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SPORTSよこはまVol.31:スポーツ医科学センター

スポーツ医科学センター スポーツを趣味にするということ 積極的にスポーツを日常に取り入れよう [スポーツ中に陥りやすい疾患と予防]

横浜市スポーツ医科学センター 顧問●村山 正博

運動中の内臓の働き

 スポーツ中の事故を予防するためには、まず運動中の身体にどんな変化が起こっているかを知る必要があります。運動時に最も働かなければならない内臓は心臓です。心臓は全身に酸素と栄養を送るポンプの働きをしていますが、運動により筋肉などは酸素の需要が増し、それだけ多くの血液を送らなければなりません。安静時には、毎分4〜5リットルの血液を送り出していますが、運動時にはその強度に応じてその何倍も拍出しなければなりません。そのためにアドレナリン放出をはじめとする交感神経刺激状態が起こります。それが心臓では頻脈、そして時に不整脈を起こし、また血圧が上がります。また、肺から多くの酸素を吸収するために呼吸数と換気量が増えます。一方では、働いている筋肉へ多くの血流を廻すために消化器系などの内臓へは血流補給を減らすような再分布が起こります。
  ここで考えなければならないのは、それぞれの臓器の機能が需要に応えられるかということです。もし心臓の能力が筋肉運動の需要に応えるだけの力がなければ心臓機能の破綻を来たします。肺をはじめとする他の臓器でも同じことです。また、消化器・肝臓・腎臓などの臓器でも、機能が悪い臓器はそれだけ血流が減りますから、障害がひどくなります。

運動中の心臓及び血管事故

 心臓機能の破綻とは心臓から血液を拍出できなくなることです。他の臓器と違って心臓は機能が停止すれば直ちに死につながります。運動中の突然死が心臓事故によるものが多い理由です。心臓事故の最も大きい原因は心室細動という不整脈です。その原因として多いのは、心臓筋肉への酸素補給の不足です(心筋虚血)。つまり元来、動脈硬化(メタボリック症候群から来ることが多い)が心臓の冠動脈にあり、運動中に起こる心筋虚血から心室細動を起こすという図式です。動脈硬化以外にも色々な心臓病が背景にあり、運動中のアドレナリン増加によって心室細動を惹き起こすこともあります。心室細動は起こした瞬間から心臓の機能が停止しますので、直ちにこれを止めるAED(自動体外式除細動器)が広く設置されています。その他にも激しい運動中には心室頻拍や心房細動といった不整脈発作が起こり、意識消失などのニアミス事故となります。
  また、心臓から血液を送り出すルートになる大動脈が長年の高血圧や特殊の病気により拡張したり、瘤(大動脈瘤)ができていると運動中の激しい血圧上昇(250ミリ水銀柱以上になることも多い)によって動脈壁に亀裂を起こしたり破裂することも死亡事故の原因になります。

心臓のイラスト

スポーツ環境の問題

 運動中の事故は元来、心臓などの内臓に障害がある人に起こることが多いのですが、異常のない人でも蒸し暑い環境下では熱中症による死亡事故を起こします。熱中症とは、大量に汗をかくことで水分や塩分の不足により起こる障害ですが、大きく①熱疲労、②熱痙攣、③熱射病に分けられます。熱疲労では脱水によって血液の量が減って全身の循環が悪くなるので血圧が下がり、ふらつき、めまい、倦怠感、頭痛、吐き気を起こします。熱痙攣は水分の補給だけを行なっていると塩分の不足が起こります。塩分は筋肉の収縮に必要なものですから、筋肉の痙攣、こむら返りなどを起こします。熱射病は汗によって体温を下げる機能が破綻して、体温が下がらなくなり意識障害から死に到る重篤な事態です。元来、動脈硬化によって血管が狭くなっている人では脱水から血栓ができ易くなり、心臓や動脈に起こる事故の率が高くなることは容易に想像できると思います。

事故の予防策

 上に述べたようなスポーツ中の内臓事故を予防するには、まず「自分の内臓に異常があるか」を知っておく必要があります。特に心臓や循環器系の異常は突然死につながりますから、その有無、程度を知ればスポーツの可否、種類などが決められます。そして暑さ、寒さなどの環境下におけるスポーツの実施条件を決めることができます。また、心臓だけでなく他の臓器でも異常があることが判っていれば、その異常をスポーツによって悪化させないような条件設定ができるということになります。

横浜市スポーツ医科学センター

スポーツ版人間ドック:スポーツプログラムサービス(SPS)

横浜市スポーツ医科学センター(日産スタジアム内)では、医学的検査と体力測定等を行うSPSを実施しています。またSPSの検査には、運動中の心電図や症状から循環器系疾患の有無を調べて、運動中の突然死となってしまう要因を未然に発見することに効果的な「運動負荷試験」が含まれています。詳しくはお問い合わせください。

TEL. 045-477-5050 http://www.yspc.or.jp/ysmc/

スポーツ医科学センター スポーツを趣味にするということ 積極的にスポーツを日常に取り入れよう [スポーツ中に陥りやすい疾患と予防]

横浜市スポーツ医科学センター 顧問●村山 正博

運動中の内臓の働き

 スポーツ中の事故を予防するためには、まず運動中の身体にどんな変化が起こっているかを知る必要があります。運動時に最も働かなければならない内臓は心臓です。心臓は全身に酸素と栄養を送るポンプの働きをしていますが、運動により筋肉などは酸素の需要が増し、それだけ多くの血液を送らなければなりません。安静時には、毎分4〜5リットルの血液を送り出していますが、運動時にはその強度に応じてその何倍も拍出しなければなりません。そのためにアドレナリン放出をはじめとする交感神経刺激状態が起こります。それが心臓では頻脈、そして時に不整脈を起こし、また血圧が上がります。また、肺から多くの酸素を吸収するために呼吸数と換気量が増えます。一方では、働いている筋肉へ多くの血流を廻すために消化器系などの内臓へは血流補給を減らすような再分布が起こります。
  ここで考えなければならないのは、それぞれの臓器の機能が需要に応えられるかということです。もし心臓の能力が筋肉運動の需要に応えるだけの力がなければ心臓機能の破綻を来たします。肺をはじめとする他の臓器でも同じことです。また、消化器・肝臓・腎臓などの臓器でも、機能が悪い臓器はそれだけ血流が減りますから、障害がひどくなります。

運動中の心臓及び血管事故

 心臓機能の破綻とは心臓から血液を拍出できなくなることです。他の臓器と違って心臓は機能が停止すれば直ちに死につながります。運動中の突然死が心臓事故によるものが多い理由です。心臓事故の最も大きい原因は心室細動という不整脈です。その原因として多いのは、心臓筋肉への酸素補給の不足です(心筋虚血)。つまり元来、動脈硬化(メタボリック症候群から来ることが多い)が心臓の冠動脈にあり、運動中に起こる心筋虚血から心室細動を起こすという図式です。動脈硬化以外にも色々な心臓病が背景にあり、運動中のアドレナリン増加によって心室細動を惹き起こすこともあります。心室細動は起こした瞬間から心臓の機能が停止しますので、直ちにこれを止めるAED(自動体外式除細動器)が広く設置されています。その他にも激しい運動中には心室頻拍や心房細動といった不整脈発作が起こり、意識消失などのニアミス事故となります。
  また、心臓から血液を送り出すルートになる大動脈が長年の高血圧や特殊の病気により拡張したり、瘤(大動脈瘤)ができていると運動中の激しい血圧上昇(250ミリ水銀柱以上になることも多い)によって動脈壁に亀裂を起こしたり破裂することも死亡事故の原因になります。

心臓のイラスト

スポーツ環境の問題

 運動中の事故は元来、心臓などの内臓に障害がある人に起こることが多いのですが、異常のない人でも蒸し暑い環境下では熱中症による死亡事故を起こします。熱中症とは、大量に汗をかくことで水分や塩分の不足により起こる障害ですが、大きく①熱疲労、②熱痙攣、③熱射病に分けられます。熱疲労では脱水によって血液の量が減って全身の循環が悪くなるので血圧が下がり、ふらつき、めまい、倦怠感、頭痛、吐き気を起こします。熱痙攣は水分の補給だけを行なっていると塩分の不足が起こります。塩分は筋肉の収縮に必要なものですから、筋肉の痙攣、こむら返りなどを起こします。熱射病は汗によって体温を下げる機能が破綻して、体温が下がらなくなり意識障害から死に到る重篤な事態です。元来、動脈硬化によって血管が狭くなっている人では脱水から血栓ができ易くなり、心臓や動脈に起こる事故の率が高くなることは容易に想像できると思います。

事故の予防策

 上に述べたようなスポーツ中の内臓事故を予防するには、まず「自分の内臓に異常があるか」を知っておく必要があります。特に心臓や循環器系の異常は突然死につながりますから、その有無、程度を知ればスポーツの可否、種類などが決められます。そして暑さ、寒さなどの環境下におけるスポーツの実施条件を決めることができます。また、心臓だけでなく他の臓器でも異常があることが判っていれば、その異常をスポーツによって悪化させないような条件設定ができるということになります。

横浜市スポーツ医科学センター

スポーツ版人間ドック:スポーツプログラムサービス(SPS)

横浜市スポーツ医科学センター(日産スタジアム内)では、医学的検査と体力測定等を行うSPSを実施しています。またSPSの検査には、運動中の心電図や症状から循環器系疾患の有無を調べて、運動中の突然死となってしまう要因を未然に発見することに効果的な「運動負荷試験」が含まれています。詳しくはお問い合わせください。

TEL. 045-477-5050 http://www.yspc.or.jp/ysmc/