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元オリンピック陸上選手苅部俊二のダッシュ

vol.28「ロンドンオリンピック陸上競技代表合宿」

 ロンドンオリンピック陸上競技代表が決定しました。7月2日までの世界ランキング16傑以内に出場権という条件を4×100mリレー(13位)、4×400mリレー(15位)でクリアし男子短距離総勢9名の日本代表がそろいました。私もコーチとして帯同することが決まり、ロンドンに行くこととなりました。オリンピック出場で満足するのではなくこれからが勝負です。気を引き締めていかねばなりません。

 さて、今私は山梨で代表の合宿をしています。実は前にも少しふれたと思いますが、オリンピックの日本代表になると選手だけでなく、役員、コーチもメディアの活動に規制がかかります。私もハマスポにいろいろと情報を流せなくなります。7月17日からその規制がかかります。今回のコラムはギリギリです。

 今合宿しているところは山梨県の富士北麓公園というところの競技場です。この富士北麓公園は標高1,035mで準高地です。陸上競技の選手が高地でトレーニングするということは皆さんも聞いたことがあると思います。シドニーオリンピックマラソン金メダリストの高橋尚子さんがアメリカ・ボルダー(標高1,700m)で、アテネオリンピックマラソン金メダリストの野口みずきさんはスイス・サンモリッツ(標高1,800m)で高地トレーニングを行っていたのはよく知られています。

 高地でトレーニングすることは有酸素能力を向上することが主な目的とされています。高地は低酸素の環境です。そこでトレーニングすることで身体はこの低い酸素環境に慣れようとします。酸素が薄くても通常の生活やトレーニングができるようになります。これを「順化」といいます。この有酸素能力が上がった状態で低地に戻るとその有酸素能力が上がった状態をしばらく保つことができます。そのうち低地の状態にまた順化しますので元に戻ってしまいますが、時期をうまく調整すれば有酸素能力が上がった状態でレースに挑むことができます。

 有酸素能力に大きく左右されないとされている短距離種目での高地トレーニングの効果は、いくつかの研究報告がありますが、決定的なものがありません。しかし、経験的に効果は実感しています。

 高地は酸素濃度が低いのですが、空気抵抗も低くなります。空気抵抗が低いということはスピードが出るということです。大リーグでコロラドのスタジアムは飛距離が伸びるという話を聞いたことがあると思います。これも空気抵抗が低いことが原因です。陸上競技での記録で、高地で行われた記録は高地記録として扱われます。

 この合宿は、有酸素能力を上げることとともにスピード感の養成を付加的な目的としています。ただし、スピードが出るということでケガのリスクは高まりますし、疲労も相当なものとなります。ですから、動きのチェックや、低地に降りるタイミングには非常に神経を使います。緻密で入念な計画のもと合宿を消化していきます。

 私たちは日本での強化トレーニングをこの山梨で行ったあと、ドイツで時差調整と最終調整を行い、31日にロンドンに入ります。ぜひ男子短距離、日本陸上競技チームの活躍に期待してください。そして、日本から大きな声援を送っていただけると心強いです。

 では、頑張ってきます!!

苅部俊二 プロフィール

1969年5月8日生まれ、横浜市南区出身。

元オリンピック陸上競技選手。横浜市立南高等学校から法政大学経済学部、富士通、筑波大学大学院で競技生活を送る。

現在は法政大学スポーツ健康学部教授 コーチ学(スポーツ心理学) 同大学陸上競技部監督 法政アスリート倶楽部代表 日本陸上競技連盟強化委員会男子短距離部長。

2007年から日本陸上競技連盟強化委員会の男子短距離部長を務め、世界選手権(2007大阪、2009ベルリン、2011大邱、2015北京)、オリンピック(2008北京、2012ロンドン)に帯同。

また、2014年には日本陸上競技連盟の男子短距離部長へ復帰し2016リオデジャネイロオリンピックに帯同し、日本短距離男子チームの責任者として同行した。

1990年代を代表する陸上競技者として活躍。1996年のアトランタと2000年のシドニーオリンピックに出場、世界室内陸上競技選手権大会400mで銅メダルを獲得するなどの活躍を見せた。元400mハードル日本記録保持者。

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