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あんどうたかおのバスケにどっぷり

vol.102「ビーコル大スランプ」

 

 

今年も3月11日が来ました。

この時期になるとメディアで多く取上げるので、未だ風化はしていませんが、年々関心が薄くなってきていることは否めません。「ズーっと覚えておくこと。」せめてそれぐらいはやりましょう、我々は被災してないのですから、、、、

 

 

さて心配なのはビーコル(TKbj横浜ビー・コルセアーズ)です。1月末の埼玉戦に勝って以降、長野(当時11勝19敗10位)、新潟(当時20勝12敗4位)、岩手(当時17勝15敗6位)そして埼玉(当時3勝31敗11位)ゲーム①に敗れ7連敗を喫し、次の埼玉ゲーム②で1勝したものの1勝9敗で東地区の6位から9位へと陥落してしまいました(涙)
長野戦では新加入210cm120kgのギブソンにゴール下を支配され、さらに3Pまで決められ、新潟戦では前日加入したアーノルドと、パプ・ムール(元ビーコル海賊)が日本に帰化したことでオン・ザ・コート外国人3人となり、2人のビーコルでは敵いませんでしたね。ちなみに長野は絶対に上位へ上がってくるはずです。

 

勝てない原因は先月も書きましたがカバ(#3蒲谷正之)のスランプです。そして怪我人が多数出たことです。

 

先ずはリュウイチ(#7堀川竜一)、外国人へのディフェンスと3Pには定評があり、ビーコルには数少ない大型フォワードで、彼が居れば外国人が一人多い新潟相手でも互角に戦えたはずです。更に2月13日のゲーム①では、リュウイチと共に外国人ストッパーとして頑張っていたヒサ(#73久山智志)が腰から落下して第1Qで退場となりました。まして立ち上がりからシュートが決まらないため苦しい展開の途中なのに。そして翌日は欠場です。外国人が多い新潟にこの二人が居ないのでは勝ち目が有りません。ゲーム②の104失点は11月7日vs秋田ゲーム①101点を越え、今季ワースト失点記録となりました。

 

リュウイチはシーズン途中からスタメンとして定着した重要なメンバー。ヒサはシックス・マン(最初の交代でコートに入ってくる選手。NBAではチームの流れが悪い時にリズムを変える重要な役目として重視されている)として定着しただけに痛手は大きいですね。

 

勢いが有るとは言え1ゲーム差の岩手には勝って欲しかったのですが、立ち上がりが悪すぎます。特に外国人はイージーシュートも外し、相手にペースを握られてしまいます。

 

そして埼玉戦。3勝31敗、平均得点69.8点と得点力が無いチームで、1月末のアウェーでも81-51、80-60と問題なく下していて、それまで14連敗中、このゲームも問題なく勝てるだろうと油断していました。ところが埼玉はコーチ・ライセンス講習会出席のため小野寺ヘッド・コーチが欠席となり、代理としてアドバイザー役のアソシエイト・コーチの三木力雄が代理コーチに。この経験豊かなコーチの元、気分一新した埼玉ディフェンスの餌食となり、立ち上がりからリードを許し70-76で敗れ苦しくなりましたが、それ以上に大変なことはカバ、セイジ(#37河野誠司)、コーリー(#2コーリー・ジョンソン)が怪我で退場となってしまったことです。幸いコーリーは唇を切っただけなので大事には至りませんでした。

 

そして翌日のゲーム②のロースター&スタメン発表用紙を見てビックリ!!!

カバ、セイジが新たに故障者リスト入りしたのです。リュウイチと稲垣を含め4人が負傷欠場と言うことで、これが「勝てない原因その2」です。

 

いくら相手が埼玉とは言え主力中の主力のカバが居なくて、控えの中心セイジも居ないとなると、正直なところ「連敗」の二文字が頭を過ぎりました、、、、
ところが、弱い相手には弱いモノの「強い相手に強い」との逆境に強いのがビーコルなんです(笑)
リュウイチに替わってスタメンとなって居るヨースケ(#34前田陽介)が久しぶりの先制3Pを決め、得意のゾーンで守ります。前半は一歩リードされた展開でしたが、ジワジワと追い上げ第3Q残3分にJO(ジェイオー、#21ジョーダン・ヘンリケス)のI/S(インサイド、ゴール下周辺)で56-55と逆転し、その後はキイチ(#33喜久山貴一)、ケンジ、ヨースケが3Pを決め83-74で久しぶりの勝利を勝ち取り、8連敗を免れました!!!

 

この日の観客はチーム史上最高の3422人、これも嬉しかったですねーーー!!

 

次の群馬戦、2戦とも追い上げるものの、カバが不調のためケンジに負担が掛かり過ぎ、最後の決め手がなく逆転に至りませんでした。

 

「勝てない原因その3」I/S(インサイド、ゴール下周辺)攻撃です。シーズン当初はJOの214cmと言う高さ、トニー(#22カール・ホール)のNCAAファイナル4仕込みのペイントエリアでのステップ・ワークとオフェンス・リバウンドが威力を発揮してゴール下を支配していたものの、シーズンが進むにつれ、スカウティングされ二人の癖が晒されてしまったため、思うように得点出来なくなりました。但し埼玉戦では「I/Sは1対1でしっかり守る」と言う三木代理コーチの考えでヘルプが来なかったために、トニーが20点+25点と大活躍出来ましたが、これは例外です。

 

I/Sを重点的に攻める、これはアメリカ的考えです。初代でチャンピオン・チームのコーチだったレジー・ゲーリー(名門アリゾナ大学出身)もこの考え方でしたので、2年間その下でプレーして来た青木コーチも当然その考え方になります。だから悪い考え方ではないのですが、その前提として3PやATB等の外から攻撃する、と言うことが有ります。
I/Sだけでは相手ディフェンスが小さく守ってきます。いくら攻め方が上手くても、数人に囲まれたらボールを取られることが多くなります。だからディフェンスがゴール下近くに小さくならないように3Pを始めとする外からの攻撃が必要となってくるのです。

 

立ち上がりと後半の終盤、何が何でもI/SとばかりトニーやJOをポストに立たせボールを入れます。でも相手も知っているので直ぐに数人で挟み込み、ボールを奪いに来ます。
青木コーチは「I/Sなら堅実に2点取れるし、ファールを取る確率が高くなる」とは言いますが、動きを読み切られているので苦しいシュートが多くなり、確率は10%以下となっている上、FT(フリースロー)を貰った数も多くありません。

 

I/Sでの攻撃が苦しい理由は、I/SにJOとトニーの2人居ることでスペースが狭くなり、ディフェンスがボールに集中しやすくなる、と言うこともあります。

 

その場合は一度I/Sへ入れたボールを外へパスして3Pを撃ったり、ペネトレイト(ドリブルで切れ込むこと)をしたり、そこからまた外へパスしたりして、ディフェンスを揺さぶると良いのです。そのためにも外にいるガード、フォワード達は動くことが大事になりますが、センター陣の動きを立ちっぱなしで見ていることが多いですね。

 

ただ外にいる選手にすると、I/Sに二人居ると「ドリブルで割って入って行くスペースがない」とも言います。

 

とは言え、ゴール下のシュートはリングに近くなるので、シュートの確率が高くなり堅実に2点取るときには必要なんです。

 

 

さて悪い話ばかりじゃありませんよ!!

故障者が多いと書きましたが、逆転の発想をすると「若手に活躍のチャンスが出来た!」となります。カバやセイジが元気ならフューチャー(#15兵頭健斗)やキイチの出番は少ない筈ですが、欠場となると使わざるを得ません。それまで数分と言う敗戦処理的な使われ方をしてたフューチャーは、新潟戦からプレータイムが長くなり、勝利した埼玉ゲーム②では11分も出場し、得意のペネトレイトで4得点しました。

 

更にキイチはセイジの後釜として埼玉ゲーム①では最終Qを任され、残19秒には3点差に迫る3Pも決め、ゲーム②では、フューチャーと共に第2Qの立ち上がりから登場し、さらに群馬ゲーム②では体調が万全ではないカバに替わって初スタメンとなり、34分間のプレーで16得点(3P-4/7、2P-2/4)、トニーの27点、JOの22点に次ぎ日本人最多得点の大活躍です!!!
実は埼玉戦後、キャプテンのケンジから「もっとシュートを撃って良いのに」と言われましたが、順天堂大時代はシューターだったキイチ、此処へ来てやっと本領を発揮しはじめたようです。

 

彼が良いのは、ドリブルでオープンスペースへ移動したり相手を崩したり出来ることです。アメリカでは「クリエイト出来る選手」と高く評価されますが、彼は沖縄出身でしたね。子供の頃からNBAのプレーを目から吸収しているので、バスケット的な動きが出来るのでしょう。
これでケンジ、カバ、セイジに次いで4人目の3Pガードとなって、外からの得点が増えれば、相手ディフェンスが広がることになり、逆にI/Sでのプレーがやりやすくなると言うものです。

 

埼玉ゲーム2 ゲーム後共同記者会見 ビーコル山田キャプテン若手選手の活躍について。今日は「ハマスポ子供記者」の日で、9人の子供記者が取材しました。

Ando Takaoさんの投稿 2016年2月28日

 

埼玉ゲーム② ゲーム後共同記者会見 、ビーコル山田キャプテン。
「若手選手の活躍について」
当日は「ハマスポこども記者」の日で、9人の子ども記者が取材しました。

 

 

試合とこども記者

 

 

これから仙台(27勝13敗)、福島(24勝14敗)秋田(26勝12敗)、富山(26勝12敗)と全て上位5位までのチームとの対戦で、高い波と強い風との苦しい航海となりますが、強きを挫くのが海賊の本領の筈です。どうぞ荒波に立ち向かう海賊を応援しにきて下さい!!!

 

 

次回ホームゲームは3月19日(土)20日(日)、国際プールでの仙台戦となります。

詳しくはこちらをクリック→ホームゲーム情報

 

 

 

あんどうたかお プロフィール

1946年生まれ。

月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。

現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。

NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。

過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。

横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。

現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。

また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。

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