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    イベントレポート

国立から北京へ、そして横浜へ続く道 〜 初のメダル獲得へ向けて、頑張れ卓球日本代表!

by :スポーツ情報センター記者

 「北京五輪では悔いの残らない試合をして、笑顔で日本に帰ってきたい」。北京五輪卓球日本女子代表の福原愛選手(ANA)は瞳を輝かせて高らかに宣言した。福原選手にとって2回目の五輪はもう目の前、8月8日の開会式では旗手という大役も待っている。

中国と深い関わりがある福原選手。思い出の地で2回目の五輪に臨む!

 7月5日、国立代々木第2体育館。北京五輪に出場する卓球日本代表選手を、ファンが応援する壮行イベントが行われた。卓球は1988年のソウル大会から五輪の正式種目になり、日本は悲願のメダル獲得を目指して北京に臨むことになる。
 その使命を担ったのは、男子代表が韓陽選手(東京アート)、水谷隼選手(スヴェンソン)、岸川聖也選手(スヴェンソン)。女子代表は平野早矢香選手(ミキハウス)、福岡春菜選手(中国電力)、そして福原選手の6人だ。

北京五輪卓球日本代表の6人。(左から)韓選手、水谷選手、岸川選手、福原選手、平野選手、福岡選手

 五輪前に最後の日本代表の勇士を見ることができる機会とあって、1,552人の観客が応援に駆けつけた。熱気に包まれた中、華やかな音楽にのせて日本代表が登場すると、観客席は大歓声に包まれた。この壮行イベントを企画したのは、アテネ大会まで4大会連続で五輪に出場した松下浩二さんだ。松下さんはグランプリ大阪の現役選手であると共に、卓球イベントの運営などを行う「チームマツシタ」の社長としても活躍している。今回は日本代表と日本実業団リーグ選抜チームが対戦する団体戦のほか、観客が参加して選手とふれあうことができるイベントも盛り込まれている。

   

国立代々木第二体育館は、一足早く五輪の雰囲気でいっぱいになった!

 第1部で壮行試合として行われた団体戦は、男子代表の宮崎義仁監督、女子代表の近藤欽司監督が見守る中で行われた。五輪前の貴重な実践の場、選手の表情は真剣そのものだ。
 最初のシングルスでは韓選手が吉田海偉選手(グランプリ大阪)と対戦。気迫を前面に押し出す吉田選手は随所にガッツポーズを見せ、観客を沸かせる。フルゲームの末、韓選手が3−2で勝利し、代表の意地を見せた。
 次に平野選手、福岡選手のペアと水谷選手、岸川選手のペアがそれぞれダブルスで実業団リーグの中国選手と対戦し、勝利を飾った。女子ダブルスの試合では、福原選手が観客席から大きく手をたたいて応援する姿がひときわ目立った。自らは試合に出ない時も、「ベンチで共に戦う」気持ちが強く伝わってきた。
 その福原選手は最後に劉一行選手(日立化成)と対戦。力強いスマッシュで観客を魅了し、貫禄のストレート勝ちを収めた。全勝の日本代表は、北京へ向けて順調な仕上がりを証明した。試合後平野選手は、「このような緊張感のある中で試合ができたことを本当に嬉しく思います」と笑顔で振り返っていた。

   

白熱した一戦、韓選手VS吉田選手(左) 水谷選手・岸川選手のダブルス(右) 

   

必勝体制!平野選手・福岡選手ペア(左) エースの風格が漂う福原選手(右)

 第2部は卓球ファンお待ちかねの楽しいイベントが催された。お笑いタレントのTIM(レッド吉田さん、ゴルゴ松本さん)の司会で、まずは日本代表が「スマッシュターゲット」というゲームに挑戦。卓球台の半面に並べたペットボトルを、反対側からサーブしたボールで何本落とせるか競うもの。1本落とすたびに賞金がもらえるため、福原選手は「みんなで焼肉へ行くために頑張ります!」と大張り切り。ペットボトルの1本は、卓球台の前にかがんだゴルゴさんの頭上にセッティングされ、その1本が集中攻撃を受けたため、場内は笑いに包まれた。気になる結果は…水谷選手があわやパーフェクトの場面を見せるなど、日本代表がお腹いっぱい焼肉を食べることができる賞金を獲得した。
 続く「変則ラケットハンデマッチ」では、会場から選ばれた観客が日本代表に卓球で挑戦できる夢のような企画。平野選手は両手にスリッパを握り、卓球を週に4、5回はやっているという熱心な女性と対戦。なんと平野選手が敗れ、「初スリッパは難しかったです」と苦笑い。福原選手は「スプーンみたい(笑)」な大きさのミニラケットで、小学5年生の少女の挑戦を受けた。小学1年生から卓球を始めたという少女は、福原選手相手に堂々としたプレーを見せ、思わず本気でサーブを返した福原選手に、「愛ちゃん、大人げない!」という声が飛ぶ場面も。試合では見ることができない選手のリラックスした素顔にふれ、観客も嬉しそうな様子だった。

   

イベントを盛り上げたTIM(左) 焼肉をかけて、気合充分の女子チーム(右) 

   

スリッパ卓球初体験の平野選手(左) 福岡選手はラバーなしラケットで挑戦!「初めての感覚で面白かった」(右)

 イベントの締めくくりに、日本代表の6人は両監督と共に登場し、北京五輪オフィシャルユニフォームに身を包んだ姿を初披露した。新しいユニフォームは北京の暑い体育館を意識して、通気量をコントロールする素材を使用、従来より約20%の軽量化が実現した。注目のカラーは、男女共にグリーン系の爽やかな色合い。女子のユニフォームは中国で幸運を招くと親しまれている、翡翠(ひすい)の色をイメージしている。男女共通カラーとして、燃え盛る炎をイメージした赤もある。
 「実際にユニフォームができ上がって、初めて見た時、すごくきれいな色だと思いました。前回のアテネ五輪の時よりも着やすくなって、試合でもフットワークが早く動けそうです」と福原選手は満面の笑顔を見せた。今回から女子にはスコートも採用されたが、平野選手は「はきやすくなっているのですが、本番で着るかはまだ考え中です」と照れくさそうに話した。

 そして6人は観客を前に力強く北京へ向けて意気込みを宣言した。日本語で「北京五輪頑張ります、応援よろしくお願いします」と呼びかけた韓選手。水谷選手と岸川選手は「悔いが残らない試合をして、メダルを持って帰ってきたい」と同じ決意で臨む。壮行イベントの開催に感謝を表し、北京での健闘を誓った福原選手。平野選手は「チーム一丸となって、自分たちができることを精一杯頑張りたい」と女子の主将らしい姿勢を見せ、福岡選手は「みんなで力を合わせて、代表としての誇りを持ってしっかり戦ってきます」と言い切った。

   

新ユニフォームのお披露目に、改めて気持ちを引き締めた選手たち

   

日本を率いる男子代表宮崎監督(左)と女子代表近藤監督(右)

 悲願のメダルへ向けて、思いがひとつになった国立代々木第2体育館。そして、その先に待つのは2009年4月、横浜にやって来る世界卓球選手権だ。この日会場には、中田宏横浜市長の世界卓球選手権へかけるメッセージが流れた。「メダル獲得という夢に向かって、ベストコンディションで北京に乗り込み、思い切ったプレーをしてきてください。北京五輪でのご活躍が横浜大会につながることを期待しておりますので、ぜひ皆さん頑張ってきてください」。

 2月の世界選手権広州大会団体戦で日本は男女共に銅メダルを獲得した。メダルをかけた韓国戦のラストに勝利した瞬間、大粒の涙を流した福原選手の姿が今も胸に残る。選手が全身全霊で臨む北京五輪、厳しい練習で流した汗と涙がメダルという形になって実りますように。
 そして日本卓球界がこれから歩んでいく道は、北京から横浜へと続いていく。世界卓球選手権のチケットは、いよいよ今秋から発売される予定だ。横浜を舞台に、歴史に残る1ページをこの目で見届けよう!

   

 写真017 018 北京から横浜へ。日本はエース水谷選手(左)と福原選手(右)が引っ張る!