地域と共に歩む企業スポーツ 〜 日産自動車硬式野球部の取り組み
by :スポーツ情報センター:yoko
「子どもの頃、プロ野球名球会の野球教室に参加した時、指導してくれた人が輝いて見えました。自分自身も子どもたちにとって、輝いて見える選手になりたい」。
横浜市旭区の日産市沢グラウンドに練習拠点を置く日産自動車硬式野球部(以下日産)から、ドラフト2巡目で今年西武ライオンズに入団した野上亮磨投手の言葉です。野上投手が日産のユニフォームを身に着ける最後の日、市沢グラウンドで小学生の少年野球チームを対象に、地域スポーツ交流教室が開催されました。青く澄み渡った冬空の下で、日産の久保恭久監督、コーチ陣、そして選手たちは参加した子どもたちと野球の指導を通じて交流しました。
社会人野球のフィールドで活躍する選手たちの指導に、小学生たちも嬉しそう
初対面の選手と子どもたちですが、それでもウォーミングアップのランニングが始まるとすぐに打ち解けた様子。グループごとに分かれての準備運動では、選手たちが声を掛けながら丁寧にアドバイスしていました。グラウンドのあちこちで子どもたちの笑顔がはじけます。
大好きな野球を通じて、選手と子どもたちはすぐに仲良くなりました
準備運動も大切なコミュニケーションの時間です
日産は1959年創部の長い歴史を持つ社会人野球チームです。昨シーズンは予選を勝ち抜き8月に都市対抗野球大会、11月に社会人野球日本選手権に出場を果たしました。
プレーで魅せる以外でも、シーズンの合間を縫って今回のような地域交流教室を定期的に開催し、野球に親しむ子どもたちとふれあう時間を大切にしています。「『社会人野球の日産』という存在を広く知ってもらう目的で行っています」と話すのはチームを率いる久保監督。同時に大きな願いを込めて教室に取り組んでいます。「子どもたちに技術の向上だけでなく、仲間を作ったり、互いに助け合う気持ちを持つことを学んでほしいですね」と久保監督は優しい眼差しを子どもたちに注ぎました。久保監督自身も子どもたちがノックしたボールを受け止めたり、グラウンドを楽しそうに走っていました。
2008年度で監督就任8年目の日産・久保監督
参加した少年野球チームの中で、旭区のレッドスネークコルツの上津清春監督は、「選手が実技を見せてくれたり、ポイントを細かく教えてくれたので、日ごろ出来ないことが実践できました。選手と身近に接してみんな嬉しそうでした」と手応えをつかんでいました。子どもたちも「キャッチボール、ゴロの取り方や投げ方を教えてもらって、すごく面白かった!」と声を揃えました。「将来はプロ野球選手になりたい!」と大きな夢を描く男の子の姿も。目標に向かって前進する勇気を与えられた一日になりました。
厳しい勝負の世界に身を置く選手たちも、真っすぐな瞳に囲まれて笑顔が絶えませんでした。日産の吉浦貴志主将は、「子どもたちは元気に一生懸命やってくれました。僕自身が大人になって忘れかけている、大切なことを思い出せてくれる一日でした」と振り返りました。
「野球の楽しさを伝えたい」。その思いで教室に取り組んだ吉浦主将〔左〕
バッティングから守備練習まで…子どもたちは頑張りました
教室終了後、すっかり日が暮れたグラウンドで、最後まで子どもたち一人一人のサインに丁寧に応じていた野上投手。日産の選手として最後の一日は、さまざまな思いが胸を駆け巡ったかもしれません。
3年間の社会人野球生活を振り返り、「昨年が一番チームに貢献できた年になったと思う」と言います。中でも日本選手権の出場を決めた10月の関東代表決定戦で、2試合連続完封勝利を収めたことが一番の思い出になりました。「ここで結果を出したことが、ライオンズに入団が決まるポイントになったと思う。自分の人生を変えたいい試合でした」。赤く燃える日産の主戦から、青く染まったライオンズの若きエースへ。「開幕から1軍。シーズンを通して1軍に定着することが目標」と誓いました。日本一のチームへ羽ばたく野上投手の姿を、子どもたちはしっかりと目に焼き付けていました。
プロ野球の舞台で野上投手が活躍することが、子どもたちの希望になります
子どもたちに野球をもっと好きになってもらうために。そして社会人野球のフィールドで戦うチームの存在を知ってもらうために。地域の人たちと共に勝利を目指して前進する、日産自動車硬式野球部の新たなシーズンが始まります。
6月には横浜スタジアムで、都市対抗野球大会の関東代表を決定する予選が行われます。地元で社会人野球の試合を観戦するチャンスです。2009年は横浜から野球を盛り上げましょう!
日産自動車硬式野球部の最新情報はこちらへ http://www.nissan-global.com/JP/SPORTS/BASEBALL/
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