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あんどうたかおのバスケにどっぷり

vol.110「ビーコルと言えば川村選手」

 

 B1所属の横浜ビー・コルセアーズ、現在7節を終わった時点で5勝7敗、中地区5位という成績でちょっと予定より低いかな? とはいえ、まだ1/4しか過ぎていません。先は長いのです!

 

 そんなビーコルですが、「ビーコル」といったら、タクこと#1川村卓也選手の名前が一番に上がるでしょう。

 

 タクといえば「ここぞと言う時にシュートを決める!」「勝負強い!」選手として有名です。また「負けるのが嫌いな選手」で、「常に一生懸命でハードにプレーする選手」であり、「プロ意識の高い選手」としても知られています。

 

 勝負強いといえば、栃木ブレックス時代も有名なシュートがありました。当然ビーコルへ来てからも何度かタクのクラッチシュート(土壇場での勝敗を左右するようなシュート)を見てます。

 

 9月30日vs川崎ゲーム①、2分残して74-81のビハインドから2連続3Pを決め80-81と追い上げた時。

 

 10月15日vs富山ゲーム①、79-77で勝利したゲーム。残り時間1分を切って66-70から、残49秒に3Pを決め69-70とし、さらに残6秒で3Pを決め72-72と同点としてオーバータイム(OT=延長戦)に持ち込んだのも彼のシュート!

 

 さらに疑惑の2ポイントとなった10月22日の新潟ゲーム①、残り2分を切ってからの5点は全てタクのシュート、もし残26秒のシュートが3Pなら76-78と2点差で、さらにAND1(バスケット・カウント+FT1本)を入れれば77-78と1点差になり、逆に新潟にプレッシャーがかかり展開は違ったはず。

 

 タクは3Pだけじゃなくドリブルで割って入れるのも強みの一つで、相手は止めきれずにファールすることが多く、平均5.1回ファールされ、日本人では一番多くファールされている選手で、これは勲章ものです。

 

 さらにシュートだけではなく、視野の広さを活かしてパスも上手く、アシストは1ゲーム平均3.4本でビーコルNO.1、リーグでも8位になるパス名人でもあります。

 

 そんなタクを見てると、40年前の天才シューター結城昭二を思い浮かびます。京北高→中央大→住友金属とバスケットのエリートコースを歩んできた184cmのサウスポーシューターで、今の感覚では190cm程でしょうか。3Pラインの辺りからパシャパシャとシュートを決め、さらにドリブルからゴール下へ潜り込むのも上手かったですね。2mのジャンボ沼田選手の前で、馬鹿にしたようにレイアップを決めてました。

 

 多くの逸話を残してますが、1973年大阪インカレでは決勝リーグ(当時はトーナメント後に4チームで決勝リーグを行っていた)で明治大相手に、中大が82-81で勝ちましたが、45得点したばかりじゃなく、後半48点中39得点をあげてます、もしこの時代に3Pが有ったら、ほとんどがジャンパーだったので60点以上になっていたかもしれません。

 

 

結城掲載誌S47年加工済

(写真)結城掲載誌S47年

 当時の専門誌の表紙になりインタビュー記事も有りました。「Basketball Illustrated誌(1972年8月号)」

 

 

 もう一つの逸話は、日本代表合宿でのこと。フォーメーションの練習で、ウイング(リングから45度の角度の場所)にいる結城にボールが渡ると、パスをするべきところにも関わらず、パスをせずシュートし、それもほとんど決めたというのは有名でした。フォーメーションの練習なのに、パスしないでシュートしてはダメだろうと思うのですが、シュートがほとんど決まるので誰も文句を言えなかったと聞いてます(笑)。

 

 最近そのことを彼と話したら「いいですかあんどうさん、フォーメーションはシュートをより良い確率で決めるために行うものだから、シュートを入れられると思ったら撃つのは当然と思いませんか? ディフェンスが甘いからですよ!」と言ってました。凄い自信家です!!
自分が一番で、鼻っ柱が強く、自意識が強い、というところもタクとそっくりで、まるで結城選手を見ているようですが、それは別に悪いことではありません、そうやって自分に課して奮い立たせているのだと思います。

 

 そんなタクと似ていたり反対だったりするのが、11月5・6日に対戦した川崎ブレイブサンダースの#14辻直人選手です。日本代表の3Pシューターでクラッチ・シューターとしても有名で、その上目立ちたがり屋で(笑)。

 

 彼を見てると、3Pを沢山撃って結構得点してるんだろうと思いがちですが、実は彼の今シーズンの平均得点はタクの16.9点に対し、たったの10.6点なんです。3P試投もタク6.9本に対し5.9本で、成功率だけがタクより4ポイント高いだけなのです。

 

 タクがあんなにハードにプレーしているのに、印象では辻選手の方か得点しているイメージが強いですね。それは辻選手も良い所で3Pを決め、勝利に導くためです。他の場面でサボっているとは言いませんが、抜くところを知っているからでしょう。

 

 その点タクはいつも必死すぎて、自分が点を取らなくてはいけないとの思いが強すぎて、常にボールを持とうとしてます。しかし人間は常に集中できるわけではありません。アメリカ人は合理的過ぎるかもしれませんが、フルタイムで集中できるはずはなく、コートに立っている時間全てで集中するためには、ベンチで休む時間が必要と考えていますし、日本でも多くのコーチはそう考えています。

 

 「ベンチで休むのもバスケット」と頭を切り替えた方が良いと思います。現にタクもT.O.(ターンノーバー、ミスにより相手ボールになること)やシュート・ミスが多く、チャンスを潰している回数も多くなってます。まあキング・ジェームス(レブロン・ジェームス、NBAクリーブランド・キャバリアーズのスーパースター)やMJ(ご存知マイケル・ジョーダン)も昔はよくミスしてました(笑)。

 

 今まで何度も、そして多くの人に言われていると思いますが、力を抜くことを覚えた方が良いと思います。ビーコルには、#42Jウォッシュ(ジェイソン・ウォッシュバーン)や#0マーシー(細谷将司)、#4JP(ジェフリー・パーマー)という良いスコアラー(得点する選手)がいるのだから、ディフェンスを引き付けてアシスト・パスを出す時間を長くしても良いと思います。その方がかえってディフェンスが集中しなくなり、良い方向へ向かうのではないかと思います。
 その為にはビーコル自体がもう少し組織だったオフェンスをしたいものです。

 

 極端な例が、タクに得点させようとボールを渡すのに手渡しパスが多すぎること、これは中学生のやることです。上のレベルでは、Wチーム(1人の選手に対して2人の選手がディフェンスすること)される可能性が高くなるので勧められません。

 

 直接のパスじゃなく何人かを経由してタクにボールが来るようにすべきです。NBAでは何度も優勝して居るサンアントニオ・スパーズが得意なプレーでしたが、ガードがATB(Attack The Basket、ドリブルでゴールへ攻撃するプレー)して、複数のディフェンスを引き付けディフェンスのマークを崩し、I/S(ゴール下周辺の地域)からノーマークになった選手へキックアウト(外の選手へパスすること)してシュートさせる(さらにノーマークな選手にパスしてシュートさせることもある)プレー。この最後のところにタクが来るような動きをした方が良いと思います。

 さらに言えばJウォッシュとの2メンゲーム、片側に2人が来て他の3人は逆サイドへ行き、広いスペースで2人にプレーさせます。タクからI/SのJウォッシュへボールを入れ、タクのマークマンがカバーへ行けば、タクがノーマークになるのでパスを返してシュート、ディフェンスがカバーしに行かなければJウォッシュは楽に1on1が出来る、と言う訳です。

 

 逆のサイドからJウォッシュにWチームに来れば、一人余るのでそこにパスすれば前述したキックアウトと同じことになります。これらのプレーをインサイド・アウトと言います。

 

 さて話題を変えまして、7節を経過しましたが、目に付くのが審判の不手際です。ジャッジ(判定)に関して文句は言いません。言いたいことは山ほどありますが(笑)。

 

 Bリーグになり、NBL時代は8チームだったのが一気にB1だけでも18チームになったため、審判の数が足らなくなったことで、今までプロの笛を吹いたことがない審判が増えたからです。それまで高校や大学、または実業団の笛を吹いて審判としての経験は積んでいてもプレーやスピードのレベル、高さが違うため、かなりの審判が戸惑っていると思います。

 

 その一つの例が10月30日(日)アルバルク東京vs千葉ジェッツ戦の大量退場者事件です。
 千葉の攻撃中、右ウィングでブロック・プレーが有りました。スクリーナー(ドリブルする選手のディフェンスに対し壁となって止める役目)のアームストロングが、ドリブラーのディフェンスの菊地に対し大幅に脚を出して転倒させました。このプレー自体がトリッピングと言うファールです。

 

 二人ともに床に転がりましたが、チームの速攻に参加すべくいち早く起き上がった菊地がアームストロングの足元を越えようと跨いだ時に、アームストロングが不用意(故意?)に脚を上げ菊地を再度転倒させたため、菊地が起き上がってアームストロングに詰め寄って騒動が起きてしまいました。

 

 脚を上げた時点でアームストロングにアンスポ―ツマンライク・ファールでしょうね。

 

 このプレーはbjやNBLでよく吹いていた審判なら全員がボールを追わず、一人位はこの二人を見ていたはずです。何故ならプロの世界、特に外国人が絡むと何が起こるか判らないので、接触プレーで転んだら、何か起こるかもしれないと準備が必要なのです。日本人でさえ抜かれ掛かったらユニフォームを引っ張ることは日常茶飯事ですから(笑)。

 

 

 さてビーコルでも幾つかありました。

 

その1「川村 疑惑の2Pシュート」
 前述の新潟ゲーム① 残26秒、タクが左コーナーへ行って撃った3Pシュート、奇麗に入ってさらにファールも貰って2点差のチャンス、と思ったら、審判員が集まり、今のは線を踏んでいて2Pシュートじゃないのか、ということになり、ビデオ判定で調べた結果2Pということになりました。

 

 しかしゲーム後、ビーコル・メディアの吉山さんから「あの場面撮ってました」といわれ、よく見ると踏んでません!!
これがその写真です。

タクシュート写真

 

その2「ファジーカス インターフェア得点事件」
 9月30日(金)vs川崎ブレイブサンダース、ゲーム①第2Q残1分50秒JウォッシュのFT2本目、リングに当たり跳ね上がったボールがリングを通過するときに、川崎#22ファジーカスが下からボールを突っついてボールを外に出しました。彼は良くやるんですね、冗談で。しかしこのプレーはインターフェアで2点になるそうです。2点に変更されたものの、観客にもメディアにも、その経緯は誰にも知らされていないままに…。

 

その3「ケンジ突き飛ばされ事件」
 新潟ゲーム①第2Q始まって直ぐ、ケンジ(#13山田謙治)が新潟のPGにマッチアップしていた時、そのPGがシェーブ(ディフェンスを引き離すプレー)をするつもりでケンジを両手で押した、いや突き飛ばしたと言った方が良いでしょう。片手で押すとはよくやってますが、相撲のように両手でポーンと突き飛ばしたんです。酷すぎます。これはハッキリと見てました。

 ケンジは不意に押されたことも有り尻もちをつきましたが、笛はなりませんでした(汗)。審判員はそばにいたはずなんですがね…。

 残念なことにケンジはこれで膝を痛め、未だに欠場してます(涙)。

 

その4「有名選手挑発事件」
 11月5日(土)川崎ゲーム①第4Q残1分20秒76-79で負けている時、微妙な判定ながらマーシーがファールを取られました。それにJP(#4ジェフリー・パーマー)が何か審判員に言ったようなんですが、それに対しテクニカル・ファールを宣せられ、2点とボール・ポゼッションを与えることになり、81-83で負けてしまったわけですが、この時に川崎の主力選手がJPに対しからかうような仕草で挑発(?)してました。審判は見えてるはずなんですがね…。この動画がツイッターにありましたね。

 

 

 いろいろと書き出してきましたけれど、別に審判を非難したくて書いた訳じゃありません。審判員には、神奈川県内ばかりじゃなく全国に友達が沢山いて、みな良い人ばかりです。お世辞ではなく本当です。だからこそ、少しでも向上して貰いたいので、参考のためにと思ってしたためました。

 

 文句を言いたいのは、私の本業(?)とする広報用のSTATS(スタッツ。シュート、リバウンド等記録の集計)です。間違いが多すぎです。

 

 その理由はゲームを動画で見て1局集中システムで付けているからです。バスケットを知らない人がやるからこんなことになるんです。

 

 バスケットに携わって50年、STATSの概念を日本へ持ち込んだ人間として「STATSは現場のコートで付けるもの」それだけは言っておきます。

 

あんどうたかお プロフィール

1946年生まれ。

月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。

現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。

NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。

過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。

横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。

現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。

また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。

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