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SPORTSよこはま

スポーツ医科学センター シニア世代からはじめるスポーツ(運動)の楽しみ方横浜市スポーツ医科学センター顧問 村山 正博(内科医)

 わが国は世界一の長寿国となり、平均寿命が80歳を超えて90歳にまで伸びる時代が目の前にきました。それ自体は喜ばしいことですが、一方では健康を損なう人も増えてきます。「元気で長生き」は誰もが望むシニア人生に違いありません。「定年退職」、「後進や子どもに譲る」、「子どもの独立から夫婦だけの生活になる」、「余生を楽しむ」など、いろいろな動機があると思いますが、時間的な余裕ができたので、改めて健康づくりを始めたいと思う人が増えています。
  そのために、体力づくりが必要とばかりに急に運動を始める人も少なくありません。「運動はやればやるほど健康になれる」、「熱心に運動をやっていれば長生きできる」、「運動によってすべての病気が治る」と信じこみ、毎日のように熱心に運動をする人もおられます。中には、自分の体力以上の激しい運動を急に始めたり、暑さや寒さの厳しい環境の中で運動をする、などで運動中の突然死といった思わぬ事態も耳にします。特に、若い頃に学校の部活動などで本格的にスポーツをやった経験のある人が、昔取った杵柄とばかりに、若い頃のようなスポーツを急に再開することによる事故は多いようです。
  運動が健康増進や病気の回復に役立つことは間違いのないことですが、「過ぎたるは及ばざるが如し」です。薬でも、その適応や用量を間違えれば副作用がでるように、運動もその適応や方法を間違えたり、度が過ぎたりすれば効果があがるどころか、かえって悪い結果につながります。運動の考え方を正しく理解して、正しい方法で実施していただきたいと思います。

何のためにスポーツをするか?

  まず、始める前に「自分は何のためにスポーツを始めるのか」を決めていただきたいと思います。
  スポーツの目的には、(1)競技力をつける (2)健康づくり (3)単に楽しむ などがあります。(1)は文字どおり競技に勝つためのトレーニングであって、必ずしも健康づくりとは両立しません。一見、健康そのものにみえる運動選手でも、激しい運動のためにかえって身体のあちらこちらに障害を抱えている人は少なくないのです。(2)には「今、特別な病気はないが予防のため」、「症状はないが、検査上の異常があるので改善のため」、「すでに病気があるので治療のため」などがありますが、いずれも元気で長生きを目指したものです。それが繰り返されて、最終的に(1)の目的に進むことがあっていいのですが、(1)と(2)の立場をはっきり理解して手順を踏むことが重要です。また、あまり窮屈に考えない(3)の立場も当然あっていいのですが、(1)と(2)との違いを十分に認識したうえで、やり過ぎによる事故を起こさないための配慮が必要です。
  シニア世代の多くの人は(2)の立場、そして長続きするためには(3)の気持ちを加味して、スポーツを始めたらどうでしょうか。

どんなスポーツをするか?

  肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病といった「生活習慣病」、さらにこれらが合わさったメタボリック・シンドロームを持つシニア世代は多いに違いありません。痩せたいばかりに必死の思いで激しいウエイトトレーニングを始めても効果がないどころか、かえって膝や腰を悪くしたというような話も聞きます。脂肪肝、骨粗しょう症、心臓病などの治療法の一つとして運動を勧められた人もいるでしょう。それぞれご自分の目的に沿った運動の選択が必要です。
  シニア世代の運動として、まず、(1)膝や腰にあまり負担のかからない運動 (2)息をこらえて強い力を入れる運動ではなく、ゆっくり呼吸をしながら長い時間継続する、いわゆる「有酸素運動」が勧められます。具体的な方法は個人によって違いますから、専門施設で相談してください。横浜市スポーツ医科学センターでは、スポーツ版人間ドック「スポーツプログラムサービス:SPS」と称する個々の人に適した運動メニューの提供を行っています。この中には診察、採血、運動負荷試験、体力測定、栄養相談などが含まれていますが、診察と採血から「医学的にどういう状態であるか」をチェックし、運動負荷試験によって「この程度まで運動のレベルを上げれば異常がでる・でない」を調べ、さらに体力測定によって「筋力、柔軟性、敏捷性、瞬発力、バランスなどの評価」をしたうえで、専門家がその個人の健康状態や運動目的に合った運動処方を決めます。さらに、食事の摂り方についても指導していますので、運動エネルギーと食事の出し入れの両面から健康づくりの方針を決めることになります。それぞれの運動目的に沿った成果をあげるためには、このような手順を踏むのがより良い成果を得るコツだと思います。詳しくは、横浜市スポーツ医科学センターのホームページをご覧いただき、「スポーツプログラムサービス:SPS」でご自分の目的と身体状況に適した運動を始めてみてはいかがでしょうか。

どのようにスポーツを始めるか?

  さて、表題には「スポーツ(運動)」と「スポーツ」と「運動」を併記してあります。「スポーツ」というカタカナには、競技のイメージが強く「勝つ・負ける」が伴いがちです。あるいはテニスとか他の球技のように、ウエアに着替えてわざわざ特別に何かをするという非日常的な感覚にもなりがちです。シニア世代には「運動」という漢字にも、昔の体育とか競技種目のイメージを持つ人が多いかも知れません。両者を分けて考える必要はありません。そもそもスポーツの語源は「真面目なことから一時的に離れる」、すなわち「遊ぶ」とか「気晴らし」という意味でした。語源本来の遊び感覚こそシニア世代がスポーツを始めるコツではないでしょうか。そして、もう一つ大切なことは、運動を文字どおり全ての身体動作と捉えることだと思います。すなわち、朝、目を覚ましてから起き上がる、トイレに行く、歯を磨く、箸を使う、着替える、など身の周りのこと全てが運動なのです。その一つひとつの合計が先に述べた健康づくりにつながります。そのレベルを少しずつ上げて行ったところに、ウォーキング、ランニング、さらに球技があるということです。こんなことを考えながら、運動を始める手順として、まず日常生活の中で「どんなことでもいいから身体を動かす」を意識してください。自動車に乗らないで行く買い物、家の掃除や片付け、庭仕事、料理、など日常的なことがあって、それらを含めて、まず一日1万歩くらい歩くことを意識したらどうでしょうか。その先にハイキング、テニス、ゴルフ、水泳などの本格的なスポーツが待っています。
  そして、どこかの時点で、「今やっている運動が自分の身体検査の成績にどう反映しているか」をチェックしてください。減量、血液検査の改善につながれば励みになりますから、結果を出しながら一歩一歩進んでください。手順を整理しますと、スポーツを始める前に自分の健康状態と体力からスポーツの目的と方法を決め、その成果が得られるように定期的に身体をチェックして行く、という流れになります。手順が良くわからなければ、横浜市スポーツ医科学センターのような専門施設にご相談ください。中には身体を動かすのが嫌いな人、観るスポーツだけを楽しんでいた人もいらっしゃるでしょう。汗を流すだけがスポーツではないことをご理解いただければ幸いです。今までの生活環境が変わって、ようやく自由な時間という大きな武器を手に入れた今、改めてスポーツ(運動)による健康づくりを始めませんか。

横浜市スポーツ医科学センター

〒222-0033 横浜市港北区小机町3302-5日産スタジアム東側スタンド下
TEL. 045-477-5050・045-477-5055  http://www.yspc.or.jp/ysmc/

スポーツ医科学センター シニア世代からはじめるスポーツ(運動)の楽しみ方横浜市スポーツ医科学センター顧問 村山 正博(内科医)

 わが国は世界一の長寿国となり、平均寿命が80歳を超えて90歳にまで伸びる時代が目の前にきました。それ自体は喜ばしいことですが、一方では健康を損なう人も増えてきます。「元気で長生き」は誰もが望むシニア人生に違いありません。「定年退職」、「後進や子どもに譲る」、「子どもの独立から夫婦だけの生活になる」、「余生を楽しむ」など、いろいろな動機があると思いますが、時間的な余裕ができたので、改めて健康づくりを始めたいと思う人が増えています。
  そのために、体力づくりが必要とばかりに急に運動を始める人も少なくありません。「運動はやればやるほど健康になれる」、「熱心に運動をやっていれば長生きできる」、「運動によってすべての病気が治る」と信じこみ、毎日のように熱心に運動をする人もおられます。中には、自分の体力以上の激しい運動を急に始めたり、暑さや寒さの厳しい環境の中で運動をする、などで運動中の突然死といった思わぬ事態も耳にします。特に、若い頃に学校の部活動などで本格的にスポーツをやった経験のある人が、昔取った杵柄とばかりに、若い頃のようなスポーツを急に再開することによる事故は多いようです。
  運動が健康増進や病気の回復に役立つことは間違いのないことですが、「過ぎたるは及ばざるが如し」です。薬でも、その適応や用量を間違えれば副作用がでるように、運動もその適応や方法を間違えたり、度が過ぎたりすれば効果があがるどころか、かえって悪い結果につながります。運動の考え方を正しく理解して、正しい方法で実施していただきたいと思います。

何のためにスポーツをするか?

  まず、始める前に「自分は何のためにスポーツを始めるのか」を決めていただきたいと思います。
  スポーツの目的には、(1)競技力をつける (2)健康づくり (3)単に楽しむ などがあります。(1)は文字どおり競技に勝つためのトレーニングであって、必ずしも健康づくりとは両立しません。一見、健康そのものにみえる運動選手でも、激しい運動のためにかえって身体のあちらこちらに障害を抱えている人は少なくないのです。(2)には「今、特別な病気はないが予防のため」、「症状はないが、検査上の異常があるので改善のため」、「すでに病気があるので治療のため」などがありますが、いずれも元気で長生きを目指したものです。それが繰り返されて、最終的に(1)の目的に進むことがあっていいのですが、(1)と(2)の立場をはっきり理解して手順を踏むことが重要です。また、あまり窮屈に考えない(3)の立場も当然あっていいのですが、(1)と(2)との違いを十分に認識したうえで、やり過ぎによる事故を起こさないための配慮が必要です。
  シニア世代の多くの人は(2)の立場、そして長続きするためには(3)の気持ちを加味して、スポーツを始めたらどうでしょうか。

どんなスポーツをするか?

  肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病といった「生活習慣病」、さらにこれらが合わさったメタボリック・シンドロームを持つシニア世代は多いに違いありません。痩せたいばかりに必死の思いで激しいウエイトトレーニングを始めても効果がないどころか、かえって膝や腰を悪くしたというような話も聞きます。脂肪肝、骨粗しょう症、心臓病などの治療法の一つとして運動を勧められた人もいるでしょう。それぞれご自分の目的に沿った運動の選択が必要です。
  シニア世代の運動として、まず、(1)膝や腰にあまり負担のかからない運動 (2)息をこらえて強い力を入れる運動ではなく、ゆっくり呼吸をしながら長い時間継続する、いわゆる「有酸素運動」が勧められます。具体的な方法は個人によって違いますから、専門施設で相談してください。横浜市スポーツ医科学センターでは、スポーツ版人間ドック「スポーツプログラムサービス:SPS」と称する個々の人に適した運動メニューの提供を行っています。この中には診察、採血、運動負荷試験、体力測定、栄養相談などが含まれていますが、診察と採血から「医学的にどういう状態であるか」をチェックし、運動負荷試験によって「この程度まで運動のレベルを上げれば異常がでる・でない」を調べ、さらに体力測定によって「筋力、柔軟性、敏捷性、瞬発力、バランスなどの評価」をしたうえで、専門家がその個人の健康状態や運動目的に合った運動処方を決めます。さらに、食事の摂り方についても指導していますので、運動エネルギーと食事の出し入れの両面から健康づくりの方針を決めることになります。それぞれの運動目的に沿った成果をあげるためには、このような手順を踏むのがより良い成果を得るコツだと思います。詳しくは、横浜市スポーツ医科学センターのホームページをご覧いただき、「スポーツプログラムサービス:SPS」でご自分の目的と身体状況に適した運動を始めてみてはいかがでしょうか。

どのようにスポーツを始めるか?

  さて、表題には「スポーツ(運動)」と「スポーツ」と「運動」を併記してあります。「スポーツ」というカタカナには、競技のイメージが強く「勝つ・負ける」が伴いがちです。あるいはテニスとか他の球技のように、ウエアに着替えてわざわざ特別に何かをするという非日常的な感覚にもなりがちです。シニア世代には「運動」という漢字にも、昔の体育とか競技種目のイメージを持つ人が多いかも知れません。両者を分けて考える必要はありません。そもそもスポーツの語源は「真面目なことから一時的に離れる」、すなわち「遊ぶ」とか「気晴らし」という意味でした。語源本来の遊び感覚こそシニア世代がスポーツを始めるコツではないでしょうか。そして、もう一つ大切なことは、運動を文字どおり全ての身体動作と捉えることだと思います。すなわち、朝、目を覚ましてから起き上がる、トイレに行く、歯を磨く、箸を使う、着替える、など身の周りのこと全てが運動なのです。その一つひとつの合計が先に述べた健康づくりにつながります。そのレベルを少しずつ上げて行ったところに、ウォーキング、ランニング、さらに球技があるということです。こんなことを考えながら、運動を始める手順として、まず日常生活の中で「どんなことでもいいから身体を動かす」を意識してください。自動車に乗らないで行く買い物、家の掃除や片付け、庭仕事、料理、など日常的なことがあって、それらを含めて、まず一日1万歩くらい歩くことを意識したらどうでしょうか。その先にハイキング、テニス、ゴルフ、水泳などの本格的なスポーツが待っています。
  そして、どこかの時点で、「今やっている運動が自分の身体検査の成績にどう反映しているか」をチェックしてください。減量、血液検査の改善につながれば励みになりますから、結果を出しながら一歩一歩進んでください。手順を整理しますと、スポーツを始める前に自分の健康状態と体力からスポーツの目的と方法を決め、その成果が得られるように定期的に身体をチェックして行く、という流れになります。手順が良くわからなければ、横浜市スポーツ医科学センターのような専門施設にご相談ください。中には身体を動かすのが嫌いな人、観るスポーツだけを楽しんでいた人もいらっしゃるでしょう。汗を流すだけがスポーツではないことをご理解いただければ幸いです。今までの生活環境が変わって、ようやく自由な時間という大きな武器を手に入れた今、改めてスポーツ(運動)による健康づくりを始めませんか。

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〒222-0033 横浜市港北区小机町3302-5日産スタジアム東側スタンド下
TEL. 045-477-5050・045-477-5055  http://www.yspc.or.jp/ysmc/