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元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

vol.89「世界陸上2017ロンドン大会」

 

 今、イギリス・ロンドンに来ています。世界陸上2017ロンドン大会です。

 テレビでご覧になっていらっしゃる方も多いと思います。今日は9日で、男子短距離は200mの準決勝が午後セッションから行われます。
 今日、私は午前中リレーの練習に帯同して、午後の200mのレースに備えつつ、選手村で原稿を書いています。

 

 

 世界陸上は前半戦を終えたのですが、特に前半戦は、今シーズンで引退を表明しているウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)の出場する男子100mに注目があつまりました。

 ボルト選手はご存知の方も多いと思いますが、9秒58の世界記録を保持し、2008年北京から2012年リオデジャネイロまでのオリンピック100m・200mで3連覇、世界陸上でも100m・200m、そして4×100mリレーで合わせて11個のメダルを獲得している男子短距離界のスーパースターです。

 

 

 その期待されたボルト選手の100m決勝、結果はなんと3着でした。

 優勝したのはジャスティン・ガトリン選手(アメリカ)で、彼もオリンピック(アテネ)で優勝、世界陸上でも優勝経験があるつわものです。最近はボルト選手に勝てずにいましたが、久しぶりの勝利です。

 ボルト選手30歳に対しガトリン選手は35歳、二人とも30歳台で世界のトップに君臨しているのは本当にすごいことですね。

 2着には21歳の新鋭、クリスチャン・コールマン選手(アメリカ)が入りました。

 

 日本選手ですが、3人が出場し3人とも準決勝に進出する活躍をみせました。特にサニブラウン・ハキーム選手は予選を1着で余裕通過し、9秒台と決勝進出に期待がかかりました。

 しかし、準決勝のスタートでバランスを崩してしまうミスを犯してしまい、準決勝で敗退してしまいました。サニブラウン選手はまだ18歳、次に期待が持てるレースをしてくれました。

 

 

 サニブラウン選手は、今日これから200mの準決勝があります。予選では前半もたついてしまいましたが、準決勝は修正してくるでしょう。

 そして、日本はこれから期待の4×100mリレーもあります。実はいろいろとあるのですが、頑張ってきます。

 

 さて、男子100mの話に戻りますが、ガトリン選手が優勝したと分かった時、観客からはブーイングが起きました。

 ボルト選手に有終の美を飾らせることができなったことや、新旧交代にならなかったこともその要因として挙げられていましたが、どうやらガトリン選手の2001年と2006年に発覚した2回のドーピング違反がブーイングの理由のようです。ガトリン選手は一応ドーピング違反による出場禁止期間は過ぎているのですが、観客はしっかり覚えています。

 

 また、跳躍種目では助走の前に選手が観客に手拍子を要求することがありますが、観客はそれに応えないことが見られました。しかし、記録を伸ばしてきた選手には手拍子をしたりしてきます。手拍子を送らない選手には「まだまだあなたには手拍子は送らないよ」ということなのでしょう。

 ヨーロッパに行くと観客が「陸上競技を観る目が肥えているな」とよく感じていましたが、ここイギリスは目が肥えているだけでなく観方もよく知っています。

 さすが近代陸上競技発祥の地ですね。

 

 リオデジャネイロ・オリンピックで銀メダルを獲得した4×100mリレーは12日に予選、決勝が行われます。日本は昨年のメンバーに、サニブラウン選手、多田選手を加え日本史上最速とも言われています。私もなかなか良いメンバーが揃ってくれたと思っています。

 

 ライバルはジャマイカ、アメリカそして中国、地元イギリスも強敵です。

 今日、いつもはバトン練習をあまりしないアメリカが雨の中にもかかわらずバトン練習を入念にしていました。ジャマイカはボルト選手を予選から投入して気合十分です。簡単にはメダルを獲らせてもらえません。

 このコラムがハマスポに上がるころには、結果が出ていることでしょう。

 

 良い結果を報告できるよう頑張ってきます!!

 

 

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会ディレクター兼オリンピック強化コーチ(ハードル)。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京、2019ドーハ)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

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