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    イベントレポート

魂をボールに込めて 〜 日産自動車硬式卓球部が地元の日産自動車横浜体育館でホームマッチに出場

by :スポーツ情報センター記者

 「魂のプレー」。日産自動車硬式卓球部の佐藤正善監督は静かな闘志を秘めた眼差しで、真っすぐに前を見つめてそう言い切った。「見ている方々に、気迫あふれる思いが伝わるプレーをしたい」。それこそ、日産自動車が目指す卓球なのだ。

 日本卓球リーグ実業団連盟男子1部の日産自動車は、横浜市神奈川区に本拠地を構える。1996年から1999年に掛けて、団体戦4大大会12連覇を達成した伝統あるチームだ。昨年は全日本選手権大会・団体の部で3年ぶり13回目の優勝を果たした。そして今年、エースとして君臨していた吉田海偉選手の移籍により苦しい船出となったが、青森大学出身の村守実選手という若い力の加入もあり、新たな一歩を踏み出そうとしている。
チームを率いる佐藤監督は、「今年の卓球部のスローガンは一致団結です。選手一人一人が自分の役割をしっかりと果たす。その結果みんなの力を結集して、日産というチームの力にしたいと思います」と強い決意を固める。

「最後まであきらめない」、“日産魂”を胸にチームを率いる佐藤監督

 6月に入り、2008年シーズンの幕開けとなる前期日本卓球リーグ大会が始まった。大会に先立ち行われるホームマッチは、出場チームがそれぞれのホームで1試合、アウェーで1試合を戦う。その結果が前期リーグの成績に反映される重要な試合だ。

 6月19日、日産自動車はホームの日産自動車横浜体育館に昨年後期リーグ優勝の強豪・東京アートを迎え、「負けられない一戦」に臨んだ。チームの核となるのは、主将の三原孝博選手だ。今年の8月で32歳、「ベテラン」と呼ばれる域に達した三原選手を見つめてきた森本洋治コーチは、「選手としての実力はまだまだ上り調子なので、キャプテンとしてチームを引っ張っていってほしい」と期待を寄せる。

 その三原選手の持ち味はフットワーク。足を使ってコートの端から端まで動くプレーに注目だ。「まず優勝。そしてチームが一丸となってどれだけ頑張れるかということが目標です。個人としては全勝を目指します」と三原選手は力を込める。ホームマッチへの思いを、「僕たちを子どものように思ってくれる職場の人もいますので、応援してくれる方々のためにも頑張らないといけない。今日は何としても勝ちたいですね」と熱く語った。

   

「僕が頑張ることで、若い人を引っ張っていきたい」、100%卓球に掛けると話す三原選手

 また森本コーチは、実業団のチームとして果たすべきことを説いてくれた。「社員の皆さまが仕事で大変な中、好きな卓球に携わることができる気持ちを選手は忘れずにプレーしています。卓球部が頑張っていい成績を挙げて、元気を与えられるようなプレーをしていきたい。そして一人でも多くの地域の皆さまに、日産のファンになっていただきたいですね」。

   

「日産の伝統であるチームワーク、粘り強さで一致団結して頑張る」と森本コーチ

 いよいよホームマッチの日産自動車と東京アートの対戦が始まった。試合形式は団体戦で、シングルス4試合とダブルス1試合の3点先取で行われる。三原選手は「団体戦はメンタルの部分がすごく重要な種目。気持ちで負けないようにベンチもしっかり応援して、選手一人一人の意識を高めて頑張りたい」と意気込む。

 試合開始は17時半。夕刻になり続々と観客が体育館に到着、徐々に熱気に包まれていく。日産自動車の応援席にはスティックバルーンが配られ、応援団の臨戦体制も準備万端だ。対戦相手の東京アートには、北京五輪代表の韓陽選手が控える。試合前、佐藤監督が観客に韓選手を紹介し、五輪へ向けてエールを送る場面が見られた。卓球日本代表には北京で初のメダル獲得の期待が掛かっている。

   

日産期待の新戦力・村守選手(左) 試合前、観客席にサインボールを投げ込む北京五輪代表の韓選手(右)

   

「想いを一つに」円陣を組む日産ベンチ(左) 日産応援団が盛り上げる!(右)

 そして勝負の時が訪れた。最初のシングルスに登場したのは日産の金恩華選手。フルゲームまでもつれた試合を制し、まずは先手を取る。入社3年目の金選手、随所で気合のガッツポーズを決め、力強いゲーム運びを見せた。

   

気合のこもったプレーで勝利をもたらした金選手

 続くシングルスは三原選手と韓選手の「エース対決」となった。力のこもった掛け声で気迫を前面に押し出す三原選手と対照的に、韓選手は感情を抑えたまま厳しい表情で打ち返す。両者譲らず2−2で迎えた第5ゲームを韓選手が取り、三原選手は惜しくも敗れた。しかし三原選手の闘志によりコートに熱い空気が流れ、日産自動車ベンチは時に全員立ち上がり、白熱した一戦となった。

熱い闘志で戦った三原選手

 熱戦の余韻が漂う中、続くダブルスで、日産自動車は23歳の森田有城選手、22歳の村守選手の若手コンビが韓選手の組に挑むことに。第1ゲームを先取し幸先の良いスタートを切ったが、その後3ゲームを落とし敗れた。東京アートが王手をかけたシングルスは村守選手がストレートで敗れ、日産自動車がホームで白星を飾ることは叶わなかった。

   

若手コンビが臨んだダブルス(左) 次の試合で雪辱したい!村守選手(右)

 佐藤監督は試合を振り返り、「負けたことは非常に残念。選手はある程度自分の力を出せたので、次につなげられるような試合内容はできたかなと思います。ただ勝負として見た時、最後の1本を取る難しさ、厳しさを感じました」と悔しさをにじませた。しかし1週間後の6月26日から前期リーグの本大会が始まる。立ち止まらずに、今はただ前進あるのみだ。「今まで以上に勝利に対する執念を持って、1試合1試合、1球1球に魂を込めてプレーしていきたいと思っています」、そう誓った佐藤監督の表情から、次に懸ける強い思いが伝わってきた。

温かく選手を見守る佐藤監督、北京五輪代表コーチとしての活躍にも期待がかかる

 日産自動車の戦いはまだ始まったばかりだ。来る2009年は世界卓球選手権が横浜にやって来る。「地元での世界選手権なので、日本代表のために卓球部として協力していきたい」と森本コーチは抱負を語る。もちろん、「日産の中から一人でも多くの選手が出場できるように、高い目標を持ってやっています」と三原選手は宣言する。

 すぐそばで応援してくれる人たちのために、感謝を胸に戦う実業団のステージ。そして更に上の可能性を目指して、日産自動車硬式卓球部は今日も小さなボールを追い続ける。その先に「日産黄金時代」の再来が待っていることを信じて。

   

「地元・横浜の世界選手権に出場したい」、三原選手頑張ってください!

協力:日産自動車硬式卓球部(http://www.nissan-global.com/JP/SPORTS/TABLETENNIS/

参考:
2009 世界卓球選手権横浜大会(http://www.yokohama2009.com/
日本卓球リーグ実業団連盟(http://www.jttl.gr.jp/