ハマスポ

 
横浜市風景シルエット
 
       
 

ハマスポロゴハマスポ

横浜市風景シルエット
 
注目ワード
 
あんどうたかおのバスケにどっぷり

vol.59「中学とオリンピック」

夏と言うと高校生の全国大会のインターハイも有りますが、中学生の大会も佳境に入ってきました。

中学ナンバーワンを決める「第42回全国中学校バスケットボール大会」(通称:全中)が今月22日(水)から24日(金)まで埼玉県のさいたま市、上尾市、春日部市の3市4会場で行われ、その予選はすでに始まってます。
全中への道順は全国大会←関東大会(4チーム)←神奈川県大会(4チーム)←横浜市大会(12チーム)となってます。

その第1弾目の横浜市大会は、男女ともに162校の予選を勝ち抜いてきた中から12チームが県大会へ進みますが、準々決勝以上が7月23〜24日に横浜文化体育館で行われました。
あんどうたかおのバスケにどっぷり
<桐蔭学園中(白)vs舞岡中(黒)>

◆男子 新人戦で優勝した、超中学生クラスの選手を3人持つ桐蔭学園が圧勝で優勝しましたが、その下は団子状態です。順位は以下の通り。
1位-桐蔭学園中 2位-豊川中 3位-舞岡中 4位-宮田中 5位‐岩崎中 5位‐金沢中 7位-南戸塚中 7位-中田中

◆女子 戸塚が頭一つ抜けた感じで、安定感が有りました。その下は男子同様団子状態です。
1位-戸塚中 2位-希望ヶ丘中 3位-平戸中 4位-六角橋中 5位-万騎が原中 5位-岡津中 7位-中和田中 7位-錦台中

あんどうたかおのバスケにどっぷり
<豊田中(黒)vs岩崎中(白)>

12チームが進んだ神奈川県大会、男子は横須賀の衣笠中と桐蔭中が圧倒的に図抜けた優勝候補でした。
7月28日〜31日まで法政二中、桐光学園中、川崎市体育館で行われましたが、猛暑の30日に行われた決勝トーナメント決めで大波乱が起こりました。
第3ゲーム、衣笠中vs金沢中は、横浜5位の金沢中が、ディフェンスでは1-3-1ゾーンでシュート力も高さも有る衣笠中を苦しめ、オフェンスではゴール下への上手い合わせで得点し、終始リードを奪い、残り25秒まで46-45と1点リードする大健闘。
最後は集中力が切れてミスを連発して大金星を逃してしまいました、残念!!

あんどうたかおのバスケにどっぷり
<豊田中(青)vs衣笠中(白) 豊田中の強いディフェンス>

次のゲームでは横浜市同士の戦いとなりましたが、優勝候補ナンバーワンの桐蔭中が大ブレ—キ!
市内ではベスト4に入れなかった岩崎中が桐蔭中を倒したのです。

桐蔭はオールマイティーの#4を中心に、インサイドの#6とドライブもシュートも上手い#8が得点を重ねますが、猛暑のせいか精密機械が不具合を起こしてしまった。
シュートの距離やタイミングがチグハグで中途半端、そのためシュートが入らない。
こんな時、普段なら#4がインサイドへ攻め込んで得点してくるのだが、この日の岩崎はそれは十分に研究し尽くし、#4とリングを結ぶ線上には3人近くディフェンスを置いてドリブルで抜いてくる#4を守った。
それが見えていたのか、いなかったのか、彼は何度潰されてもディフェンス・ラインの突破を試みるが、それは無理。
もっと肩の力を抜いて外からシュートするとか、ボールを持たずにペイント内へダイブするとか、他のプレーを試みるべきだったろう。
それを見て、普段冷静な#8までもシュートが強引になり、入らなくなり、負のスパイラルへ。
一方岩崎は、3Pシュートの上手い#4中澤が3Pシュートだけに頼らずペネトレイト(ドリブルでディフェンスを突破する)してゴール下で得点。
シューターであればあるほどペネトレイトは必要。
そしてATB(Attack the Basket、リングに向かって攻め込むこと)はバスケットの基本で鉄則!外のジャンパー(ジャンプシュート)だけじゃ勝負できないぞ!

…ということで、この試合は終始岩崎がリード。最後の桐蔭の追い上げも、#4中澤がコーナーから得意の3Pで打ち砕きました。
ベスト4に進出出来なかったため、関東大会に出場できなかった、桐蔭の夏はここで終わってしまいました。

さて女子は戸塚中と平戸中が決勝リーグで好勝負を展開しました。
この両チームは同じ地区のため対戦回数も多く、お互いに相手の腕の内は判っている筈。
戸塚はPG#4野坂がボールとゲームをコントロールするチームでサイズが無いものの、ディフェンスと組織的プレーで勝ち抜いてきたチームです。
平戸中は#4佐藤がインサイドで上手いプレーをし、#7渕ノ上と#50内山が長身ながら外で攻めます。

あんどうたかおのバスケにどっぷり
<平戸中(白)vs戸塚中(青)>
終始接戦を展開していたものの、高さと個人能力に勝る平戸中が残り6秒45-43からのスローインでフォーメイションを決めて逃げ切りました。

このゲームで気になったのは平戸の長身2人が殆どインサイドを攻めなかったことです。
指導者としてはスケールの大きな選手として育てたいため、アウトサイドでのプレーに徹しさせたようですが、大型選手でもATBしなくては上手くなれません。
ドリブルでインサイドまで行けないようじゃ、3Pしか撃てない大きな選手になってしまいます。
それでもまだまだこれから成長が期待できる選手。プレーの幅を広げてほしいものです。

横浜2位の希望ヶ丘中を横浜5位の万騎が原中が倒してベスト4入りしたため横浜市からは平戸中、戸塚中、万騎が原中の3チームが関東大会へ。
あんどうたかおのバスケにどっぷり
<平戸中(白)vs戸塚中(青)>

神奈川県大会結果 (4位までが関東大会進出)
◆男子 1位 衣笠中(横須賀1位) 2位 秦野北中(中1位) 3位 豊田中(横浜2位) 4位 岩崎中(横浜5位)
◆女子 1位 平戸中(横浜3位) 2位 相模女大中(相模原1位) 3位 戸塚中(横浜1位) 4位 万騎が原中(横浜5位)

さあ関東、ここでベスト4に入ると、念願の全中です!

しかしここまで来ると、周りは強いチームばかり。
特に大きい選手を持たない横浜は弱いですね。
男子は170cm台には良い選手を揃えているものの、180cm台は一人も居ないが、他の県には180cm台がゴロゴロ居る。
女子も同様で、横浜は最高で172cmですが、よその県には175cm以上が多く居ます。

結果から先に書きましょう。
1回戦 岩崎中55-49石神井西中(東京都3位) 豊田中63-59実践学園中(東京都3位) 
2回戦 鹿沼東中(栃木県1位)83-64岩崎中 衣笠中60-51殖蓮中(群馬県2位) 豊田中67-41山梨北中(山梨県1位) 太田南中(群馬県1位)75-67秦野北中 
準々決勝 衣笠中72-57八千代松陰中(千葉1位) 豊野中(埼玉2位)78-76豊田中

豊田中が惜しかった…。
相手は今年の全中開催地の埼玉県代表なので気合が入ってます。
豊野中は、188cmのセンター・#13桐山を筆頭に175cm、175cm、171cm、169cmと全体的に大きい。
それに対して豊田中は#4望月の176cmが最長身者、そして#12角地174cm、#5柳澤172cm、#6河上172cm、#7高塚162cmとサイズダウンしてます。

あんどうたかおのバスケにどっぷり
<関東大会 豊田中(白)vs豊野中(青)>
あんどうたかおのバスケにどっぷり
<ディフェンスする豊田中)

前半は33-43とリードされていたものの、豊田中は#4望月と#5柳澤の3Pシュートで3ピリオドに同点に追いつきました。
その後は接戦が続きオーバータイム(延長戦)へ。
オーバータイムでも接戦は続き、76-76と同点で残り1秒を迎えます。相手のゴール下から相手のスローイン。
となれば豊田中は豊野中の最長身者の#13桐山にゴール下でボールを持たせないようにディフェンスします。
しかしそこに気を取られている隙を突かれ、豊野は169cm#5小森が外からゴール下に飛び込んできてスローインのボールをキャッチ。そのままほぼノーマークでシュートを決められて豊田中は76-78で敗れました。
非常に惜しい敗戦でした。これを凌げば全中が見えていただけに残念!!

◆女子
1回戦 市川中(千葉県2位)67-56戸塚中 志茂田中(東京2位)53-44万騎が原中
2回戦 埼玉栄中(埼玉県2位)61-48平戸中

結局横浜から、全国大会へは出場出来ませんでした。

これで女子は平成19年の山手女子中以来、男子に至っては平成14年港南中以来の不出場が続いています。
横浜は元々は強かったんです。
と言うのもミニが強く、独特のプレースタイル(スピーディーでスバシッコく一寸老獪)を持っていたんです。
しかし上手い選手が他都道府県へ流出するため強くなれません。
以前は中学から高校進学時だけでしたが、現在は小学校から中学進学時に地方へ流れることが多くなったと横浜の中学の先生方は心配してます。
現にこの関東大会でも、男女ともに多くの神奈川出身者が他県から出場してました。これは、これからの課題と言えるでしょう。

さて、この時期でロンドン・オリンピックを取り上げないのはおかしいですよね(笑)。

残念ながら日本は男女ともに参加できませんでしたが、今大会は男子アメリカチームが大きな存在感を示してました。
メンバーは世界最高のリーグ、NBAからレブロン・ジェームス(マイアミ・ヒート)、コービー・ブライアント(LA レイカーズ)、ケヴィン・デュラント(オクラホマシティー・サンダー)、カーメロ・アンソニー(NY ニックス)、クリス・ポール(LA クリッパーズ)等々で、ドリーム・チームと言っても可笑しくないほど豪華なものです。

予想通りフランス(98-71)、チュニジア(110-63)、ナイジェリア(156-73)、リトアニア(99-94)、アルゼンチン(126-97)、オーストラリア(119-86)、アルゼンチン(109-83)と下してきて、決勝でスペインと対戦しました。

<アメリカvsスペイン戦の動画です>

接戦が続いた、非常に良いゲームを展開してましたが、最後は3Pをドカンドカンと連発してスペインを突き放し連覇しました。
スペインはオリンピック前から強敵の一つに数えられてきました。
スペインには7人のNBA経験者が居て、物凄くアメリカチームに近い存在のうえ、実はアメリカより優れている点があるのです。
それは、身長です。
今回のUSAチームは上気したように物凄いタレントを持った選手が多いのですが、サイズ(身長)の面で言うとかなり劣ります。
最長身者は214cmのタイソン・チャンドラー。…と言っても知っている人は少ないでしょう、その程度の選手なんです。
実は有力センターのドワイト・ハワード(現LA レイカーズ)やブレーク・グリフィン等インサイドに強い選手が怪我で欠場となってしまったため、大型選手が居なくなってしまったからなんです。
とは言え、身長こそ低いものの運動能力やシュート力、経験にかけては抜群のモノを持ったスター軍団です。
一方スペインは、パウ・ガソールが214㎝で弟のマークは216㎝。2人ともNBAで大活躍しているBig Brothersを擁しているのです。
そしてシュート力も、ファン・カルロス・ナバーロと言うUSAに負けないシューターを擁してます。
と言うことでゲームが大接戦となり、どっちが勝っても可笑しくない展開でした。

そんな中、ポイントガード出身の私としてはCP3ことクリス・ポールの動きこそがUSAを勝利に導いたと言いたいです。
83-82と1点リードで突入した最終Q(クォーター)、レブロンがインサイドで得点して85-82としたものの、その後3Pと2Pを決め一気に90-84と6点差に開いたことが大きいうえ、6分にデュラントの3Pで93-86と決定的リード奪ったシュートのお膳立てしたアシストも大きいと思っています。
結局107-100で北京オリンピックの再戦を制したアメリカが2連覇を果たしました。

あんどうたかお プロフィール

1946年生まれ。

月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。

現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。

NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。

過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。

横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。

現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。

また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。

バスケット情報満載のあんたかブログ

※タイトル・本文に記載の人名・団体名は、
掲載当時のものであり、閲覧時と異なる場合があります。