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SPORTSよこはまVol.25:スポーツ医科学センター

スポーツ医科学センター 高齢になるとかかりやすい病気
[内科的観点から]

横浜市スポーツ医科学センター 顧問●村山 正博

 わが国の平均寿命は、男性79.59歳、女性86.44歳で、世界有数の長寿国となり、それだけ高齢者が増えていることになります。
それ自体は喜ぶべきことですが、平均寿命の前に健康寿命という考え方があって、それは平均寿命より7年から8年短いことを考慮しなければなりません。

イラスト

  つまり、寿命を全うする前の7〜8年は健康を害した形で生きる人が多いということです。我々の願いは単なる長寿ではなく、「健康長寿」であり、そのための「健康づくり」だと思います。
因みに日本人の死因のおよそ三分の一は心筋梗塞や脳卒中のような動脈硬化による病気、三分の一が癌、残りの三分の一がその他の種々の病気です。脳卒中、心臓病、癌といった生命に関わる事態は十分に認識していても、それに至る前の段階の高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満などは病気としての認識が低いのではないでしょうか。特に無症状の人が定期健診などで異常が発見された場合、最初は無視されがちですが、この時期に改善していくことが重要なのです。
さて、動脈硬化は加齢とともに誰にでも起こる現象です。それは血管の内側の弾力性がなくなり、もろく傷つきやすくなった状態です。そうなるとそこにコレステロールの固まり(プラーク)が付着します。プラークは脂肪分が多いので軟らかく破れやすいので血液の流れにぶつかって破裂します。するとそこに血栓ができて、それが大きければ血管が詰まってしまいます。血液の流れが止まれば細胞は死にます(壊死)。壊死した組織は梗塞といって心臓に起これば心筋梗塞、脳に起これば脳梗塞になります。脳血管性痴呆の多くは、小さな梗塞(ラクナ)があちらこちらに多く起こる多発性梗塞によることが多いのです。

生活習慣病とは

さて、病気は親からの体質的遺伝も関係しますが、それが表面に出るかどうかは生活習慣の違いによって異なってくるので「生活習慣病」といわれているものがあります。
「喫煙」、「過食」、「アルコールの飲み過ぎ」、「過剰の食塩摂取」、「運動不足」、「過労」、「ストレス」などが重なれば、素質というだけに終わらずに病気となって表面に出てくるという訳です。逆に、素質があってもこれらの日常生活習慣に気をつければ、病気として発症しません。生活習慣病は医学的な病名ではなく、生活習慣の改善により予防や治療が可能であるということを強く意識してもらうための社会的用語です。

イラスト

 生活習慣病には、高血圧、脳卒中、心臓病、肝臓病、腎臓病、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、癌などが含まれています。
厚生労働省の調査によれば、継続的に医療機関に通っている人の数を多い方から並べると①高血圧、②糖尿病、③脳卒中、④高脂血症、⑤喘息、⑥虚血性心臓病になります。
最も多い高血圧を持つ人は日本全体で約4千万人いるといわれています。日本の人口はおよそ1億2千万ですから、3人に一人が高血圧という訳です。その中でも高血圧だと判っている人は半分の2千万人、残りの半分は高血圧であってもその意識がありません。意識している人の半分の1千万人が実際に治療を行っており、そのうちの半分の僅か5百万人に治療効果が得られているといわれています。同様に他の病気についても糖尿病は7百万人、その予備軍は2千万人いるといわれています。そして高脂血症は約3千万人、中高年の半数以上に異常があるといわれ、また肥満は40歳以上男性では30%にも達するといわれています。その他、検診で異常が見られる多いものとして、高尿酸血症は成人男性の30%以上、女性では20−30%程度といわれています。

イラスト

メタボリック症候群とは

このような生活習慣病は、ただ一つ持っている人より二つ、あるいはそれ以上持っている人の方が多いのではないでしょうか。
最近、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満には共通の原因があることが判ってきました。それは肥満、特に内臓に脂肪がつく内臓肥満にみられるインスリン抵抗性です。これはインスリンの働きが悪くなるので多量のインスリンが分泌される状態ですが、これは糖尿病の原因そのものであり、またこれが高血圧や高脂血症の原因となることも判ってきました。これが重なると加速度的に動脈硬化を促進させます。そのため、これらの組み合わせを「メタボリック(代謝)症候群」と呼んでいます。中でも肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症の四つが重なると心筋梗塞のような直接、死につながる病気になりやすくなるので「死の四重奏」という恐ろしい呼び名もあります。
この四つの症状を一つも持たない人が心筋梗塞になる率を1とすれば、メタボリック症候群の条件を持つ人が心筋梗塞になる率は35.8倍に増えます。
ここで、メタボリック症候群の重なりの条件を以下に挙げておきます。

イラスト

 先ず、
(1)ウェスト周囲径男性≧85cm、女性≧90cmが第一の条件
(2)(1)に加えて、次の項目のうち二つ以上が有るもの
・中性脂肪≧150mg/dL、HDLコレステロール<40mg/dLの片方または両者
・収縮期血圧≧130mmHg、拡張期血圧≧85mmHgの片方または両者
・空腹時血糖≧110mg/dL
これらの症状が重ならないように注意することが必要です。

「スポ医科」は、あなたの健康をサポートします。

横浜市スポーツ医科学センター TEL. 045-477-5050・5055 ホームページ

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[内科的観点から]

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 わが国の平均寿命は、男性79.59歳、女性86.44歳で、世界有数の長寿国となり、それだけ高齢者が増えていることになります。
それ自体は喜ぶべきことですが、平均寿命の前に健康寿命という考え方があって、それは平均寿命より7年から8年短いことを考慮しなければなりません。

イラスト

  つまり、寿命を全うする前の7〜8年は健康を害した形で生きる人が多いということです。我々の願いは単なる長寿ではなく、「健康長寿」であり、そのための「健康づくり」だと思います。
因みに日本人の死因のおよそ三分の一は心筋梗塞や脳卒中のような動脈硬化による病気、三分の一が癌、残りの三分の一がその他の種々の病気です。脳卒中、心臓病、癌といった生命に関わる事態は十分に認識していても、それに至る前の段階の高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満などは病気としての認識が低いのではないでしょうか。特に無症状の人が定期健診などで異常が発見された場合、最初は無視されがちですが、この時期に改善していくことが重要なのです。
さて、動脈硬化は加齢とともに誰にでも起こる現象です。それは血管の内側の弾力性がなくなり、もろく傷つきやすくなった状態です。そうなるとそこにコレステロールの固まり(プラーク)が付着します。プラークは脂肪分が多いので軟らかく破れやすいので血液の流れにぶつかって破裂します。するとそこに血栓ができて、それが大きければ血管が詰まってしまいます。血液の流れが止まれば細胞は死にます(壊死)。壊死した組織は梗塞といって心臓に起これば心筋梗塞、脳に起これば脳梗塞になります。脳血管性痴呆の多くは、小さな梗塞(ラクナ)があちらこちらに多く起こる多発性梗塞によることが多いのです。

生活習慣病とは

さて、病気は親からの体質的遺伝も関係しますが、それが表面に出るかどうかは生活習慣の違いによって異なってくるので「生活習慣病」といわれているものがあります。
「喫煙」、「過食」、「アルコールの飲み過ぎ」、「過剰の食塩摂取」、「運動不足」、「過労」、「ストレス」などが重なれば、素質というだけに終わらずに病気となって表面に出てくるという訳です。逆に、素質があってもこれらの日常生活習慣に気をつければ、病気として発症しません。生活習慣病は医学的な病名ではなく、生活習慣の改善により予防や治療が可能であるということを強く意識してもらうための社会的用語です。

イラスト

 生活習慣病には、高血圧、脳卒中、心臓病、肝臓病、腎臓病、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、癌などが含まれています。
厚生労働省の調査によれば、継続的に医療機関に通っている人の数を多い方から並べると①高血圧、②糖尿病、③脳卒中、④高脂血症、⑤喘息、⑥虚血性心臓病になります。
最も多い高血圧を持つ人は日本全体で約4千万人いるといわれています。日本の人口はおよそ1億2千万ですから、3人に一人が高血圧という訳です。その中でも高血圧だと判っている人は半分の2千万人、残りの半分は高血圧であってもその意識がありません。意識している人の半分の1千万人が実際に治療を行っており、そのうちの半分の僅か5百万人に治療効果が得られているといわれています。同様に他の病気についても糖尿病は7百万人、その予備軍は2千万人いるといわれています。そして高脂血症は約3千万人、中高年の半数以上に異常があるといわれ、また肥満は40歳以上男性では30%にも達するといわれています。その他、検診で異常が見られる多いものとして、高尿酸血症は成人男性の30%以上、女性では20−30%程度といわれています。

イラスト

メタボリック症候群とは

このような生活習慣病は、ただ一つ持っている人より二つ、あるいはそれ以上持っている人の方が多いのではないでしょうか。
最近、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満には共通の原因があることが判ってきました。それは肥満、特に内臓に脂肪がつく内臓肥満にみられるインスリン抵抗性です。これはインスリンの働きが悪くなるので多量のインスリンが分泌される状態ですが、これは糖尿病の原因そのものであり、またこれが高血圧や高脂血症の原因となることも判ってきました。これが重なると加速度的に動脈硬化を促進させます。そのため、これらの組み合わせを「メタボリック(代謝)症候群」と呼んでいます。中でも肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症の四つが重なると心筋梗塞のような直接、死につながる病気になりやすくなるので「死の四重奏」という恐ろしい呼び名もあります。
この四つの症状を一つも持たない人が心筋梗塞になる率を1とすれば、メタボリック症候群の条件を持つ人が心筋梗塞になる率は35.8倍に増えます。
ここで、メタボリック症候群の重なりの条件を以下に挙げておきます。

イラスト

 先ず、
(1)ウェスト周囲径男性≧85cm、女性≧90cmが第一の条件
(2)(1)に加えて、次の項目のうち二つ以上が有るもの
・中性脂肪≧150mg/dL、HDLコレステロール<40mg/dLの片方または両者
・収縮期血圧≧130mmHg、拡張期血圧≧85mmHgの片方または両者
・空腹時血糖≧110mg/dL
これらの症状が重ならないように注意することが必要です。

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