ざす人もたくさんいるし、自分の都合のいい事だけを書いてもらっている人もいる。でも逆に悪い状態を見つめ直し、悪いところもいいところも理解したうえで説明できれば、より「自分」という人間をわかってもらえる。毅然と、背筋を伸ばして(社会やメディアと)向き合える人ほど立派だと思っています。

ありがとうございます。今回「プロフェッショナル」を読み、「考える」事、そして「いま」を懸命に生きることの大切さを改めて感じました。仁志選手の思考、経験を通し、どのような「言葉」がこれからも紡がれていくのか、楽しみにしています!

Present For You

仁志選手のサインを3名様にプレゼントします!
ハガキに住所、氏名、年齢、電話番号、「SPORTSよこはま」へのご意見・ご感想を記入して下記の宛先へお送りください。(平成20年7月25日必着)
〒231-0015 横浜市中区尾上町6-81 ニッセイ横浜尾上町ビル1階
横浜市スポーツ情報センター「仁志選手サイン」係まで


※個人情報の取扱いについては、こちらをご参照ください。

横浜熱闘倶楽部

取材●文/中川修二(横浜市スポーツ情報センター) 協力●横浜ベイスターズ

仁志 敏久 選手

仁志 敏久

TOSHIHISA NISHI
内野手 1971年10月4日生
出身:茨城県
入団年:1995年
身長/体重 171cm/80㎏
経歴:常総学院高−早稲田大−
日本生命−読売(95年〜06年)−
横浜(07年〜)

「ベイスターズへの移籍がなければ、出そうと思わなかった」

 

キーボードを叩くのではなく、自らの筆で原稿用紙に書き記した言葉の数々…3月に初の自伝となる「プロフェッショナル」を出版された、仁志選手にお話を伺いました。

「プロフェッショナル」、拝読させて頂きました。以前ナンバーで連載されていた「プロフェッショナルの証明」が元となっているそうですが、代筆ではなく自ら筆を取られた経緯を教えて頂けますか?

「プロフェッショナル」は「プロフェッショナルの証明」をリメイクし、最初から書き直したものです。(自分で文章を)書いてみたいという希望は、プロに入って3年目あたりから持っていました。どういう形で書きたいのかは具体的になかったのですが、人の手が入ってしまうと美化されたり違った発想になってしまったりします。そうならない形で、自分の思いを直接伝えたいと思っていました。

作中、歌舞伎役者の言葉や僧侶の言葉等の引用が多く見られました。普段はどのような本を読まれているのですか?

普通の人ならばあまり読まないような、禅関係の本ですとか般若心経を解説した本を読んだりしています。その本自体が大昔に出版された本で、「う」を「ふ」と書いてあるような本でした。2003年頃に不調で気持ちが沈んでいたんですが、そういう時はやたら本が読みたくなって、仏教関係の本を読み漁った時期もありました。要は現実逃避だと思うのですけれど(笑)

読む分野が集中しているように思えますが何か影響が?

五木寛之さんが大好きで。五木さんご自身が仏教に心酔されていましたので自分も読み始めましたが、「宗教」としてではなく、物の考え方、捉え方に惹かれています。

人生に影響を与えた一冊は?

五木寛之さんの「大河の一滴」です。小説ではないのですが、人生観、自分の存在感、生きていく方向を落ち着いた気持ちで考えさせられました。

言葉の引用に加え、「例えれば〜」といった比喩もよく使われてらっしゃいますね?

僕ら(プロ)が当たり前に感じている事も、一般の方にとって理解し難いことがたくさんあります。それを自分達の(専門的な)言葉で書いてしまうと手前味噌な文章で終わってしまう。「伝えたい事」は絶対に伝えたい。簡単にさらっと言ってしまうのは非常に無責任ですので、難しいことでも可能な限り「難しい」まま理解して欲しい。その為には何かに比喩しないと説明のしようがないんです。これは読者に対してだけでなく若い選手にも言えるのですが、自分の考えを伝えるにはわかりやすい「例え」が大切ですので、常日頃から難しい局面を経験するたび、これを例えるなら何?と考えています。

そのようなわかりやすい「例え」を用いた子ども達へのコーチングもジャイアンツのOBの方々に評価されてらっしゃいます。

小学校の時に教わったことは、一生のものになってしまう場合もありますので、実は「指導者」としての責任は本当に重いんです。自分が全て(の規範)だとは思いませんが、プロとしての経験と知識を噛み砕いて伝えることができれば子ども達のレベルも上がると思いますし、技術だけでなく礼儀とか教育的な要素も、野球を通じてちゃんと指導したいですね。

仁志 敏久 選手子ども達と接する際に気をつけてらっしゃる点はありますか?

その子らの特徴をそれぞれ見てあげないと、結局決まった事の押し付けになってしまう。それは指導者としての怠慢です。学校の先生と同じで、生徒一人ひとりに対しての先生でないと。「この頃僕とは話してくれないな」と感じさせてはいけない。「最近の子どもときたら…」と悪く言われていますが、そうやって全員を見て特徴を捉えて接すると、意外と「悪い子」っていないんですよ。
大人が子どもを諦めずに、漠然とした「最近の子ども」という枠組みで見るのではなく、ちゃんと子ども達の中に入っていけば、それぞれが個性的な子なんだと理解できると思います。

「プロフェッショナル」として野球に限らず、一人の大人として様々な考えをお持ちですが、アスリートはどのように社会と接していくべきとお考えですか?

ジャイアンツ時代から思っているのですが、失敗した時や打てなかった時等、答え難い状況もあるでしょうが、それでも自分のメッセージは伝えるべきです。社会やメディアに対して口を閉ざす人もたくさんいるし、自分の都合のいい事だけを書いてもらっている人もいる。でも逆に悪い状態を見つめ直し、悪いところもいいところも理解したうえで説明できれば、より「自分」という人間をわかってもらえる。毅然と、背筋を伸ばして(社会やメディアと)向き合える人ほど立派だと思っています。

ありがとうございます。今回「プロフェッショナル」を読み、「考える」事、そして「いま」を懸命に生きることの大切さを改めて感じました。仁志選手の思考、経験を通し、どのような「言葉」がこれからも紡がれていくのか、楽しみにしています!

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