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    イベントレポート

センバツへの道【1】 高校野球秋季関東大会出場校は慶応、日大藤沢、日大の3校に決定!

by :千葉 陽子

 今年の夏の高校野球。南神奈川代表の横浜はベスト4、北神奈川代表の慶応はベスト8に終わった。この季節、高校野球ファンのみならず、地元代表校の勝敗に一喜一憂する人は多いだろう。

 しかし高校野球は夏で終わらない。来春のセンバツ(選抜高校野球大会)出場をかけた新チームの戦いが早くも始まっている。11月1日から県内で行われる関東大会は、センバツ出場校の選定に大きな影響を与える。その関東出場をかけて、9月6日から県高校野球秋季大会(県高校野球連盟主催)が行われた。県大会の上位3校に関東の出場権が与えられる。約1ヵ月に渡る熱戦を経て、舞台は10月5日の保土ヶ谷球場。運命の決勝、そして3位決定戦が行われた1日を追った。

来春のセンバツへの第一歩!保土ヶ谷球場は満員の観客の熱気で包まれた

 決勝の舞台に上がったのは…日大藤沢と慶応だ。2校は前日の準決勝で関東出場を手中に収めたが、慶応の上田誠監督が「関東の1回戦だと思って戦う」と話す、大切な一戦に臨んだ。

 夏の北神奈川大会を制した慶応は、この秋甲子園のメンバーは総入れ替わり。甲子園でベンチ入りした3人の選手以外は、スタンドで応援していた控え選手で新チームを構成。「クリーンナップはなく、皆どんぐりの背比べ」と上田誠監督は評するが、決勝までにコールドゲームが4回、強豪の東海大相模や桐光学園を圧勝してきた。

 一方日大藤沢はエースの石垣駿選手(2年)を中心に、3回戦で横浜を敗るなど、接戦を制しながらここまで勝ち進んできた。

 決勝開始直前の保土ヶ谷球場は、応援団や高校野球ファンで満員に埋まった。3塁側、慶応の応援スタンドで、学生服に身を包み指揮を執っていた応援指導部主将の小山太輝さん(3年)は、「ここまで勝ち上がれたのは甲子園で先輩方の背中を見て、いい刺激を受けたのではないか。ベンチに入っていなくても、何かを感じて練習に生かせることが強い証なのだと思いました」と選手たちを頼もしそうに見つめ、共に選手と戦う決意で応援する、と力を込めた。

3塁側慶応スタンドに応援歌「若き血」が響き渡る!

1塁側日藤スタンドも一丸となって応援!

 試合は2−1と慶応リードで迎えた7回裏、慶応は集中攻撃で一挙5点を追加、ビッグイニングを作った。そして7−1で勝利、49年ぶり4度目の優勝に輝いた。

 試合後、「開けてびっくり玉手箱の優勝」と笑顔を見せた上田監督。しかしあらためて慶応の強さを感じた秋季大会だった。全員でつかんだ勝利ではあるが、2年生エース白村明弘選手の活躍が光った。6試合を一人で投げ抜き、わずか3失点。前日の投球練習で突き指をするアクシデントに見舞われたが、「いいピッチング内容でない時でも、コツを覚えて丁寧に放った」と上田監督は成長をたたえる。

 その白村選手、「昨年秋の決勝で投げた時に、乱調で1アウトしか取れずに降板した」悔しさを胸に、1年後リベンジを果たした。そしてもう一つ引きずっていたのは、今年の春季大会の桐光学園戦でストライクが入らなかったこと。今大会準々決勝で再び桐光学園とぶつかり、「ストライクが入って7−0で勝つことができた」と振り返る。優しい顔立ちに似合わず、なかなか強気のエース。「ここ(関東)から勝っていかないと甲子園には行けないので、ひとつひとつ大事にしたい」。関東大会でもチームの核になることは間違いないだろう。

慶応を強豪校へ育てた上田監督(左) 49年ぶりのV!歓喜の瞬間(右)

決勝直前、気合の日藤ナイン(左) 準優勝の立役者、日藤エース石垣選手(右)

 そしてもう一試合。決勝の前に、関東への残り1枚の切符をかけて、綾瀬と日大の3位決定戦が行われていた。日大は今大会1年生ながら大車輪の活躍だったエース丸岡大介選手の好投と、固い守備力で5−2で綾瀬を下し、27年ぶりの関東出場を決めた。

 日大のもう一人のエース、相澤洋平選手(2年)の不調もあり、大事な場面を任されてきた丸岡選手。公式戦の完投、そして連投も今大会が初めての経験だった。「プレッシャーがあって、力が沸くタイプ」という度胸の持ち主。前日、決勝進出をかけた慶応戦は3−1で悔しい敗戦を喫した。「昨日負けて落ち込みましたが、周りの先輩が明日勝てば関東だから、気にしないで絶対勝とうと言ってくれた」。温かい励ましで気持ちを切り替え、1年生は見事に任務をまっとうした。

 敗れた綾瀬は夏の北神奈川大会もベスト4に進出して、公立校の躍進として注目を集めた。関東大会出場に期待が掛かったが、準決勝からエラーが目立つなど、あと一歩及ばなかった。それでもエースの中村駿選手(2年)は、「綾瀬はもともと強いチーム。いつも流れが悪くて1回戦、2回戦で負けていたのですが、この夏からくじ運も良くどんどん上がってこれたので、この流れを春に持っていきたい」と唇をかみ締め、「絶対に甲子園に出るしかない」とセンバツへ望みをつないだ。

朝日を浴びてプレーボール!(左) 1年生エース、日大丸岡選手の活躍が光った(右)

日大を率いる伊藤謙吾監督(左) ピンクに染まった3塁側日大スタンド(右)

 慶応、日大藤沢、日大が出場する関東大会まであと半月あまり。各チームが秋季大会の結果をどのように生かして臨むのか、見所はいっぱいだ。来年の甲子園を沸かすであろう選手たちの活躍を、会場の保土ヶ谷球場、横須賀スタジアムに足を運んでぜひ見届けてほしい。

(※関東大会の組み合わせ抽選会は10月17日に毎日新聞東京本社で行われる)

※写真の転載は固くお断りします