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あんどうたかおのバスケにどっぷり

vol.32 「スリーポイント」

 バスケットボールは順当勝ちが多い競技と言われてます。
 得点数が多いので、実力がそれなりに出るからでしょう。
 ただそれではアスリートには面白いかも知れませんが、勝負の世界とすると面白くないでしょうね。
 勿論見るスポーツとしても魅力は少ない、となりますね。

 今から50年ほど前、ABL(American Basketball League)という小さなリーグでスリーポイント(3P)・ルールが採用されました。遠くから撃ったシュートが入ると3得点になります。
 そして1967年、もう一つのリーグABA(American Basketball Association、その後NBAに吸収される)で採用されましたが、本家NBAでは採用が見送りになっていました。
 しかし1979年、マジック・ジョンソンとラリー・バードがNBA入りした年についにNBAでも採用されました。

 これによってゲームがエキサイティングになり、マジック+バードの2人のスーパースターの出現もあってNBAの人気が出てきたと言われています。
 通常は2点ですが、リングの中心から7m23cm(国際ルールでは6m25cm)離れた位置(サイドライン付近はもう少し近くなる)からのシュートは3点になります。
 これをたかだか1点多いだけ、と捉えるのか、1.5倍と捉えるのかで状況は変ってきます[笑]。

 以前なら10点差があれば楽々逃げ切れたものが、3Pルールが出来てからは、連続して2本3Pを決められたら、4点差に縮まってしまいます。連続して3Pが決まることは、中学生のゲームでも良くあることです。それだけでも勝っているチームは焦るのに、もう1本決まったら1点差です。勝っている心地はしないでしょう。それどころかパニック状態で浮き足立って、通常のプレーさえ出来なくなります。

 ゲームの終盤では大事なプレーになります。
 下の動画は95年NBAプレーオフでの伝説となった有名なシーンです。
 インディアナ・ペーサーズのスーパーシューターのレジー・ミラーという選手が残り16.4秒で99-105の6点ビハインドから、1人で3P×2+フリースロー×2の計8点を叩き込んで逆転勝ちしました。

 横浜市でいえば、高校女子の県立金沢総合高は小さい選手の3Pが一つの武器になっています。
 大きな選手がゴール下で攻撃をかけて、相手ディフェンスが小さくなったところで外から3Pを連続して決めます、これが引き金となって金総の猛攻が始まり、逆転したり、一気に差を開いてペースに持ち込みます。

 このように3Pは相手のディフェンスを広くさせる効果もあります。
 ですから終盤に来てちょっとリードしてるから、「小さく守って逃げ切ろう」なんて考えていると、遠いところからズドンズドンと3Pを決められることがあるうえ、3Pのリバウンドは大きく跳ねることが多いため、ゴール下でチマチマ守りに入っていると、攻撃側にリバウンドを取られてしまいます。
 選手やコーチは最後まで気が抜けなくなります。ということは見る側に立つと「面白い」ということです。

 面白いというと、NBAではオールスター・ゲームに「スリーポイント・コンテスト」が行われます。
 5箇所から各5球計25本シュートして得点を競うものです。5球の内、1球はカラーボールと呼ばれ得点が倍になります。
 60秒間で5箇所移動しながらですから、結構きつく、全部撃ち切れない選手が必ず出るほどです。
 今年のオールスターではボストン・セルティックスのポール・ピアース選手が優勝しました。
 これがその時の動画です。

 今までは3Pの「功」の部分でしたが、功があれば「罪」が有るのがこの世の掟です。
 通常より1.5倍の点をもらえるのですから、簡単に入るシュートじゃないということですよね。
 今シーズンNBAの3Pの平均確率は35%です。FG(野投)全体の平均が46%ですから、10ポイントも低いんですね。日本のJBLは34.7%です。
 ちなみに今シーズン最も3Pの確率が良かった選手はユタ・ジャズのカイル・コーバー選手の53%ですから驚きですね。日本ではパナソニック永山誠選手の46%です。というように3Pは難しいシュートなのです。

 ゴールデン・ウイークに高校生の神奈川県大会が行われた時のことです。某チーム、仮にA高としましょう。立ち上がり3Pを含め外からばかり撃つのですが、よく入ります。第1ピリオドは大きくリードしましたが、第2ピリオド以降3Pが入らなくなりました。
 それでも外から撃ち続けます。シュートの仕方がなれているので、いつもこのように外からシュートして入っていた、と推測できます。
 たまたまシュートが入らないだけで、いつか入って逆転する、と考えていたのでしょうね。
 でもそれって間違いです。
 「シュートは水物!」
 入る時もあれば入らない時もあります。強いチームは入らなければ「次の手段」を持っているはずです。
 A高校も逆転された後、外からのシュートをやめてペネトレイト(ドリブルで突っ込む)をするようになりました。2点ずつなので一気に追いつくことは出来ませんが、徐々に追い上げて、ついに3Pを決めて逆転したんです。

 しかし3Pで逆転したのが勘違いの始まりでした。
 なおもそれまで通りにゴール下を攻めれば良かったものを、元に戻って3P攻勢をかけてしまったのです。
 入れば大差が付くけど、、、、。

 ゴール下を攻めている時は、シュートが落ちてもリングに近いのでリバウンドを拾えましたが、気持ちが3Pになっているのでリバウンドへ飛び込めません。
 二度と逆転することなく、かえって大差を付けられて格下チームに敗れてしまいました。

 3Pは難しいですね、両刃の剣です。

 さて私事ですが、以前描いていた「あんたかベイビーのTシャツ」を復活させました。
その第2弾を発表したばかりです。http://antaka305.com/?p=418> ここをクリックすると他のデザインも見れます。

あんどうたかお プロフィール

1946年生まれ。

月刊専門誌「バスケットボール・イラストレイテッド」の編集長を経て、バスケットボール用品のデザイナーとして活躍。特にキャラクター「あんたかベイビー」のTシャツは一世を風靡した。日本初のバスケット・ユニフォームデザイナーとしても活躍。当時強豪と言われる殆んどのチーム<実業団-大学-高校>に関して何らかのデザインを手掛けている。またスポーツ界では唯一のファッションのコラムを持っていた。

現在は自身のユニフォーム・ブランド「305」を立ち上た。

NBAに関しては「月刊バスケットボール・イラストレイテッド」編集者時代の1966年から連載を執筆。TV解説はNHK BS以前にも東京12チャンネルで1985年から行っており、日本最古のNBA解説者と言われている。

過去にはスポニチウェブサイトのNBAコラムを担当。月刊バスケットボール及び月刊バスケットボール・マガジン等に連載を持っていた。

横浜の中学・高校バスケの指導者、関係者とのつながりが深く横浜及び神奈川県のバスケ事情に精通している。

現在は横浜をホームとするBリーグ「横浜ビー・コルセアーズ」の名誉広報として情報発信やプレス対応などチームの広報活動に力を注いでいる。

また(社)神奈川県バスケットボール協会広報顧問も務めている。

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