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    イベントレポート

それぞれの夢、それぞれの五輪 〜 日本体育大学と日本体育大学女子短期大学部が北京五輪出場選手の壮行会を開催

by :スポーツ情報センター記者

 2004年アテネ五輪。競泳男子100メートル・200メートル平泳ぎで金メダル2冠を成し遂げた北島康介選手は、試合後の会見で「チョー気持ちいい!」とすがすがしい表情で叫んだ。柔道48キロ級で五輪2大会連続の金メダルを獲得した谷亮子選手は、歓喜の涙を流した。
 今も胸に鮮やかによみがえる4年前の記憶。あの時の舞台で主役に立った二人…北島選手は日本体育大学(以下日体大)、谷選手は日体大大学院の卒業生だ。

 日体大は五輪の歴史と共に栄光を刻んできた。8月8日に開幕する北京五輪には日体大の卒業生と現役学生26人(7月10日現在)が出場する。日本代表に選ばれた選手たちを激励するための壮行会が日本体育大学女子短期大学部と合同で、日体大の横浜・健志台キャンパス(横浜市青葉区)で開催され、14人の選手が参加した。

学生たちから熱い声援を受け、壇上に並んだ日本代表の14人

 壮行会が行われた体育館には学生や教職員、関係者など約1,300人が詰め掛け、盛大な雰囲気になった。大型スクリーンに歴代の選手たちがメダルを獲得したシーンが流れ、当時の感動が胸をよぎる。そして日本代表選手たちが一人ずつ登場。紹介された選手はそれぞれの競技の「決め」のポーズを披露し、学生たちから歓声が上がった。
 落合卓四郎学長は、アスリートにとって最高のひのき舞台へ出場する選手たちを祝福し、「日体大関係者の五輪での過去のメダル獲得数は、金30個、銀29個、銅37個です。これは日本のメダルの総数の1/4を占めています」と話し、「50年前、海外で行われる五輪は結果しか知ることができませんでした。しかし現在はテレビやインターネットを通じて、皆さんの活躍がリアルタイムで子どもたち、日本国民、さらには全世界の人たちに感動と勇気、希望を与えてくれると思います。声援を心に刻んで北京に向かってください」と力強くエールを送った。
 また1968年メキシコ五輪から3大会連続で体操団体で金メダルを獲得した堅物永三副学長は、自身の経験を通じて、「極度の緊張感とプレッシャーがあると思いますが、選ばれし者が必ず通る道。大切なのは自分がベストを尽くせたかということです。ベストを尽くして戦う姿をお見せしてほしい」と選手たちに呼びかけた。

     

日本代表にエールを送る落合卓四郎学長(左)と堅物永三副学長(右)

 その後のセレモニーではチアリーダー部と応援団部が、選手たちのために迫力ある応援を披露。そして最大の見せ場は、日体大独特の応援スタイルである「エッサッサ」。男子学生寮による80年近い歴史ある応援が体育館に響き渡り、選手たちも熱い思いが込み上げてきたようだった。

   

チアリーダー部は華麗な演技を披露(左) 迫力ある「エッサッサ」の応援が場内に響き渡った(右)

 壮行会に参加した14人の選手たちは記者会見に臨み、北京へ向かう直前の胸の内を語った。

【齋藤信治選手(東レアローズ) 男子バレーボール代表/1992年バルセロナ五輪以来16年ぶりの五輪出場となる男子バレー。身長205センチの高さとベテランの経験を生かした活躍が期待される。】
「自分自身3度目の挑戦で五輪出場が叶い、現役最後のチャンスをつかめて良かった。34歳だが、経験という部分でチームにいい影響を与えたい。山本隆弘選手(日体大卒業生・パナソニック・パンサーズ)と一緒に期待に応えられるように頑張りたいです。」

【山田政晴選手(群馬綜合ガードシステム) ウエイトリフティング男子56キロ級代表/2004年アテネ五輪代表。】
「(アテネ五輪では3回試技失敗のため失格)アテネのリベンジも含めて、北京では全部持ち上げていきます。」

     

16年ぶりの五輪!男子バレー・齋藤信治選手(左) アテネのリベンジを誓ったウエイトリフティング・山田政晴選手(右)

【松永共広選手(綜合警備保障) レスリングフリースタイル55キロ級代表/2008年アジア選手権優勝。】
「レスリング人生22年の集大成として、悔いの残らないように頑張りたい。」

【湯元健一選手(日体大レスリング助手) レスリングフリースタイル60キロ級代表/日体大レスリング部元主将。日本国内で最激戦区のフリー60キロ級代表権を、ラスト15秒からのタックルで勝ち取った。】
「職員代表として五輪に出場します。五輪の出場権を獲得できたのは、他の選手よりも一番強い気持ちがあったからだと思います。日体大のフリースタイルのレスリングはタックルなので、それが取れて五輪が決まったのは良かったと思います。」

    

初めての五輪に臨むレスリング代表の松永共広選手(左)と湯元健一選手(右)

【池松和彦選手(K-POWERS) レスリングフリースタイル66キロ級代表/2004年アテネ五輪5位。私生活では新婚ホヤホヤで、2回目の五輪に臨む。】
「(高田延彦道場の壮行会で)高田さんからは、いつも通りの力が出せるように無理しないで、と抑え気味のエールをいただきました。日体大の桜吹雪を吹かせ、北京の空を日本晴れにしたいと思います!」

【笹本睦選手(綜合警備保障) レスリンググレコローマンスタイル60キロ級代表/2000年シドニー五輪58キロ級8位、2004年アテネ五輪60キロ級5位。】
「今まで出場した五輪の2大会は楽しくできればいいと思っていたのですが、今回は金メダルを取ると約束したので、それを守れるように頑張りたいです。」

【松本慎吾選手(一宮運輸) レスリンググレコローマンスタイル84キロ級代表/2004年アテネ五輪7位。】
「中学生の時、柔道の吉田秀彦さん(1992年バルセロナ五輪金メダリスト)の試合を見て憧れの選手になりました。(吉田選手が合宿を訪れてくれて)吉田さんに続いて勝てるように頑張りたいと思いました。自分の持てる力をすべて出し切って、メダル獲得に向けて頑張ります。」

     

メダルの期待がかかるレスリング代表 池松和彦選手(左)笹本睦選手(中)松本慎吾選手(右)

【中瀬卓也選手(徳洲会) 体操競技代表/2007年世界選手権団体2位。北京五輪出場権をかけた2次予選は14位、最終予選で巻き返して五輪初出場を決める。】
「五輪出場が決まった時、まずは恩師の先生に報告しました。先生は泣いて話せなくなってしまいました。五輪は4年に一度の大会。今までと同じ気持ちで臨みますが、緊張もするでしょうし、かける思いは違いますね。」

【沖口誠選手(コナミスポーツ) 体操競技代表/今年3月の卒業生。跳馬のスペシャリスト。】
「床の演技で一つ一つの技の高さを見てほしい。不安もありますが、冷静に頑張っていきたいです。」

【内村航平選手(日体大体育学科2年生) 体操競技代表/ 父が開いた「スポーツクラブ内村」で、3歳から体操を始める。2007年ユニバーシアード床運動で優勝。】
「小さい頃からの夢が叶って嬉しい。家が体操クラブなので、遊んでいるうちに体操をやっていました。日本代表になったので、恥のないような演技ができるように頑張ります。」

     

アテネに続いて目指せ、体操金メダル!中瀬卓也選手(左)沖口誠選手(中)内村航平選手(右)

【早川浪選手(日体大体育学科4年生) アーチェリー女子個人・団体代表/ 2007年7月の世界選手権、個人女子17位で出場枠獲得。】
「(出場権を獲得してからの一年間)いろんな気持ちを五輪に向けて頑張ってきました。集中力が必要な競技ですが、子どもの時からアーチェリーをやっているので、的を見ると自然と集中力が高くなります。北京は出るだけではなく、勝ちに行きます。」

【村上佳宏選手(自衛隊体育学校) 近代五種代表/2007年アジア・オセアニア選手権5位に入り、北京五輪出場内定。この種目では1992年バルセロナ五輪以来16年ぶりの出場。】
「五輪代表権をかけた試合の日が妻の誕生日だったので、何としても取らなければと思ってやりました。北京では長男に自分が戦っている姿を見せたいという思いがあります。アジアでメダルが取れていない種目なので、自分が一番先に取りたいと思います。」

     

韓国全州生まれ、2006年1月に日本国籍を取得した早川浪選手(左) 家族への愛情が五輪出場の原動力に!村上佳宏選手(右)

【舛田圭太選手(トナミ運輸) バドミントン・男子ダブルス代表/ 2000年シドニー五輪シングルス、2004年アテネ五輪ダブルス代表。】
「バドミントンで3大会連続で五輪に出た選手が今までいなかったので、自分が一人目になれて嬉しいです。(日体大在学中から12年のパートナーの)大束選手は私のわがままを聞いてくれる存在。それが長く続いている秘訣だと思います。」

【大束忠司選手(トナミ運輸) バドミントン・男子ダブルス代表/舛田選手とのペアで2004年アテネ五輪ダブルス代表。】
「自分としては2回目の五輪。前回は1回も勝てなかったので、北京では舛田選手と一緒にしっかり頑張って、皆さんの期待に応えたい。」

   

バドミントンはオグシオだけじゃない!舛田圭太選手(左)と大束忠司選手(右)のペアにも注目!

 それぞれの思いを込めて臨む北京五輪。谷選手や北島選手の連覇に期待が掛かるが、壮行会で近代五種代表の村上選手は、「五輪に出場して一つでも順位を上げて、結果を残したい。それによって一人でも多くの人に近代五種という種目を知ってほしいのが今の大きな気持ちです」と力を込めた。近代五種とは射撃、フェンシング、水泳、馬術、ランニングの5種目を一日で行い、その総合得点を競う競技。五輪は普段観戦する機会の少ないスポーツに触れるチャンスでもある。そんなところに心を留めながら、ぜひ今年の五輪を見つめてほしい。選手と共に喜び、あるいは悔し涙を流す“熱い”夏がまもなくやって来る。
 北京五輪ではどんなドラマが待っているのか。その時日体大の五輪史上に、新しい栄光のシーンが描かれる。

それぞれの夢をのせて…北京へいざ出陣!

【その他の北京五輪出場者(日体大関係者)※出場決定順・7月10日現在】

菅原智恵子選手(フェンシング・フルーレ) 谷亮子選手(柔道48キロ級) 北島康介選手(競泳・平泳ぎ)
中村礼子選手(競泳・背泳ぎ) 外村哲也選手(トランポリン) 岩本亜希子選手(ボート・軽量級ダブルスカル)
竹屋美紀子選手(カヤックフォア) 藤本索子選手(ソフトボール) 山本隆弘選手(男子バレーボール)
堀籠佳宏選手(陸上競技男子短距離4×400メートルリレー) 近賀ゆかり選手(女子サッカー) 丸山桂里奈選手(女子サッカー)